来年は国産でもスノーボードギアの価格がさらに上がる理由

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文:飯田房貴 [email protected]

先日、ご紹介した記事『22-23シーズンのスキー場のリフト券が驚異の値上げ!』は、たくさんの方から反響がありました。やはり、スノーボーダーにとって気になるリフト券代金の高騰は、みなさん気にされているようです。
最近のインフレは、国民の生活を苦しみ始めているという報道が、さかんに出ていますが、今日は残念ながらスノーボードの価格も上がっていくということを伝えます。ちょうど2カ月ほど前にも『24年ぶりの円安でスノーボードが10万円で買えない日がやって来る!?』の記事で、来季のスノーボードギアの価格上昇をお伝えしましたが、来年は輸入板だけではなく、国産のスノーボードギアの価格も上がる理由をご紹介します。

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国産でも材料は海外モノ、工場は外国

スノーボードが国産と言っても、必ずしも国内で作られているとは限りません。
国産で代表的なところと言うと、小賀坂工場やヨネックスを思う浮かべられます。しかし、一方で中国の工場で作られているボードも少なくありません。その場合、当然、円安の影響は受けるでしょう。

またもう1つ国産スノーボードでも価格が上がる理由は、スノーボードの板を作る素材には、多くの部分で海外のものに頼っていると思われるからです。あまり詳しいことはわからないのですが、例えば木材はカナダ産のメープル材を使用していたり、あるいはベースはアメリカのブランドを使っていたりすることもあるでしょう。

実際、今季の国産ボード需要が供給に追い付かなかった理由は、材料調達が思うようにできなかった要因も関係しているということを聞いたことがあります。
もちろん、国産のスノーボード自体が人気が高まっているということもありますが、一方で材料が足りずに生産があまりできなかったようです。

だから、来季は国産のスノーボードでも価格が上昇することが予想されます。

(アメリカのDURA SURF社で作られているシンタードベースは多くのスノーボード板に使われている)

ユーザー△、ショップ〇、メーカー、代理店×の理由

そもそもスノーボードの価格が、今季よりも来季に上がってしまう理由は、先日のコラムでも伝えたように、価格設定の時期によるものです。
今季のスノーボードビジネスで最も痛手を被ったのは、メーカーや代理店ということを改めてご紹介しましょう。

スノーボードの来季の商品の価格は、通常、前シーズンの2月には決める必要があります。なぜなら、ショップからメーカーへの発注は1月~3月になるし、ちょうどその頃に行われるスノーボード展示会で、来季の商品をショップに見せる必要があるためです。

今年2月は、1ドルが120円以下だったので、多くのメーカー、代理店はサバを読みながらも上代を125円あたりで計算していました。ところが実際に商品が集荷される秋頃には、1ドルが140円を超えて円安の事態に。結果、メーカー代理店は予定していた報酬マージンを受け取れずに、せっかく商品が売れても儲けが残らないというジレンマを抱えることになりました。
ショップにはこうした影響がなく、2月頃にメーカーから提示を受けた上代で商品を販売できます。コロナからのリベンジ消費もあるのでしょう。今季はスノーボード商品はよく売れていると聞きます。
一方、ユーザーにとっても往来の予想された価格で買えますので、特別にハッピーでも不幸になったとも言えません。ということで、各立場の幸福度を〇△×で表すと以下にようになります。

2022-23
ユーザー:△
ショップ:〇
メーカー、代理店:×

来季は、ユーザー×、ショップ△、メーカー、代理店△!?

さて、来季はどうでしょうか?
メーカー、代理店は現在の円安の為替で、来季の上代を設定します。結果、価格が上がりますが、これで適正な報酬マージンを受け取れるようになります。
一方で、価格上昇から消費者は、買い控えされる懸念が出て来ます。ということで、〇でもなく△というところでしょうか。

ショップにとっても価格が上がることは商売的に痛手。しかし、適正なマージン料金で商売ができるので、今季の〇から来季は△へ。

ユーザーにとっては、価格が上がってしまうだけなので、×ですね。

2023-24
ユーザー:×
ショップ:△
メーカー、代理店:△

スキー場の価格は上がるし、スノーボードのギアの価格は上がる。さらに若者が減っていくということで、日本のスノーボード市場であまり良い話はないのですが…。業界は若者に対して何らかのアドバンテージを提供する必要がありそうですね。実際、プリンス・グループは20歳平日無料というようなことをやっていて、若者をサポートしてくれています。今後、スノーボードギアでもこのようなアイデアがうまく活用できるか、重要になって来るかもしれません。
一方で、日本が今、世界で魅力的なスノーリゾート地として有名になって来ていることは良いニュースです。外国人のスノーボーダーは、これからもジャパウを求めて来るでしょう。また日本はアクセサリー類が豊富で、ゴアテックスのグローブなど海外よりも安く購入できる状況になってるので、インバウンド需要は見込めるので、そのへんは期待が持てそうですね。

最後はやや話が反れてしまいましたが、ともかく来年の板は国産と言えども、値段が上がってしまいそうというお話でした。来季か今季に板を買うか迷っている方は、今季中に買った方がいいと思います。

コラムニスト・飯田房貴
1968年生まれ。東京都出身、カナダ・ウィスラー在住。
シーズン中は、ウィスラーでスノーボードのインストラクターをしており、年間を通して『DMKsnowboard.com』の運営、Westbeach、Sandbox、Endeavor Snowboards等の海外ブランドの代理店業務を行っている。日本で最大規模となるスノーボードクラブ、『DMK CLUB』の発起人。所属は、株式会社フィールドゲート(本社・東京千代田区)。
90年代の専門誌全盛期時代には、年間100ページ・ペースでライター、写真撮影に携わりコンテンツを製作。幅広いスノーボード業務と知識を活かして、これまでにも多くのスノーボード関連コラムを執筆。主な執筆書に『スノーボード入門 スノーボード歴35年 1万2000人以上の初心者をレッスンしてきたカリスマ・イントラの最新SB技術書 』『スノーボードがうまくなる!20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING』がある。
今でもシーズンを通して、100日以上山に上がり、スノーボード歴は37年。
スノーボード情報を伝える専門家として、2022年2月19日放送のTBSテレビの『新・情報7daysニュースキャスター』特集に、また2022年3月13日に公開された講談社FRIDAY日本が「スノーボードの強豪」になった意外な理由にも登場。
インスタ:https://www.instagram.com/fusakidmk/
ツイッター:https://twitter.com/dmksnowboard




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