気持ちE感覚!スノーボード HOW TO カービングターン

LINEで送る
Pocket

 

スノーボーダーなら多くの人が憧れるカービングターン。
ライディングしている姿がカッコ良く、しかもカッコ良いだけでなく、スノーボーディングのテクニックの幅を広げるためにも必要です。

しかし、近年、カービングターンに関する情報が減っているようにも思います。

そこで、長年に渡りハウツーを伝えて来た自分が、今、改めてカービングターンのことをしっかりと伝えようと思います。
あまり固くならないように、できるだけわかりやすく簡潔に伝えたい、と考えています。

多くの方に、カービングターンの楽しさ、気持ちE感覚を知ってほしい!!

まず基本中の基本。
そもそもカービングターンって何?という定義からお伝えしますね。

news130831c

TEXT: Fusaki IIDA

カービングターンの定義

よく多くの人が勘違いするのだけど、カービングの語源であるカーブは、「曲がる」という意味の「curve」でなく、「彫る」という意味の「carving」の方です。
だから、英語ではカービングターンのことを「Carving turns」と書きます。

このカービングという言葉を考えれば、そこに雪上をエッジで切り裂くようなイメージが必要です。
単に身体を倒して、ターンするのではなく、積極的に体重を乗せて(=加重させて)、さらには足首、ヒザを曲げて、エッジ角度を付けていくことが必要になって来ます。

こうした力強いライディングのことをカービングターン、というのだと思います。
誤解を恐れずに言えば、多少、ボードがズレていても、そこに豪快さや積極性が伝わるようなターンなら、カービングターンと呼んでもいいのかもしれません。

しかし、今回、僕が伝えるカービングターンは、ともかく滑った跡のラインが、太くならないで線のようになっているようなターン。それをカービングターンということにしたいと思います。

英語では、「ペンシル・ラインのような跡を付けましょう。」とも言います。
まるで、鉛筆で書いた線のように細いターン弧になっているということです。

howto02
(きれいなカービングターンは滑った跡が、鉛筆で描いた一本の線になる。)

 

「キレ」と「ズレ」の違いとは?

カービングターンで滑っていることを「キレている」と言ったり、そうでなく、板がザーザーと音を立ててスライドさせてしまっていることを、「ズレている」と言います。このようなズラしたターンは、スライドターンあるいはドリフトターンと呼ばれています。

カービングターン:キレのあるターン

スライドターン or ドリフトターン:ズレのあるターン

そもそも「キレ」と「ズレ」の違いはなんなんでしょうか?
言い方を変えれば、どのようにすれば、自分のターンが「キレている」のか、「ズレているのか」、わかるのでしょうか?

てっとり早い方法は、単純に斜滑降してみることです。

斜滑降というのは、斜面を横切るようにして滑ること。

最初、助走を取るところでは、板を走らすためにちょっとだけ縦に(谷側へ)滑らせ、あとは斜面を横切るように滑ります。
(注:この斜滑降をする時には、必ず後方から来るスキーヤー、スノーボーダーをチェックしてから行うようにしましょう。)

斜滑降して、自分の滑った跡を見る。そうすると、キレていればターン弧は鉛筆の線のように細くなるし、ズレていれば太い線になってしまいます。

news130828a

あともう1つの確認方法は、「静か」か「うるさい」か。
カービングターンの場合、滑っている音が小さくなります。
ズレたスライドターンは、ボードをズラす音、「ザザザー」というのが大きくなってしまうのです。

写真を撮った時にスプレーを上げていたら、それはズレ。
スプレーが上がっていなかったら、キレです。

だから一見、スプレーが上がったカッコいい写真は、カービングターンではなく、スライドターンです。

news130828b

さらに細かく言えば、ターンの前半はカービングターンでスピードを出して、後半にズラすことで、雪のスプレーが上がっているケースもあります。

こうしたターンの後半にちょっとだけズラしてスプレーを上げるような遊びを入れたターンは、勢いもあるしカッコ良いのでカービングターンということでいいのではないか、と個人的には思うのですが。

さらにマニアックなことを言えば、僕はウィスラーの頂上からベースまで何十キロという長距離を滑る時、途中で軽くスライド・テクニックも入れます。
例えば、他のスキーヤーやスノーボーダーが多くなるエリアでスピード制御をする時、ちょっと上半身の先行動作を強めて、ほんのわずかスピード調整するのです。感覚的には「10センチだけズラす」とか、あります。

このスピード制御をした姿は、かなり微妙なことなので、見ている人はたぶんズラしたことに気づきません。それぐらいちょっとだけズラしただけなので。だから、カービングターンで滑り続けているように見えます。

マニアックな話で恐縮ですが、カービングターンを厳密に考えていけば、微妙にズラした部分があってもカービングターンと言ってもいいんじゃないかな、という話です。

ともかく、キレ味をてっとり早くチェックするには、斜滑降です。
そこからさらにレベルアップしたカービングができるようになるには、スピードを上げるようにすること。助走の部分をもっと真っ直ぐに、谷側に進むラインを長く取ると、よりカービング感覚を感じることができます。

最終的には、出だしのところでもっと直滑降してまるで「J」の字を描くように滑ってみましょう。これはJターンと呼ばれますが、カービングターンに必要なエッジング、荷重が必要になるので、とても良い練習になります。
ちなみにこのJターンは、スイッチ・ライディングの強化にも大変役に立つドリルです。
以下、動画もご紹介するので、ご参考にしてください。

 

基本姿勢

カービングターンに欠かせない姿勢は、基本姿勢です。
基本姿勢は、中間姿勢、また骨格に逆らわないナチュラル・ポジションと言ってもいいでしょう。

以下、くわしく説明していきます。

まずは、ボードの真上に立ちます
次に顔だけ、進行方向に向けます
すると、首だけねじられた格好になります。

news130828j

次に足首、ヒザを曲げて、体重を真下に落とすようします。
こうしたスクワットのような姿勢は、太ももの筋肉を使うので、筋力がない人は辛い姿勢でもあります。
だけど、あまり姿勢を低くすることはありません。ふくらはぎと太ももで自分の体重を感じれる程度でOKです。
ヒザと足首をしっかりと曲げれることは理想ですが、それぞれの筋力差があるので軽くヒザを曲げたような状態でも良しとします。

news130828k

これで、ほぼニュートラルなポジションになっています。
つまり中間姿勢、かなり基本姿勢になったということです。

だけど、ここからさらに味付けしていきます。

まずは、両手を軽く広げましょう
腰の高さぐらいでいいです。
こうすることで、バランス幅が上がります。やじろべえと同じようなことですね。

news130828l

だけど、腕は胸とか肩の高さまで上げる必要はありません。
両手を高くあげると、より一層、バランス幅が上がったように感じますが、上がり過ぎた腕はバランスを崩した時のリカバリー力を低下させる原因。普段はある程度おとなしくさせておくことが大切です。

そもそもしっかりと乗れていれば、手がダラーンと下げてもいいわけです。
極端な話、両手をポケットに突っ込んだままでもいい。
すると、より下半身をワーク(動かす)必要に迫られるので、上達します。

でも、ある程度、バランスを保てるように、最初はちょっと両手を上げる意識を。
こうした味付けは良いです。

さらに、上半身を軽く前に向けましょう。
ヒップをビンディングの角度分、例えば前足15度の方なら15度ほど向ける感じです。
こうすることで、進行方向に対するバランス幅が上がります。

news130828m

しかし、この前に向ける姿勢が強過ぎると、捻り戻り姿勢が生じやすくなります。
つまり上半身と下半身が捻られた姿勢は、低い姿勢の状態のまま滑る時は良いのですが、急に上体が伸びたりするすると、捻られた身体が戻ろうとするので、そこにズレが生じやすくなるのです。
だから、あまり極端に上半身を前に捻らずに、スタンスに対してナチュラルに構えることをオススメします。

この基本姿勢は、家の中で鏡の前でもできますので、ぜひ確認のためやってみてください!

 

トゥサイドとヒールサイドの姿勢

カービングには、ボードのエッジを雪に食い込ますための荷重、さらにはエッジの角度を付けるエッジングが欠かせません。
しかし、スノーボーダーはスキーヤーと違って、横向きに乗るため、荷重やエッジングの方法が、トゥサイド(つま先側)とヒールサイド(カカト側)で変わって来ます。

まず、トゥサイドの特徴ですが、比較的にエッジングがしやすいです。
というのも人間は、その場でカカトで立つことはできないけど、つま先なら立てるからです。
トゥ・サイドの場合、身体を寝かすだけである程度のエッジングはできます。

しかし、身体を寝かしただけだと不安定なので、ヒザや足首をしっかりと曲げること。
コツとしては、スネを雪面に押しつけるような感じです。
こうするイメージを持つことで、自然にヒザと足首が曲がって、強い荷重、強いエッジングを得ることができます。

news130830b

 

ヒールサイドのコツは、前足のつま先を胸の方に引き付けることです。こうすると、足首がロックしたような状態で固まり、強いエッジングができます。

news130830c

また、よくありがちなミスとしては、お尻を出したような姿勢になること。
こうした姿勢は、しっかりと低い姿勢を作らないといけない、と思う人ほどそうなりがちなので気を付けましょう。
しかし、お尻を出した姿勢では、自分の体重がお尻側に逃げてしまってしっかりと自分の体重をボードに乗せていくことができません。上半身は起こしてあまりお尻を出さないことで、軸は保たれます。結果、より体重が乗って荷重ができます。

この姿勢の時、太ももの筋力をとても使います。多くの初心者は、その筋力がなくて、出っ尻の症状にもつながります。
それを解消するためには、筋力アップが必要。普段からスクワット運動して、スノーボードに備えましょう。

スクワットを行うことで、特にヒールサイドの姿勢がよくなり、バックサイドターンでのカービングターンがうまくなります。

このトゥサイドとヒールサイドの姿勢も、家の中の壁やイスを使うことでできます。
ぜひ、やってみてください!

 

トランジション(切り替え)

カカトからつま先側へ。またその逆でつま先側からカカト側へ、エッジを切り替える。
そのことをトランジションと言います。

多くの人は、このトランジションがうまくいかなくて、完璧なカービングターンができなかったりします。
言い方を変えれば、トランジションこそカービングターン成功の鍵!

例えば、カカト側でライディングするバックサイドターン(ヒールサイド)後半まではうまくキレて滑っている。だけど、つま先側に切り替えたとたん、フロントサイドターン前半に、ズラしてしまうというパターンはよくあります。そして、フロントサイド(トゥサイド)後半ではまた持ち返しキレに戻して、バックサイドではキレているというパターン。

その他にも、エッジングや荷重の弱さなどでうまくカービングができない例もありますが、多くのスノーボーダーたちが壁にぶつかっているのがトランジション(エッジの切り替え)です。

news130830g

トランジションがうまくできない大きな原因の1つに、ボードが進む方向のまま、パタっと切り返せないということがあります。

本来、ボードは進む方向そのままにトゥ(つま先)からヒール(カカト)、ヒールからトゥに切り返せばいいわけです。
しかし、スノーボードのターンができるようになる過程において、誰もが逆エッジという予期せぬ転倒に襲われた恐怖感から、切り替え時にボードを不必要に振ってしまうのです。その結果、ボードをズラしてしまいます。

つまり、谷エッジをしている時間が、とても怖くてできないのです。

谷エッジというのは、ボードのエッジが山側(上)にあるのではなく、谷側(下)にある状態のことです。
「これで転ばないのか?」と思われるかもしれませんが、カービングターンの時には絶対に転びません。なぜなら、カービングの時は、ボードは進行方向に走っているからです。
慣性の法則で、ボードは進む方向に走っているので、そこで谷エッジしても問題ありません。それどころか、この谷エッジこそ、完全カービングターンを行う鍵なのです。

しかし、初心者時代、ボードがズレていた時は、ボードはトップ方向でなくサイドの方に流れてしまっています。つまり、斜め横滑りのような状況です。この時に、谷側のエッジが雪面に触ったとたん、急激にパターンと転ぶ。これが、逆エッジという症状です。

以下、図参照。

news130830h

黒の矢印の方向はボードが進む方向を示し、また青と赤の矢印は、慣性の法則を示したもの。
左のカービングでは、ボードは必ず進行方向(横方向)に走っているので、谷側にエッジを切り返しても大丈夫。
しかし、右のズレているターンでは、下方向にボードが行っているために、谷エッジに乗ったとたんに突然転ぶ。これが逆エッジという症状です。

そう、トランジションの時に、谷エッジを作れるかどうか、そこに完全にカービングターンができるかどうか、掛かっていたのです。

そして、慣れてくれば、谷エッジで滑っているターンの前半の方が、ターン後半よりも気持ち良く感じることでしょう。
ジェットコースターで言えば、山に登った後に一気に降り始めるところ。
僕は、このエッジが切り替わった後、谷エッジでカービングしている時が、一番気持ち良く感じます。

この谷エッジをてっとり早く習得する方法のドリルには、ギルランテというものがあります。
以下、動画をご参照ください。

 

カービングターンで、いきなり谷エッジに切り返すのが怖いという方は、まずはボードをフラットにすることをオススメします。
そこからちょっとでも谷側にエッジングできるようにしましょう。

こうして繰り返しターンの前半を意識したカービングを行っていると、カービングターンのクオリティはどんどん良くなっていくことでしょう。
つまり、滑っていて気持ちE(いい)感覚になります。

 

さらにエッジの切り替え(トランジション)をうまくなるトレーニングとして、パタパタ(※僕が命名。)があります。
これは、迂回コースのようなほぼ平らなところ、プレッシャーが掛からない斜面で、ひたすら素早く切り替えるというものです。

以下の動画を見て、「うわあ、早っ!あんなことできるかな?」と思う方も安心してください。ようは練習なんです。
正しいイメージを持ち、繰り返し練習していけば、誰でもうまくなることは僕が長年やって来たレッスンでも実証されています。
その切り替えがうまくなって楽しい感覚となり、カービングターンのクオリティも上がっていくことでしょう!

パタパタのコツ

頭の高さを変えないで、ヒザ下だけの運動でエッジの素早い切り替えを行いましょう。イメージとしては、ヒザをハンドルのように見立てる。そのハンドル(=ヒザ)をパタパタと動かすだけ。上半身はできるだけ動かさすに静かにするようにして、足下だけで行う感じです。
まったくうまくいかなかったら一度止まってやり直し。また正しいイメージを浮かべて挑戦していきましょう。

 

まとめ

カービングターンができるためのまとめです。

1)キレ味を知るために斜面を横切る斜滑降をしてみること。さらにJターンの練習。

2)正しい基本姿勢を習得すること。家の中、鏡の前でもできるよ!

3)トゥサイドとヒールサイドのカービング姿勢を習得すること

4)トランジションで谷エッジに乗れるようにすること

以上ができるようになれば、きっとこれまで以上にカービングターンがうまくなります。

最後に僕が撮影した動画もご紹介するので、ご参考に!

 


ご不明な点・ご質問・ご意見などありませんか?

こちらのハウツーのコンテンツは、みなさんのご質問、ご感想などを元にさらに発展していきます。
日本で一番役立つハウツーを目指しますので、何か伝えたいことがありましたら、お気軽にご連絡ください。

e-mail: fusaki@dmksnowboard.com

 

news160614e

飯田フサキ プロフィール
東京都出身、現在カナダ・ウィスラー在住。
スノーボード歴33シーズン。そのほとんどの期間、雑誌、ビデオ等スノーボード・メディアでのハウツーのリリースに捧げている。
90年代を代表するスノーボード専門誌SNOWing誌では、「ハウツー天使」というハウツー・コラム執筆。季刊誌という状況で100回以上連載という金字塔を立てる。またSnowBoarder誌初期の頃から様々なハウツー・コーナーを担当し、その中でも一般読者にアドバイスを贈る「ドクタービーバー」は大人気に!その他、自身でディレクションし出演もしたハウツービデオ&ハウツー本は大ヒット。90年代のスノーボード・ブームを支えた。
現在も日本最大規模のスノーボード・クラブ、DMK Snowboard Clubの責任者として活動し、シーズン中に一回は日本へ帰国しコーチングも行っている。
普段は、カナダのウィスラーのインストラクターとして活動し、今なお世界中の多くの人にスノーボードの楽しさを伝え続けている。2016-17シーズン、ウィスラーのインストラクターMVPを獲得!!

 

LINEで送る
Pocket