嫉妬をうまく利用すればスノーボードが上手になる!

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団体スポーツと違って、個人の演技による評価をされがちのスノーボードというのは、とかく他人との比較に感情を振り回れやすいスポーツと言えるでしょう。
つまり「嫉妬」という人間が誰もが持ち合わせる無駄な感情。嫉妬したところで、何も得することがないというのはわかっていつつも、ついつい他人が気になってしまうという…。

おもしろいもので、嫉妬というのは立場が違えば、生まれないものです。
僕はこれまで初心者のレッスンを何百回と受け持ちましたが、彼らは近くでグラトリしていたり、颯爽とカービングターンする上級者のスノーボーダーを見て、嫉妬を抱くことはほぼありませんでした。「うわあ、スゲーなあ」という憧れの感情になります。

逆に立場が近い人ほど、嫉妬を抱きがちになります。いっしょに初めたクラスの人が、木の葉落としできるようになったら、「自分はまだ横滑りもまともにできないのに!」なんて、悔しがったり。
圧雪したところなら、似たようなレベルの生徒さんたちが、パウダーになったとたんにうまく滑れない方が出るケースもあります。すると、その人は、他人と自分を比べてイライラしたりします。特にプライドが高いほど、イライラする人は多いようです。「朝のウォーミングアップランでは、オレが一番速くてうまいと思っていたのに、パウダーになったらスタックばかりして。何てこったい。チキショー!」なんて。もう近寄るのも怖いほど、イラついてしまう生徒さんもいます。

初中級者ボーダーだけに限らず、オリンピックを目指すようなレベルが高い選手たちにも嫉妬のような感情は多分にあるものです。
特にジュニア層の親御さんの嫉妬の炎は怖い。「〇〇ちゃんは、〇〇チームに選ばれたのに、なんでウチの子が選ばれないの!コーチの目は節穴かしら」とか、「〇〇くんみたいなライダーが、なんで〇〇のスポンサーを得られるの!あのカンパニーどうかしちゃってるわ」なんて。

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スノーボードに限らず、なんでもそうだけど、ようは自分よりも立場が近ければ、嫉妬を抱くというのは、これまでの自分の人生を振り返っても言えるのではないでしょうか。友達がカッコいい車を持てば「いいなあ」て思ってしまったり、同じ大学に行った親友の年収を聞いてみたら、自分よりも驚くほど高くてがっくりしたりなど…。

だけど、嫉妬を抱いたところで、何も良いことはありません。1円たりとも得することはないでしょう。むしろ理性を失って、間違った判断をしてしまったりします。怒りの感情に流されて、とんでもない失敗をしてしまうこともあるでしょう。

嫉妬という感情を自分の成長につなげる方法とは?

嫉妬という感情は、古代ギリシア人でもあったそうです。
先日、僕が読んだ本「Think Clealy」にもそんなことが書いてありました。

あらゆる感情の中でももっとも無意味で役に立たない
それが嫉妬である、と。

(以上の本、自分の考え方や気持ちのモヤモヤの掃除をするのに最適です‼)

「Think Clealy」には「他人と自分を比べなければいい」というアドバイスが乗っていましたが、僕はそこを読んでいて、「そうは言ってもなあ。比べちゃう時があるんだよ」と思いました。

僕自身、同業の仕事をしている人や、似たような立場で上の滑りを目指す人は、どうしても意識してしまうものです。

そこで、僕自身が見つけた解決策をお伝えしましょう!

まず他人と自分を比べて劣っていることに気づいてしまった時には、自分の負けを認めてしまいましょう。
素直に相手を称えるのです。

例えば、あなたと似たような立場のスノーボーダーが、あなたが目指していたトリックをメイクした時のことを考えましょう。
きっと悔しいに違いありません。「うわあ、オレが目指していた〇〇トリックを先に決めっちゃったよ」と。つまり、あなたはその人と比べてしまっているので、そういう嫉妬という感情を抱いてしまっているのです。
だけど、ここで一呼吸を置いて、自分を自身一段上のところから見るようにしてみませんか?
「凄いな!おめでとう!」と言いながら、ちょっと悔しながらも、相手を称えるのです。
すると、冷静な感情が生まれ、自分が相手と何が違うのか、弱点が見えて来ると思います。自分自身のできなかった部分を見つめ直すのです。

そうして、勝負を楽しめば、嫉妬という感情は自分自身の成長に使えるのではないでしょうか。

それでも、なんとなく嫉妬という炎がくすぶっていて、どうしてもモヤモヤが晴れない場合には、改善点をノートに書き留めることで収まって来るように思います。

「〇〇くんが決めたトリックは、どうすればできるんだ。自分に足りない部分は何か。アプローチでの踏み切りか。目線の送り方。上半身の先行動作。いや、むしろ後ろ足首の使い方かな…」
そんな分析をノートに書き留めていけば、いつしか嫉妬という感情は消え去り、単純に自分がうまくなるためのことに集中できる環境が広がって来るように思います。

すると、わからないところは、ユーチューブの動画で探してみたり、有名コーチに質問してみたり、あるいは実際にレベルアップができるキャンプに参加してみたりなど…。嫉妬の感情の世界に留まっていた自分を「スノーボードの上達のトリップ」へ導いてくれるのではないでしょうか。

嫉妬という厄介な感情がニョキニョキ出て来てしまった時には、ぜひ以上のように考えてみてください。
きっとあなたのスノーボードの上達に役立つことでしょう!

飯田房貴(いいだ・ふさき) プロフィール
東京都出身、現在カナダ・ウィスラー在住。
スノーボード歴38シーズン。そのほとんどの期間、雑誌、ビデオ、ウェブ等スノーボード・メディアでのハウツーのリリースに捧げている。
90年代を代表するスノーボード専門誌SNOWingでは、「ハウツー天使」というハウツー・コラム執筆。季刊誌という状況で100回以上連載という金字塔を立てる。またSnowBoarder誌初期の頃から様々なハウツー・コーナーを担当し、その中でも一般読者にアドバイスを贈る「ドクタービーバー」は大人気に!その他、自身でディレクションし出演もしたハウツービデオ&ハウツー本は大ヒット。90年代のスノーボード・ブームを支えた。
現在も日本最大規模のスノーボード・クラブ、DMK Snowboard Clubの責任者として活動し、レッスンも行っている。
普段は、カナダのウィスラーのインストラクターとして、世界中の多くの人にスノーボードの楽しさを伝え続けている。2016-17シーズン、ウィスラーのインストラクターMVPを獲得!!2020年から英語版ハウツーサイトSNOWBOARDTIPS.NETを開設。
著書に『スノーボード入門 スノーボード歴35年 1万2000人以上の初心者をレッスンしてきたカリスマ・イントラの最新SB技術書』 、
スノーボードがうまくなる!20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING』がある。


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