長年、DMKツアー、キャンプに参加してくれるミックンから、興味深いご質問をいただきました。
「シーズン初オロシの板とできるだけ早く仲良くなる方法は?」
という内容です。
その質問に対してDMKフサキが回答しました。
今回、ミックンの許可をいただき、こちらにその内容をシェアしますので、ぜひ参考にしてみてください。
今シーズンは、Endeavor PIONEER 156のPHONONモデルをオーダーさせて頂き、手元に届くのを楽しみに待っているところです。
ここ数年は、試乗せずフサキさんやライダーさんのアドバイスを頂き、シーズン中に自分が求めるスノーボーディングを叶えてくれそうな板の購入を決めていて、シーズンインして初めて乗るので、板と仲良くなるのに暫くかかります。(もちろん毎回の選択に間違いは無かったです👍)
そこで、フサキさんにお願いがあります。今、自分が疑問と言うか知りたいことがありまして、是非とも回答していただければ、と思います。
例えばですが、『キャプテン翼』の主人公の翼くんがボールは友達と言って体の一部の様にボールと仲良くしています(マンガでは有りますが😅)
数年使用している板やシーズン中にハイペースで山やオフ施設へ通う方々は別かも知れませんが、多くのサンデーボーダーさんやシーズン数回位しか滑る機会が無い方々は、お初のスノーボードに乗ると暫く違和感と言うか、特性が掴めず攻めた滑りができない、前の板でできてたトリック(ここではパーク以外で、オーリーやプレス等のグラトリや地形でのトリック)がうまくできない、イメージ通りのターンが難しい(シナリや反発、サイドカーブの違い)などなど戸惑って様子を見ている期間があるのではないかと思います。
もちろん、ひたすら滑り込めば考え無くても体が反応して来て、気付けば使いこなせてる場合が多いです。
でも中には先述の方々の様に滑走日数が少なく、折角のおニューの板と仲良くなれる前にシーズンが終わってしまうスノーボーダーも居るかと思います.
良く、カタログ号などで、プロライダーさんが色々なボードに乗ってのインプレッション記事を見ますが、どんな動きポイントを押さえて検証してるのかなぁと思います。
もし一般ユーザーの自分達が、シーズン初オロシの板と出来るだけ早く仲良くなるために(板の特性:)雪上に立ってシーズン初めにやっておくと良いPractice(練習ドリル)があれば是非とも紹介して欲しいです。
長々となってしまいましたが、シーズンインしてハイシーズン迄に板と親友に成れたら嬉しいです。
お話を聞かせていただき、ひじょうに真摯にスノーボーディングに向き合っているよう感じました。
結論から言うと、まず大丈夫。
しっかりと違和感を認識し、現状を把握した時点で半分は解決済!と思います。
これまでミックンの滑りを何度も見させていただきましたが、年齢が上がるにつれて、ますます上達していくのは、この素直な気持ちが新しい境地を開いていく道なんだと、改めて思いました。
自分も、今一度この基本に返り、今シーズンに向けて挑んでいきたいと思いました。
「よく、カタログ号などで、プロライダーさんがいろいろなボードに乗ってのインプレッション記事を見ますが、どんな動きポイントを押さえて検証してるのか?」
というご質問の回答ですが、正直、自分自身、こうした経験がなく、それぞれのライダーさんのポイントは、正直わかりません。
おそらく、そのライダーさんのこれまでの経験を元に、プラスまた、ユーザーさんの気持ちも考えて、アドバイスしているように想像します。
自分もできる限り、自分だけの経験だけでなく、ユーザーさんの経験を想像しながら、俯瞰してできる限り、ためになるようなアドバイスをしたいと思います。
ただし、このアドバイスは絶対ということではなく、あくまでも現時点での自分からミックンに対するベストを尽くしたアドバイス、ということで、参考程度に聞いていただければ、と思います。
まず、新しいボードに乗るにあたり、できる限りこれまで使い馴染んだブーツとバインを使用することをオススメします。
純粋に新しい板に対して、ぶつかっていってほしいのです。足回りのギア、特にブーツまで新しくしてしまうと、板の違和感なのか、新しい板の違和感なのか、混乱する可能性が大です。
次に、新しい板をゲットしたら、できる限り自分の部屋やリビングなど、目に入るところに置いてみてください。
もしかしたら、ワクワクしてワクシングしてしまうかもしれないし、あるいはバインを付けていない状態で、ボードの上に乗ってイメージしているかもしれません。
あるいは、大好きなお酒を飲みながら、来るべき冬に向けて、想像を膨らましているかもしれませんね。
そうして、だんだんとニューボードという新しい家族と徐々に仲良くなってほしいのです。
もしかしたら、ちょっとお酒を飲み過ぎた日には、自分のインスピレーションと共に、ステッカーのチューンを楽しんでいるかもしれませんね。
こうして、もうしばらく雪の上に立つまで、テンションを高めてほしいのです。
またしばらく履いていなかったブーツに慣れるためにも、ブーツを履いたままスノーボードをするイメージでスクワット体操をしてあげてください。
そして、久しぶりにちょっと酷使した(?)筋肉をいたわるように、ストレッチングがマッサージをしましょう。
以上のようなことが、シーズンのブランクへの身体のコンディション違和感の解消につながります。
シーズンに入って、その板を使うことになったら、まずは、リフト券売り場の前あたりのフラットなところを利用して、プレス運動、ノーリー、オーリーなどして、ジタバタしてみてください。
もしかしたら、これまで乗っている板よりも、軽く感じたり、あるいはトーションの強さを感じて、歯ごたえを感じるかもしれません。
初めての板とのスノーボーディングという共存作業するための、最初のシェクハンドだと思って、準備運動をしましょう。
次に滑り始めたら、最初の斜度が緩いところでは、オーリーとか噛ませるのも良いでしょう。
そして、徐々にスピードが上がったら、まずは大回りのカービングターンから始めましょう。
最初は、それほどの上下運動、あるいは踏み込む動作などはいらないと思います。
できる限り、中間姿勢で常に真ん中にポジションを保つようにして、リラックスして、和やかな気持ちで滑りましょう。
コースの長さにもよりますが、3本ほどは大回りターンをしながら、まずは新しい板との対話を楽しみます。
徐々に温まったところで、ほぼフラットなところ、迂回コースなどで、パタパタショートターンをして、さらに板のシビアな特徴をつかんでいきましょう。
テールを振らずに、板のサイドカットだけで、トゥからヒール、ヒールからトゥと素早く切り返すのです。
これでその板から受けるショートターンでの感覚をつかめると同時に、自分の心拍数も上がって来て、滑りの調子をつかんでいきます。
すでに何度かオーリーをしていると思いますが、改めてエッジングをかけたオーリーもしてみてください。
つまり、ヒールサイドでエッジングした状態でのオーリー、また、トゥサイドでエッジングをした状態でのオーリーです。
フラット状態でない、オーリーです。
これで、さらに新しい板の反発感もつかめていくと思います。
チャンスあったら、サイドヒッツでの特性もつかんでください。
もし、元気な板なら、これまで通りの踏み込みで急激にぶっ飛ぶ可能性もあるので、気を付けましょう。
シーズン初日に痛い思いをしないように、
軽めに行くようにしてください。
そしてご自身の体調の方が、よかったらジャンプターンもトライしてみてください。
ちょっと疲れていたら、無理しないように。
ここでのテーマは、抜重=エッジの切り替えの時、空中でトゥからヒール、ヒールからトゥにトランジションをしてほしいのです。
もし、コントロールしやすい板なら、そうした感じもつかめると思います。
もちろんスイッチライディングなど、その他のフリースタイルのちょい技も大歓迎です。
軽めのフリースタイル技も楽しみながら、その板の特徴をつかんでいきましょう。
一日の滑りが終わってみて、どう感じたでしょうか?
もしかしたら、手強いと思ったかもしれませんし、あるいは、意外に乗りやすかったと思うかもしれません。
ただ1つ言えることは、その板の先駆者がいて、彼、もしくは彼女は、すでに、その板から得る最高気分を得たということです。
ということは、ミックンにもその最高気分を味わえるチャンスが充分にあります。
なぜなら、冒頭に伝えたように、現状を素直に把握する心構えを持つことによって、成長の余地はあり、すでに半分勝者だからです。
まとめます。
もし一日目にメチャクチャに歯ごたえを感じたなら、残念ながらミックンが思うようなできる限り早く仲良くなることはないか、と思います。
申し訳ありませんが、その場合、じっくり構えて対話を続けてみてください。歯ごたえを感じる板だと思いますが、ミックンならきっとその板からもらえる至福を間もなく堪能できると思います。
逆に自分のアドバイスをしたこともきっかけとなり、すぐに良い感触をつかむことができたら、それはそれで嬉しく思います。
どちらにしても、せっかくの新しい板。
ミックンが、これまで感じれなかった楽しいスノーボーディングができることを心から願っています。
その経験が初日でなくても、いつかその境地に達しますように!
あと、最後になりますが、できる限り、ずっとアドバイスを送り続けたいので、いつでも良いので、素直な感想を聞かせてください。
きっとEndeavorのファウンダーのマックスも、それを望んでいる思います。
●関連リンク
スノーボード初心者 板の選び方 5つの要素 安い3点セットは気を付けよう
https://dmksnowboard.com/how-to-choose-a-snowboard/
飯田房貴(いいだ・ふさき) プロフィール
東京都出身、現在カナダ・ウィスラー在住。
スノーボード歴37シーズン。そのほとんどの期間、雑誌、ビデオ、ウェブ等スノーボード・メディアでのハウツーのリリースに捧げている。
90年代を代表するスノーボード専門誌SNOWingでは、「ハウツー天使」というハウツー・コラム執筆。季刊誌という状況で100回以上連載という金字塔を立てる。またSnowBoarder誌初期の頃から様々なハウツー・コーナーを担当し、その中でも一般読者にアドバイスを贈る「ドクタービーバー」は大人気に!その他、自身でディレクションし出演もしたハウツービデオ&ハウツー本は大ヒット。90年代のスノーボード・ブームを支えた。
現在も日本最大規模のスノーボード・クラブ、DMK Snowboard Clubの責任者として活動し、レッスンも行っている。
普段は、カナダのウィスラーのインストラクターとして、世界中の多くの人にスノーボードの楽しさを伝え続けている。2016-17シーズン、ウィスラーのインストラクターMVPを獲得!!2020年から英語版ハウツーサイトSNOWBOARDTIPS.NETを開設。
著書に『スノーボード入門 スノーボード歴35年 1万2000人以上の初心者をレッスンしてきたカリスマ・イントラの最新SB技術書』 、
『スノーボードがうまくなる!20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING』がある。