スノーボードのワールドカップ、今シーズンの最終戦となったスイスのシルバプラナ大会でスロープスタイルが行われた。本来なら決勝の前日までに予選を終えているスケジュールであったが、予選日に悪天候で開催できず。昨日、日曜日に男子も女子も予選→決勝と同日に行う強行スケジュールで開催。
女子では、岩渕麗楽(19)が決勝で91.00点をマークし、今季嬉しい初優勝を決めた。これで岩渕は通算6勝目を挙げた。過去の5勝は全てビッグエアで、スロープスタイルを制したのは初めてだ。
岩渕にとってこのワールドカップでのスロープスタイルでの初勝利は、大きな意味があるに違いない。
というのも、小柄な岩渕にとって、スロープスタイルで勝つことは他の選手以上に大きなハンデを背負っていると言えるからだ。
岩渕が、世界から注目を浴びるようになったのは、2017年のワールドカップに参戦してからだが、最も強烈な出来事は翌2018年のX GAMESでのビッグエアのデビュー戦だろう。当時16歳の高校生だった岩渕は、バックサイドダブルコーク1080で銀メダルを獲得!衝撃デビューを飾ったのである。
ただ、同じX GAMESでのスロープスタイルでは苦戦してしまった。というのも、本格的な国際舞台ならではの巨大キッカーの連続に、小さな身体では届かなかったのだ。当時、X GAMESの放送では、岩渕の身長は150cmで97ポンド(およそ44キロ)と伝えられた。あまりの体重の軽さに、スピードが乗らずに、連続したキッカーを飛び越せなかったのである。
しかし、岩渕はそんな小さい身体のハンデを乗り越えて、見事に優勝したのである。
バックボード270アウトから、パイプのようなアイテムでバックサイドターンを決めて、フロントボードでジブセクションをクリア。
勝負の3連キッカーでは、フロントサイド・ダブルコーク900入り、キャブ900につなげて、そして最後は得意技のバックサイドダブルコーク1080を鮮やかにメイク!さらに最後のヒップ系でバックフリップとフィニッシュだ。
また同じく女子で、村瀬心椛(16)が88.75点で、自己最高に並ぶ2位に入った。見事、日本女子が1、2フィニッシュを飾った。
この結果、村瀬はFISスノーボードワールドカップ年間総合ポイントランキング2位!パーク&パイプ年間総合ポイントランキングでも2位となり、それぞれのカテゴリーで受賞。まだ16歳の村瀬にとって大きな学びの成長シーズンとなった。
期待された鬼塚雅と芳家里菜は予選12位タイで決勝進出を逃した。
全体的に世界トップの実力を見せつけて来た鬼塚選手だが、今季はビッグエアと比較してスロープスタイルで結果を残すことができなかった。
ジェイミー・アンダーソン(アメリカ)、ゾーイ・サドウスキー・シノット(ニュージーランド)、ローリー・ブルーイン(カナダ)は出場しておらず。今後、日本勢としてはこの実力者が出場した上で、結果を出せるかどうか。そのへんがオリンピックを占う意味でも重要となりそうだ。
ワールドカップ最終戦 スイス・シルバプラナ大会
女子スロープスタイル結果
1 岩渕麗楽(日本)
2 村瀬心椛(日本)
3 テス・コーディ(オーストラリア)
4 アンナ・ガッサー(オーストリア)
5 メリッサ・ペパーキャンプ(オランダ)
6 ケイティ・オームロッド(イギリス)
7 クール・ワクシマ(ニュージーランド)
8 クラウディア・メドロバ(スロバキア)
女子決勝結果
https://medias3.fis-ski.com/pdf/2021/SB/6223/2021SB6223RLF.pdf
女子予選結果
https://medias3.fis-ski.com/pdf/2021/SB/6220/2021SB6220RLQ.pdf
一方、男子の方は、大塚健が60.75点で11位、浜田海人が45.75点で12位だった。
飛田流輝は20位、国武大晃は42位で予選敗退。
今季絶好調の世界選手権覇者のマーカス・クリーブランド(ノルウェー)が96.00点で優勝した。
日本勢男子は、ここのところなかなか良い結果を出せずに苦しんでいる。来季はいよいよ北京オリンピック・シーズンを迎えるが、ここからの巻き返しに期待したい。
今季のワールドカップ・スロープスタイルの総合優勝は、男子マーカス・クリーブランド、女子アンナ・ガッサーに決定!!
男子決勝結果
https://medias4.fis-ski.com/pdf/2021/SB/6222/2021SB6222RLF.pdf
男子予選結果
https://medias4.fis-ski.com/pdf/2021/SB/6221/2021SB6221RLQ.pdf