米カリフォルニア州マンモスマウンテンで、スノーボード・ハーフパイプW杯、第2戦の男女決勝が行われた。男子では、東京と北京オリンピックを目指す二刀流の平野歩夢が4年ぶりのW杯優勝!この快挙に世界中のメディアも「Ayumu Hirano wins World Cup」を一斉に報じた。この勝利で北京行きの切符は、確実になったと思われる。
2位に今季開幕戦を制した平野流佳が入り、日本勢のワンツー・フィニッシュとなった。昨季世界王者の戸塚優斗は攻めの新ルーティーンを狙うも9位に終わった。
女子は冨田るきが初優勝!姉の冨田せなが3位で、姉妹で表彰台に立った。北京オリンピック直前にスノーボードのジャパンチームは、大いな躍進に成功!!
マンモスの週末は、強風のためスロープもパイプの予選も延期される中、遂に男子ハーフパイプでは同日に予選から決勝へ行う強行スケジュールを敢行。王者ショーン・ホワイトも決勝へ進出していたが、状況を踏まえて棄権する決勝戦。そんな中、平野歩夢は決勝1本目は転倒ランに終わり、あとがなくなったが…、逆転を賭けた2本目でこの夜、優勝を決めるルーティーンを決めた!
フロントサイド・ダブルコーク1440→キャブ・ダブルコーク1440→フロントサイド・ダブルコーク1260→バックサイド900
先日、アメリカのプロ戦、DEW TOURで世界初のトリプルコーク1440を披露した歩夢にとっては、まだ伸びしろがあったルーティーンだったかもしれないが、この日の硬いパイプなどの状況を考えれば、うまく試合展開を考えた上でのハイ・パフォーマンス。
きっと心の中では戦う炎で燃えたぎっているのだろうが、サラッとゴールして「当然だよ」という平然しているあたりが、ひじょうにクールだ!
その後には昨シーズンまでのパイプ絶対王者の戸塚優斗が控えていたが、最初のヒットでスイッチ・バックサイドダブルコーク1260を狙うが失速。これまで培ったルーティーンを繰り出せば好結果を出せただろうが、新たなステージに駆け上がる優斗の気持ちが、結果的には空回りとなった。そのまま平野歩夢がトップを走り去ることになった。
今季開幕戦で優勝した絶好調の平野流佳は、スイッチバックサイド・ダブルコーク1080からバックサイド・ダブルコーク1260、さらに3発目にフロントサイド1440、その後にキャブ・ダブルコーク1080、最後はバックサイド・アーリーウープ540という難易度高いルーティーンで2位に入った。またこの結果を受けて、今季のツアーリーダーを維持した。
3位には、ドイツの伏兵アンドレ・ヘフリッヒが入り、嬉しい今季初の表彰台。
4位には、予選2ヒートで1位通過を果たした歩夢の弟、平野海祝が入った。これまでここまでW杯で活躍していなかった海祝が、北京オリンピック直前でここまで活躍してしまい、ジャパンチームの北京選手選考は良い意味で混沌してしまった。昨季まで絶対王者の戸塚優斗、今季に入り1位と2位をもぎ取った平野流佳、そして今回4年ぶりにW杯に返り咲いた平野歩夢。
長年ジャパンチームを引っ張って来た片山來夢も、今回は決勝まで残り10位、また穴井一光も6位という好成績を残した。これまで何度も伝えて来たように、北京オリンピックに出場できるハーフパイプ日本男子選手は4人まで。誰が入ってもおかしくはないが、誰もが北京で輝かしい成績を残す実力を付けて来た。
ショーン・ホワイトの北京オリンピック出場は不透明に!
前人未到の5度目のオリンピック、4度目の金メダルを目指しているスノーボード界のスーパースター、ショーン・ホワイトは予選では持ち前の実力で予選ヒート2組で3位で決勝へ進むところまで来たが、同日、強行して行われた決勝には出場することができなかった。
このことをいくつかのアメリカのメディアが報道したが、ショーンは出場する前から足首が痛かったらしく、そんな状況でも予選に出場したそうだ。しかし、冷え込んだカリフォルニアの夜の決勝戦は、パイプがカチカチの硬さ。ショーンは痛みを殺しながら予選まで戦ったが、決勝は事態した。そのため、アメリカのチームはショーンの北京オリンピック出場の判断がすることができなくなってしまった。
すでに世界ランク的には、このマンモス大会前から13位という位置まで上がっており、残すは国内での出場権争いに入っていたショーン。今後は、スイスのラークスで北京五輪前のW杯最終戦(※今季のW杯は五輪後もあるが、五輪前での最終戦という意味)、そこで判断を下すのだろうか。
スノーボード界のスーパースターが、北京の地に現れるかどうかは、世界中が注目するだけに今後のショーンの動向が気になる。
W杯マンモス大会 男子ハーフパイプ結果
1位 平野歩夢
2位 平野流佳
3位 アンドレ・ヘフリッヒ(ドイツ)
4位 平野海祝
6位 穴井一光
9位 戸塚優斗
10位 片山來夢
男子ハーフパイプ決勝スコア詳細
https://medias1.fis-ski.com/pdf/2022/SB/6573/2022SB6573RLF.pdf
冨田るきW杯初優勝!姉妹で表彰台!!
一方、女子の方でも凄いことが起きている。男子のあまりの活躍ぶりに、一瞬、女子チームの活躍が忘れそうになるが、冨田るき(20)がワールドカップの初優勝を遂げたのだ。2位には中国の実力者、蔡雪桐が入ったが3位にるきの姉の冨田せな(22)が入った。
男子同様に女子の方でも6名全員が決勝へ進出したのである。
優勝した冨田るきは、硬くて難しいパイプ・コンディションの中、
フロントサイド・インディ→バックサイド900→フロントサイド720→キャブ720→フロントサイド900
以上のルーティーンをクリーンメイク!
決勝1本目を終えた時点では姉のせながトップで、妹るきが2番手という状況。そんな中、2本目で妹るきが逆転し、初優勝を決めた瞬間は笑顔の中、涙をみせた。おそらくこの涙の理由は、優勝のことはもちろん、姉妹でW杯の頂点を争えたということと、共に切磋琢磨して来た姉妹で北京オリンピックに行けるという夢が大きく近づいたからかもしれない。
女子パイプ界でトップを走り続けるクロエ・キム(アメリカ)は、不在だったが、中国の蔡雪桐(ツァイ・シュートン)を上回る成績を出せたのは、大きな一歩!
W杯マンモス大会 女子ハーフパイプ結果
1位 冨田るき
2位 蔡雪桐 (中国)
3位 冨田せな
4位 小野光希
7位 松本遥奈
9位 今井胡桃
10位 鍛冶茉音
女子ハーフパイプ決勝スコア詳細
https://medias3.fis-ski.com/pdf/2022/SB/6574/2022SB6574RLF.pdf
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北京オリンピック スノーボード完全観戦ガイド【ハーフパイプ編】
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