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最後の最後、まさに最後のランで平野歩夢がやってくれた!
崖っぷちのラストワンで逆転V!悲願の金メダル獲得!!!
日本人スノーボーダーとしては歴史に名を刻む初の五輪金メダリストだ。

Scotty James (AUS), Ayumu Hirano (JPN) and Jan Scherrer (SUI) © GEPA Pictures/Matic Klansek

スノーボードの歴史上で最高のルーティーンを平野歩夢が披露!

予選1位でラスト通過となった歩夢は、1本目に転倒でビハインドからの展開。
2本目には直近のXゲームス大会で敗れた宿敵スコッティ・ジェームス(オーストラリア)が、92.50という高得点を出されて劣勢に。
しかし、歩夢も懸命に頑張り2本目はメイクった。超大技トリプルコーク1440を皮っきりに、1440を3度も入れた。しかし得点は予想外に伸びず91.75点…。結果、このランはスコッティにわずか0.75点だけ及ばず2位となった。このジャッジが下したスコアに、会場からは激しいブーイング!

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ラスト3本目で歩夢の前の走者のスコッティが、そのブーイングに同様したのか、失敗ランとなり、金メダルか銀メダルか、待つ展開となった。
日本中のスノーボーダーたちと、全国のオリンピック視聴者の目線が歩夢に応援する中、ラスト3本目に逆転Vを狙うためのドロップイン。

1本目のトリプルコーク1440が鮮やかに舞った!2本目のキャブ1440もOKだ。
3本目のフロントサイド・ダブルコーク1260もクリア。そして勝負どころの4本目バックサイド・ダブルコーク1260もクリア。
さあ、ラスト1本。決めてくれー!と全国のファンが歩夢に応援するエネルギーを贈る中、果たして…。

フロントサイド・ダブルコーク1440が完璧に決まった!いつになくガッツポーズもやや強めで歩夢はクールに手を上げてくれた。
2本目とまったく同じルーティーンながら、エアの高さも着地もより一層シビアに向上。

緊張感が高まる中、出たスコアは…、
96点!!!

マジか!ありがとう!!
遂に!遂に!待ちに待った日本人スノーボーダーの金メダリストが誕生だ!
本当にありがとうー!
凄いぞ歩夢。

終わってみれば、「当然だよ。僕、逆転しちゃうもん」とばかりに見えるような。本人はいたって冷静に勝った印象だ。

思えば、8年前の15歳の時に挑んだソチ五輪では、無邪気なままの銀メダル。
4年前の19歳の時に挑んだ平昌五輪で、王者ショーン・ホワイトから逆転Vを喰らって悔しい銀メダルに終わった。
しかし、今日、23歳で挑んだ北京五輪では、あの悔しかった銀メダルの逆転V100倍返しで金メダルだ!!!

遂に金メダルを首に掛けた歩夢は驚くほど爽やかな表情。
あのショーンが平昌五輪で爆発歓喜したのとは裏腹にクールだ。
その姿が、あまりにもカッコ良過ぎる!
しかも、夏の東京オリンピックの後の約半年後、あのスケート大会決勝の190日後という強行スケジュールで、こんな凄いことをするなんて!

おそらく、日本全国のみなさんは、北京オリンピックの様々な疑惑ジャッジング問題などで、モヤモヤを抱えたであろう。しかし、そのうっぷんを晴らすような、本当に本当に最高の金メダル獲得シーンとなった!!
その立役者がスノーボーダー平野歩夢だったなんて。

本当にありがとう!

ラストランに挑んだショーン・ホワイトは涙の4位入賞

今大会で引退を決めているスノーボード界のキング!ショーン・ホワイトは、最後まで果敢に攻める姿勢を見せてくれて4位入賞!
メダル獲得とならなかったが、これまでの五輪成績は奇しくも金メダル3度、そして4位入賞が2度目となった。
ラストランは、2ヒット目で転倒してしまったが、ゴールを切ると観衆からスタンディングオベーションの拍手。35歳のベテランは感極まり涙を流した。
おそらく記者と同様に誰もが思ったことだろう。ショーン・ホワイトご苦労様、これまで数々の素晴らしい戦いを見せてくれて、ありがとう!

歩夢が金メダルが決まった後、すぐに歩み寄ったのはかつての王者となってしまったショーン・ホワイトだった。自分よりも一回りも若いライバルに抱擁する姿は、まるで「これからのスノーボード界はお前に任せたよ」と言わんばかりだった。

ショーンは、競技後のコメントで「スノーボード、ありがとう。私の人生でした。旅のようなものだった。このスポーツの行く末が楽しみでなりません」と温かいメッセージを寄せた。

海外メディアも大きく伝えた平野海祝の世界記録のスカイハイエア!

今回の男子ハーフパイプでは平野歩夢の逆転Vラン、ショーン・ホワイトのラストのランということで世界のメディアが大きく報じたのだが、もう1つ忘れてはいけないのは、歩夢の弟、平野海祝が世界記録となる24.4フィート(7メートル43センチ)のスカイハイエアを披露したことだ。
このハーフパイプ競技での世界記録のことは、アメリカのオリンピック放送局のNBC、またカナダのオリンピック放送局のCBCなども伝えている。

7メートルというのは、ビルの高さで言う3階にも達するほど!しかも、これはリップからの高さなので、ボトムからはその倍となる14メートルにもなるだろう。
例えば、NBCは以下のように海祝の凄さを伝えた。

「北京2022のスノーボード男子ハーフパイプ決勝で、平野海祝はメダルを取れなかったが、世界記録は作った。
平野は、ハーフパイプ3本目の最終滑走で24’4 “という驚異的な高さを達成し、バックサイドエアーで誰よりも高い位置に立ったのだ。
ハーフパイプの深さが22フィートであることを考えると、ピーク時の平野は地面から44フィート以上もの高さにいたことになる。
平野選手の跳躍の勇姿は、ただひたすら上昇し続けるという、理解しがたいものでした。」

それにしても、この海祝のランのスコアもかなり手厳しい印象を与えた。世界記録を出したのは、3本目だったが、1本目はしっかりとクリーンメイクしているので、「これで80点を超えないのか!」という驚きがあった。歩夢が放った2本目と同様に、ちょっと不思議なジャッジング・スコアだった。
おそらく、これがXゲームスやDEW TOURなどのアメリカでのメジャープロ戦なら、また違った評価になったであろう。

オリンピックのFISジャッジの方向としては、クリーンさや着地がボトムに流れないことなど、つまらないことにこだわり過ぎているのではないだろうか。こうした時代遅れのジャッジングをしては、せっかくここまでカッコよく進化スノーボードが魅力が薄れる懸念がある。
誰も成し遂げなかった高さあるエアや、誰も成し遂げなかったトリプルコーク1440という技のメイクにもっと敬意をもってジャッジングしてほしいものだ。

ともかく、海祝がまた歩夢とは違った魅力で世界のスノーボーダーたちにメチャクチャにカッコよく伝わったのは素晴らしいこと。
スノーボーダーなら、どデカくメソッドを永遠に決めたいものだ。

残念!戸塚優斗と平野流佳は悔しい結果に

平野歩夢、海祝が世界にインパクトを残す活躍をした中で、ひじょうに残念だったのは、戸塚優斗と平野流佳だ。

二人共充分にメダル圏内で、金メダルを獲る実力もあった。
しかし、ながら持ち味を発揮できずに北京オリンピックを終えてしまったのである。

今季W杯でも優勝している平野流佳は、どうしても2つ目のバックサイドの壁に弾かれてしまう。
しかも、3回滑ってもダメだった魔のヒッツとなってしまった。予選では決まっていたのに、いったい何が起こってしまったのだろう…。

戸塚優斗は、昨シーズンまで誰も彼を越せないパイプ界の絶対エースな実力者ぶりだった。
それが、なぜか平野歩夢が東京五輪から帰って雪上に復活すると、歯車が狂い出した。

かつて憧れの先輩である歩夢の真のポテンシャルを知っているからこそなのか、また北京オリンピックへ向けて、さらなる上昇を狙ってということもあるのだろう。
難易度を上げて臨むルーティーンは、なかなか思うように決まらなかったのだ。

おそらく平野流佳にとっても、W杯と五輪では戦い方のステージをより上げる印象で望んでいるからこそ、そのプレッシャーに叩かれたのだと思う。

一方、金メダルを獲得した平野歩夢は、五輪というよりも
自身の挑戦に命を削って挑んでいたのかもしれない。
言い換えれば、相手はオリンピックではなく、自身だったのではないだろうか。

結果、自分に打ち勝った歩夢は、念願の金メダルを獲得した。

しかし、戸塚優斗(20)と平野流佳(19)は、歩夢よりも2、3つ年齢が若い年齢だ。
ぜひ、この北京での悔しさを糧にして、ミラノ・コルティナ2026オリンピックでは、輝かしいメダルを期待したい。

二人の実力があれば、歩夢と共に金、銀、銅メダルを争い、かつてスノーボード界ではアメリカしか成し得なかったオリンピック表彰台を日本陣選手で飾ることもできる日がやった来るであろう。

2022 北京オリンピック男子ハーフパイプ結果

金メダル:平野歩夢(日本)
銀メダル:スコッティ・ジェームス(オーストラリア)
銅メダル:ヤン・シェーラー(スイス)
4位:ショーン・ホワイト(アメリカ)
5位:テイラー・ゴールド(アメリカ)
6位:バレンチノ・グセリ(オーストラリア)
7位:チェイス・ジョーシー(アメリカ)
8位:アンドレ・ホフリッチ(ドイツ)
9位:平野海祝(日本)
10位:戸塚優斗(日本)
11位:パトリック・バーグナー(スイス)
12位:平野流佳(日本)
※日本人選手の4人が全員決勝へ進出!!

●ハーフパイプ決勝での展開やスコアは、以下のLIVEスコアのページをご参考に。
https://dmksnowboard.com/live-score-beijing-mens-halfpipe/

オリンピック公式チャンネルから公開された男子ハーフパイプのハイライト動画

記念すべき、日本スノーボード界待望の初の金メダル!その立役者となった平野歩夢。
彼の戦いぶりを紹介する公式チャンネルからのハイライト動画は、永久保存版だ。

DMKが残した懐かしい平野歩夢の写真

2014年バートンでのオリンピック壮行会に参加した歩夢、当時はまだ15歳。Photo:Fusaki@DMK GLOBAL
こちらの写真は、19歳の時、2018年のバートン主催オリンピック壮行会。Photo: Masumi@DMK GLOBAL

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平野歩夢の2本目ラン「疑惑の採点」を徹底検証!!
https://dmksnowboard.com/ayumu-hiranos-second-run-scored-suspiciously/

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