前足角度21度でフリーラン、カービングが調子良くなった気がする

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今季から、前足の角度を21度に振るようにしてみました。
結論として、フリーラン、カービングターンが調子良くなった気がします。

前足21度と聞いて、「ノーマルじゃん!」と思う人が、ほとんどかもしれませんが、ここ2,3年、前足15度前後で滑っていた自分にとっては、振ってある印象があります。

スノーボードが流行しだした90年代には、確か前足24度で後ろ足が9度(※プラスです)とかだったと思います。今のようにダックスタンスでなかったんですよ。
でも、近年、プロ・ライダーたちのステッカー企画などで取材している内に、「みんな振ってないな」という印象を持ち、最初は18度とかで。さらに15度とか、どんどんつま先方向は横に向いていきました。

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だけど、カービング大好きな自分としては、やはり前足21度くらいが適当かな、と思い始めています。
さらに、今季カービング、パウダー系の板を乗る時には、24度もトライしてみました。ここまでの振りとなると、おそらく90年代まで遡ることになるのですが、これも結構、調子良かったんです。で、現在、フリースタイル的なツインチップ乗る時も、21度で落ち着いたという感じです。

ちなみに前足の角度を24度まで降った時には、これも超久々のダック卒業で、後ろ足角度も0度にしてみました。
というのも、自分の骨格、踏みやすさ、屈伸運動のしやすさと言ってもいいのですが、だいたい両足角度を足して、ガニ股角度は、24度ぐらいが適当だからです。

実際に、今、スクワットしやすそうなスタンスで立ってみたのですが、以下のような写真状態になりました。

左右の足が、当然ながらちょっとだけ外側に開いていますよね。
これが、真っすぐだと、窮屈になってヒザが曲げにくくなります。
逆にダック過ぎると、踏み難くなってしまいます。

以下、2019年度のプロ・ライダーたちの取材したスタンス角度一例をご覧ください。

中谷 瑠奈 前9 後ろ -9 (18)
平間和徳 前36 後ろ 27 (19)
田中 幸 前15 後ろ -6 (21)
月岡 雛乃 前24 後ろ 0 (24)
西村 大輔 前9 後-9 (18)
加賀 大貴 前12 後-6 (18)
中村 一樹 前9 後-9 (18)
岡 真衣 前12 後-9 (21)
阿刀 暖 前9 後ろ -9 (18)
関口“ セッキー強生” 前18 後ろ 0 (18)

カービング戦士として名を馳しているラマくん、雛乃ちゃんの前足角度が、他のライダーよりも振っていることがわかります。
もう1つ、注目してほしいのは、カッコ内の数字です。これ、年齢ではありません!
実を言うと、おそらく業界奔放初公開の前足と後ろ足の角度合計なんです。

興味深いのは、みなさん18度から24度で収まっていることです。
前足を36度まで振っているラマくんでさえ、後ろ足がプラスで27度なので、角度合計(=ガニ股角度)は19度になります。ということで、ほぼ多くのライダーといっしょになってしまうのです。

仮に前足21度、後ろ足がマイナスで18度みたいな人がいたら、その角度合計は39度ですから、「そりゃあ、おかしいな!」となるわけです。
実際には、こういう角度のスノーボーダー、過去にもいたし、その道のトッププロでもいました。
たしかビッグエアー王として活躍したマーク・アンドレ・ターレは、前足24度も振っていて、後ろ足も同じくらい振っていた記憶があるので。
でも、これは例外で、やはりだいたいみなさん18度~24度くらいになると思います。

例えば、もしあなたがやはり僕のように前足角度を振ってみようと思ったら、このガニ股度を気にして設定するといいでしょう。

前足角度を振るとカービングが調子良くなるを考察する

次に前足の角度を振ると、カービングがしやすくなることを考察してみましょう。

まず考えられることは、前足のスタンス角度は、ほぼ胸の方向に比例するので、上半身がより前向きになるということです。
上半身が前に開くことで、両手をやじろべいのように左右に広がり、進行方向へのバランスがよくなります。

次に最近、思うのは、「そもそもカービングターンのエッジングの強さって、どこから来てるんだ?」って話です。

別に加重しようしまいが、足首などでエッジングを意識しなくても、棒立ちのような突っ立たままでも体軸を傾ければ、自然にカービングはできるものです。だけど、それをより細かいところまで分析してみると、何が起きているのか、考察してみました。

ヒールサイドに関しては、おそらくハイバックが鍵です。
世の中には、ハイバックの角度を入れて、よりカービングを求めるスノーボーダーも少なくありません。
で、ハイバックに力が加わった後、さらに踏み込むような動作も加わって、よりエッジング力が増していくと思うのです。

具体的には、ハイバックに寄りかかる(エッジング)→つま先を胸に引き上げながら足首、ヒザを曲げていく(エッジング+荷重)という感じではないか、と。

次にトゥサイド。こっちは、実を言うと、最初はアンクルストラップがエッジングの役割を果たしているのではないか、と推測。アンクルストラップに寄り掛かったことで、ヒールでのハイバックと同じような効果が生まれるように思うのです。
さらに、ヒザ、足首を曲げていくことで、エッジング+加重が強まるような気がします。

以上のような運動は、まるで車の運転のアクセルを踏むような動作とも似ているのですが、そのようなアクセル運動操作はどのようなスタンス角度だとやりやすいのか?

おそらくは、前足を振っている方がしやすいのだと思います。

実際にその場でスノーボードしているような格好で、スタンス角度を様々に変えてみて、このアクセル運動をしてみてください。
きっとある程度、振ってある方がやりやすいと思うでしょう。

自分のイメージでは操作は前足で舵取り後ろ足は付いていくだけ

ところで、ここまで話して、大事なことを伝えていなかったです!
それは、そもそも以上のような内容は、後ろ足さんには関係なく、前足さんに向けたものなのです。

舵取りやエッジング操作は、前足さんにほぼ委ねられているのです。

自転車の走りをイメージするとわかりやすいか、と思います。
ハンドル操作で、車輪が左右に動くのは、前輪だけです。後輪はただ付いているだけですよね。
それと、同じです。

ただ、後ろ足は、加速において重要な役割を持ちます。
例えば、カービングターンをしながら、360度を周ることを考えてみてください。
「そんなことやったことない!」
と突っ込まれそうですが、まあ、イメージだけでも。

ほぼ高速でチョッカリで突っ込むので、最初の90度から180度は、かなりスピード出していますよね。
ですが、山を駆け上がる、ちょうどJターンの「J」の字の先の方に来ると、かなり低速していきます。最後の270度から360度の仕上げの時には、相当に後ろ足に乗っていないと、メイクできるものではありません。

カービングターン中でも同様なことが起こっています。
後半に行くにしたがい、後ろ足に乗ってGに対して「ホールド」していくような意識が大切です。

例えば、ヒールサイドの場合、僕はまず導入部分で、左の手(※僕はレギュラースタンスです)をそれこそ、ボードの先っぽよりもさらに数メートル前、左側に置きにいきます。ターン導入時ですよ。するとターン中頃には、左手は、三輪車の補助輪のようにヒール側の雪面を触ったようなところに来るのです。
以下、写真で見ると、ちょうどハイバックあたりに添えれたような形になっています。

さあ、ここからターン後半になるのですが、そこでどんな動きをするのか?
それは、この左手を後ろ足のハイバックの方に持っていくような動きをしていくのです。
すると、オーリーのようになるべく低い動作のまま体重をよりテールの乗っていき、ターン後半に板が走ってくれるのです。その時には、後ろ足が踏ん張ったり、加速させたりという役目を迎えることになります。

まとめると、最初、前足から舵取り、角付けという動作を行って、ターンの後半はバトンを受けた後ろ足に体重が乗っていき加速させるという感じです。

ずいぶん話が離れたような気もするけど、ともかく「自分のイメージでは操作は前足で舵取り後ろ足は付いていくだけ」ということを伝えたかった。そして、ターン後半には、方向付けまではやらないとしても、後ろ足さんには踏ん張っていただく大事なお仕事がありますよ、ということを伝えたかったのです。

話がシーソーのようにギッタンバッコンしちゃったけど、まとめると、

1)前足の角度を振ると、カービングしやすくなると思う。
理由A、より上半身が前に向くから、理由B、舵取りがしやすくなるから

2)前足さんの役割は大きい!なぜなら、ターン導入部分の大事な舵取りを担っているから。
後ろ足さんは、踏ん張りに期待しましょう!

3)世のスノーボーダーのガニ股度は、意外にもいっしょだった!
もし、その角度が18度から24度の中に納まらず、極端に離れていたら、自分のスタンス角度を疑った方がいいかも?

●関連リンク
スノーボードの正しいスタンス幅、角度の決め方
スノーボード HOW TO カービングターン 5つのステップアップで気持ちE感覚!

飯田フサキ プロフィール
東京都出身、現在カナダ・ウィスラー在住。
スノーボード歴35シーズン。そのほとんどの期間、雑誌、ビデオ等スノーボード・メディアでのハウツーのリリースに捧げている。
90年代を代表するスノーボード専門誌SNOWingでは、「ハウツー天使」というハウツー・コラム執筆。季刊誌という状況で100回以上連載という金字塔を立てる。またSnowBoarder誌初期の頃から様々なハウツー・コーナーを担当し、その中でも一般読者にアドバイスを贈る「ドクタービーバー」は大人気に!その他、自身でディレクションし出演もしたハウツービデオ&ハウツー本は大ヒット。90年代のスノーボード・ブームを支えた。
現在も日本最大規模のスノーボード・クラブ、DMK Snowboard Clubの責任者として活動し、レッスンも行っている。
普段は、カナダのウィスラーのインストラクターとして活動し、世界中の多くの人にスノーボードの楽しさを伝え続けている。2016-17シーズン、ウィスラーのインストラクターMVPを獲得!!
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