アメリカのジェイミー・アンダーソンが、X GAMES 19個目のメダルを獲得。意外なことにビッグエアーでの金メダル獲得はこれが初めて!それだけ近年、他の選手の台頭が激しくレベルアップしている証拠だろう。
金メダルを獲得したジェイミー・アンダーソンは、ベテランらしく終始ゲームを支配しながら戦った。
まずは、キャブダブルコーク900で、まずまずのスコア38点を確保。本人もわかっていただろう、勝負はここから先だということを。
そして、2本目には、ハイスコアとなるフロントサイドダブルコーク1080をメイク。空中ではグラブを続ける安定感で、44点を確保。これで一気にトップに躍り出た。
さらに3本目に、キャブダブルコーク1080を決めて、そのまま一気にトップを走った。
あとは、「もうこれ以上はない」とばかりに、残りの2本はバックワンとフロントスリーで流して圧勝!
昨年度の金メダリストの鬼塚雅は、1本目からファイヤー!
女子で最後の走者だった鬼塚は、他の選手が抑え気味に行っている中、一人だけキャブ・ダブルコーク1260を狙ったのだ。このトリックは、DMK読者なら知っての通り、現地アスペンに入って、初めてメイクしたばかりの技だ。(以下、リンク参考)
https://dmksnowboard.com/x-games-miyabi-cab-dublecork1260/
しかも、メイクしたもんだから大変!コメンティターも「あり得ないよ!」と叫ぶ。「女子で誰も成し遂げられなかったことをやってのけた」と絶賛!!
しかも、出たスコアが、47点というスーパーハイスコア。
ビッグエアーの最高得点基準は、50点満点で、だいたいダブルコーク1080をクリーンにメイクしていれば、40点前後というところ。それが、いきなり47点ということで、相当なインパクト!
決まった瞬間、ガッツポーズして、ゴールエリアに来てから「えっ、私、本当に決めっちゃったの?」という表情だった。
この後の鬼塚、2本目はバックサイドダブル1080を狙うも転倒で失敗に終わり、しかし3本目にしっかりとバック10をメイク!このジャンプは、39点となり、2位に上がった。
女子のビッグエアーは全選手が5本滑れるので、鬼塚のチャンスは残り2本。
ジェイミーを抜かしすのは、わずか3ポイント差。そこで鬼塚はさらに回転数を上げるバックサイドダブルコーク1260を狙うも4本目、着地に嫌われた。
最後も逆転Vを狙うために、果敢にバックサイド12を放つが、着地決まらず転倒。これでジェイミーの金メダルが確定した。
終わってみれば、ジェイミーの圧勝という感もあるが、出場した選手がしっかりと持ち技をメイクしていれば、誰もが金メダルを獲れたと思えるような接戦でもあった。しかし、他の女子選手が、メイクすることを精一杯に見えるところ、ジェイミーはひじょうにリラックスして安定感ある形で決めていた、というところが強さだったと思う。
3位には、ニュージーランドのゾーイ・サドウスキー・シノット。ゾーイも他の女子選手同様に、失敗ジャンプもあったが、最終的には豪快なフロントサイド1080を決めて、銅メダルを獲得した。
他の注目の日本勢では、岩渕麗楽が最後にしっかりとバックサイド・ダブルコーク1260を決めて43点というハイスコアをマーク!
しかし、女子トップ5選手は、5点差の中で順位が決まるという接戦だったということもあり、5位に終わった。
残念だったのは、6位となった村瀬心椛だ。
まだ16歳ながら、まるで海外選手のような力強さを感じるライディング。飛距離もあり、トリックも豪快に見える。しかし、うまく着地が合わせられず、5本中の3本は転倒(※3本目のバック12は完璧メイク!)
おそらく本人は、もっとレベルの高いトリックを決めたかったろうが、気持ちが先行してしまったか。解説のクレイグ(マクモリス兄)も語っていたが、「決めたい」気持ちが強過ぎて、特にフロントサイド・スピンの技で、リップで我慢できずに仕掛け(ローテーション)が早かった場面があったように見えた。
しかし、まだ16歳という若い村瀬にとってこの経験は大きかったに違いない。
アンナ・ガッサーも苦戦する場面が多く、最後はトリプルアンダーフリップを狙うも転倒し、結果を残せなかった。
かつてメイクしていたトリックで表彰台に乗れなくなったウーメン戦士たちが、さらに過酷な戦いに突入しているからだろう。
2021年の女子最高峰のビッグエアー女王を決める戦いは、素晴らしい戦いだった。
Pacifico Women’s Snowboard Big Air Final
Rank | Name | Run 1 | Run 2 | Run 3 | Run 4 | Run 5 | Best Two |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | Jamie Anderson | 38.00 | 44.00 | 45.00 | 10.00 | 14.00 | 89.00 |
2 | Miyabi Onitsuka | 47.00 | 11.00 | 39.00 | 12.00 | 12.00 | 86.00 |
3 | Zoi Sadowski-Synnott | 9.00 | 44.00 | 10.00 | 42.00 | 12.00 | 86.00 |
4 | Laurie Blouin | 41.00 | 35.00 | 11.00 | 43.00 | 42.00 | 85.00 |
5 | Reira Iwabuchi | 10.00 | 40.00 | 41.00 | 24.00 | 43.00 | 84.00 |
6 | Kokomo Murase | 12.00 | 10.00 | 45.00 | 35.00 | 11.00 | 80.00 |
7 | Anna Gasser | 35.00 | 11.00 | 41.00 | 33.00 | 16.00 | 76.00 |
8 | Julia Marino | 20.00 | 28.00 | 35.00 | 11.00 | 10.00 | 63.00 |