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【完全ガイド】ハイバック(フォワードリーン)角度の最適設定とビンディング調整術

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スノーボードの滑りを大きく左右する「ハイバック角度(フォワードリーン)」の調整。しかしスタンス幅やビンディング角度と違い、メーカーごとに仕様がバラバラで、明確な度数表示もないため初心者がもっとも迷いやすい設定でもあります。 本記事では、ハイバック角度とは何か、調整で何が変わるのか、そして“最適な設定方法” をわかりやすく解説します。 ハイバック(フォワードリーン)は感覚頼りになりがち スノーボードのビンディング(バインディング)設定といえば、 スタンス幅 スタンス角度 ハイバック(フォワードリーン)角度 の3つが基本。スタンス幅や角度はセンチや度数で表示されるため理解しやすい一方で、ハイバック角度だけは“メモリ”や“ダイヤル”など曖昧な調整方式が多く、感覚頼りの設定になりがちです。 たとえば、こんな会話を聞いたことはないでしょうか? 「オレはフォワードリーンを結構入れてる」「私は1メモリだけ入れる派」「だいたい真ん中くらいかな?」 同じビンディングなら通じても、メーカーが違うとまったく意味が変わってしまいます。 さらに、同メーカー・同モデルであっても、シーズンによって調整方式が変わるケースもあるため注意が必要です。昨年はギザギザのブロック調整、翌年はダイヤル式に変更…ということも珍しくありません(以下写真参考)。 そこで、まずは基本的な考え方として、フォワードリーンを入れると滑りにどんな影響を与えるのか、お伝えします。 ●スタンスの幅、角度に関する説明は以下の記事を参考にしてみてください。https://dmksnowboard.com/how-to-set-up-a-snowboard/ ハイバック(フォワードリーン)角度を入れるとよりキレる滑りがしやすくなる ハイバック(フォワードリーン)角度の調整は、特にハイバックを利用してエッジングするヒールサイド(カカト側)のターンで影響を及ぼします。ふくらはぎがハイバックにより掛かる力が加わり、フォワードリーンを入れた場合、より強いエッジングを得られるのです。結果、キレるターンができます。 感覚的には「足首を曲げるよう」道具(ハイバック)が求めて来るので、力強いターンができます。一方で常に足首の曲げを強制させられるので、筋力の疲れも伴います。 ハイバック(フォワードリーン)角度を入れないとズラしやすい 一方でハイバックを立てた場合。つまりフォワードリーンの角度が、おそらく買ったままの状態だと、棒立ちのような姿勢が取りやすくなります。その結果ボードはズラしやすくなります。逃げしやすいという印象もあります。常にリラックスしたような立った姿勢ができるので、感覚としては楽でしょう。 例えばボックスやレールなど強いエッジングを使わないケースでは、 こうした逃げやすい設定が有効になります。 次にプロ・スノーボーダーやインストラクターが実際にどのような考えを持って、フォワードリーンの調整しているのか、具体例をご紹介していきましょう。 フリースタイル派はフォワード角度入れない傾向 もちろんすべてのフリースタイルライダーが当てはまるわけではないですが、多くのフリースタイルを愛好するライダーたちは、フォワード角度入れない傾向があります。ボックスやレールなどするライダーは、特にフォワード角度を入れません。 ウィスラーで滑っている中村一樹プロは、キッカージャンプからジブまでこなすライダーですが、角度はまったく入れないそうです。立てたままにしている、とのことでした。 また、マイルン動画でお馴染みの中谷ルンちゃんは、元々スロープスタイルの選手でもあったけど、その時には一樹プロ同様に角度を入れなかったとのこと。しかし、最近はちょっと入れるようにしていて、また様々なシチュエーションでより角度を入れることも考えています。例えば、アイスバーンの時やバンクドスラロームのような大会では、強いエッジングが求められるので、「フォワードリーン角度を入れたい」とのことでした。 前足以上に後ろ足を入れる派が多い 実を言うと、フォワードリーンの角度は、前足と後ろ足を同じにせず、後ろ足により角度を入れるというライダーもいます。なぜなら、前の足首よりも後ろ足首の方が曲げやすく、そこで過重などを調整するからです。僕も以前は、後ろ足のフォワードリーンを入れていました。スノーボードは、後ろ足の方がしっかりと曲げるライディング・シチュエーションが求められるケースが多いので、このようなライダーが多いのでしょう。実際にスノーボードに立ってみて足首を曲げると、後ろ足の方が曲げやすいことがわかるか、と思います。 ハイバックの角度を入れたことがないという方は、両足を入れてみるのもいいけど、まずは後ろ足だけ入れてみるのも手ですね。 ハイバックの角度はブーツ角度分だけ入れるというインストラクター 私の友人のスノーボード・インストラクターは、ハイバック角度は、スノーボード・ブーツの本来持つ角度に合わせると言います。確かにスノーボードのブーツは、一見すると突っ立っているようなデザインですが、実を言うとちょっと前寄りに角度が入っています。 この表現方法は、ひじょうにわかりやすいですね。先にご紹介したように、スノーボードのビンディング・メーカーによって角度設定の方法は様々だから、早い話、ブーツの角度分だけ入れれいいや、という考え方です。 そうすると、結果的には立ったところから、ほんのわずかだけ入れるという形になります。 以上、これまであまりフォワードリーンを考えてアジャストしていなかった方は、ぜひ参考にしてみてください。 ちなみに僕が愛用しているビンディングは、バートンのマラビータです。以前はカーテルを3シーズン使っていたけど、昨シーズンからマラビータに変えました。どちらのビンディングもとても調子がよく、カーテルの方がよりカービング向き、マラビータの方が感覚的にもっと遊びがあってフリースタイル向きだと思いました。 ●関連記事 意外と知られていない!?BurtonビンディングEST®とRe:Flexの利点と欠点https://dmksnowboard.com/advantages-and-disadvantages-of-burton-bindings-est-and-reflex/ ご不明な点・ご質問・ご意見などありませんか? こちらのハウツーのコンテンツは、みなさんのご質問、ご感想などを元にさらに発展していきます。みなさんにお役に立つスノーボード・ハウツーを目指しますので、何か伝えたいことがありましたら、お気軽にご連絡ください。 e-mail: info@dmksnowboard.com 飯田房貴(いいだ・ふさき) プロフィール@fusakidmk東京都出身、現在カナダ・ウィスラー在住。スノーボード歴は41シーズンを超え、約20年にわたり雑誌、ビデオ、ウェブなどを通じてハウツー記事の発信に取り組んできた。1990年代を代表するスノーボード専門誌『SNOWing』では、「ハウツー天使」というコラムを執筆。季刊誌という発行ペースの中で100回以上の連載を達成し、金字塔を打ち立てた。『SnowBoarder』誌でも初期からハウツーコーナーを担当し、中でも読者へのアドバイスコーナー「ドクタービーバー」は大人気となった。自身が監修・出演したハウツービデオやハウツー本も大ヒットし、1990年代のスノーボードブームを支える存在となった。現在はカナダ・ウィスラーを拠点に、インストラクターとして世界中の人にスノーボードの魅力を伝え続けている。著書に『スノーボード入門 スノーボード歴35年 1万2000人以上の初心者をレッスンしてきたカリスマ・イントラの最新SB技術書』、『スノーボードがうまくなる!20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING』がある。