【コラム】コロナで変わるスノー業界!DMKフサキが大胆予想

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文:飯田房貴 [email protected]

衝撃のロックオンから1か月以上経った。
常日頃から、突然の災害には備える心構えを持ちたいと思っていたが、いざ、自分がその立場に置かれると、どうしょうもないほどそのことが理解できないものである。

突然のロックダウンで急に人が減ってしまったウィスラー。経済活動が停滞しているせいか、いつもよりも青空がきれいに見え、それが返って空しい気分に。

いつものようにスノーボード・スクールのレッスンが終わって、家でくつろいでいると、突然、同僚から電話があった。

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「フサキ、明日から山はクローズになる」
「えっ、どういうこと?」
「コロナの影響で、山が一週間ほどオープンを見合わせるんだ」
「マジか~、それは残念だね」
「ああ、仕方ない。」
「ちょっとの辛抱だね。」

あの時には、一週間後にまたウィスラーで滑れると楽観的に考えていた。
しかし、日に日に状況は、深刻な雰囲気になっていく。
海外から来たイントラ仲間は、もう滑れないだろうと思って、あきらめて自国に帰ってしまった。

結局のところ、山はもうしばらく開かないということになり、可能性として4月末から5月頭にかけて、再オープンすることが示された。
しかし現在は、夏のマウンテンバイク・シーズンのオープンもどうなるのか、というわからない状況で、冬のシーズンは確実に終わってしまったようだ。

日本でも、「明日はどうなるのだろう?」と未来が見えない人が多いと思うが、カナダでも同じ状況だ。
そして、これはスノーボード業界にも言えることである。
みんな先が見えない不安の中、模索している。

国境を越えないスキー場運営

今、ヨーロッパで、ほぼいつものような日常を生活を送っているのは、スウェーデンだけのようだ。
全世界で、「ステイホーム」が叫ばれる中、スウェーデンだけは集団免疫を獲得する方法を取り、50人以上の集会は禁ずるぐらいの緩い処置で、経済活動を停止させないようにしているのだ。この春もスキー場はオープンしていて、ちょうど先週末あたりにクローズしたようだ。
その結果、コロナによる感染者数と死亡者数が隣国の中でも多く、批判的な意見も多い。
一方で、集団免疫が来月中旬にも60%を超えるというデータもあり、どんな結果になるのか注目している。

現在、ヨーロッパのスノー関係者の予想展開としては、国境を越えないスキー場運営だ。
今後のコロナの影響が、どれほどまで私たちの経済活動に及ぼすのか、まだわからない部分も多いが、スキー場関係者は、他の国からスキー客が来ないことを予想して、運営することを模索している。ヨーロッパのスキー場は、他国からやってくるスキー客で商売しているところが多く、これは大きな課題だろう。

すでに日本でも国際的なスキー場は、そうしたことを想定しているだろうが、スキー場に関係する中小企業あたりは、予想していないところも多いようなので、気を付けた方がいいだろう。
これまで冬の間に外国人のスキー客で賑わっていた旅館やお店などは、次のシーズンは外国人客が来ないことを今から覚悟しておいた方が良さそうだ。いかに国内のお客さんに来ていただくのか、知恵の絞りどころ。国が高速料金の無料化などを検討してくれれば、さらなるサポートになることは間違いない。

もっとも、中国と韓国は、すでに落ち着いた状況も見せているので、欧米のお客さんは来なくても、アジアのお客さんは来ることを想定して、PRを始めた方がいいかもしれない。

メーカー直売のオンラインビジネスの可能性

現在、アメリカやヨーロッパでは、メーカーがショップを通さずに、オンラインで直売する形が、どんどん広がっている。
日本でもそうした動きは、出ているが、欧米の方がその流れは強い。

コロナ騒動により、今後はますます外に出て買い物しない傾向が強まり、オンライン販売の傾向は強まるだろう。

こうしたことで、困るのはスノーボード・ショップだ。
また、スノーボード業界にとっても、スノーボード・カルチャーを伝えてくれる最前線となるショップが弱まることは、とても残念なことである。ショップほど、身近に雪山を感じさせてくれて、スノーボード気分を上げてくれるところはない。多くのスノーボーダーが、ショップにいるだけで幸せな気分になれるのは、それだけスノーボード・ショップにそうした力があるからだ。

一般ユーザーに伝えたいのは、スノーボードのギアの中でも、特にブーツはオンラインでなくショップで買ってほしいということ。
ブーツはひじょうにパーソナルなもので、プロのショップのアドバイスを聴いて選んでほしいもの。

自分はメディアの端くれとして、ショップの魅力を伝えるサポートをしたいと思っているので、もし、ショップからリリースしたいことがあれば、些細なことでもいいので、送っていただきたいと思う。
即売会、ショップの集い、ショップオリジナル商品の販売情報など、ご紹介していきたい。

e-mail: [email protected]

2020在庫問題

2019-2020は、暖冬により多くのスノーボード商品が在庫として残ってしまっている。
海外でもそうしたところが多いが、特に日本がモロ食らってしまった。
最もプロパー(定価)で売りたい時期に、雪が少なくて需要が冷え込み、そのまま暖冬でモノが売れない状況になってしまった…。

メーカーやショップは、この在庫を2020-2021シーズンに向かって販売していかなくてはいけない。

一見すると、消費者にとっては、安いスノーボード・ギアを買えることで良いかもしれないが、業界的には古い商品ばかりを売って、新しい商品がなかなか買ってもらえないという不健康な状況になる。
不健康な市場になれば、メーカーは新しい商品は開発する力が弱まり、結局のところユーザーにも影響を及ぼすことになるだろう。

悲劇はこれだけに終わらなかった。次のシーズンのオーダーする2月から3月の時期に、コロナ問題でさらに2020-21のオーダーは減ってしまったのだ。
本当に大変なシーズンを迎えてしまった、スノーボード業界だった。

期待されるのは、最近、経済活動が弱まったことで、地球全体がきれいになったことだ。
その結果、かつての冬のように寒くて良い雪がたくさん降る可能性が高まっている。
シーズン前からスノーボードが売れてくれれば、この2020在庫問題はある程度、解消されるかもしれない。

ただ、この夏の経済活動の停滞により、多くの人が失業し、喰っていくのにも困ることになれば、スノーボードどころではない人が出てきてしまうであろう。
そこが、ひじょうに懸念されるところである。

供給に問題はなし!他の業界よりはマシ!?

最近、ガソリン価格が低下していて、その価格の安さには驚かされる。
日本では、1リットルあたり130円ぐらいのようだが、カナダではもっと安く、1ドル10セントあたりだ。これは日本円にして90円ぐらいという値段。

ここまで安くなった原因は、需要に対して供給が増えすぎたからである。ガスの供給元は、「こちらからお金を出すので受け取ってほしい」というほど、余ってきているのだ。

ひるがえってスノーボード業界を見ると、これに近いような状況だ。

コロナで自粛していた時期は、中国の旧正月の時期を重なり、スノーボードに関する工場の被害はほぼないようなのだ。
そして、今はすでに経済活動が再開しているところ。
また、ヨーロッパの工場でも、マスクや消毒など万全の体勢が整っており、ボードの製作などには問題ないとのことである。
需要サイドは、準備OKだ!

スノーボードのギアは、みなさんご承知のように、秋頃に入荷されるので、他の業種の流れよりも一層良いという声もある。

例えば、スノーギアと違って、一年を通して販売活動が続けられるアパレル業界などは、今回のコロナで大きな打撃を受けているという。
また、他の業界を見ても、スノーボード業界以上に被害を被っているところは多い。
そんな中、意外とスノーボード業界は、1シーズン・サイクルなので、2020-2021シーズンに向かって、他業界よりも準備はしやすいと言えるだろう。

まだどんな状況になるかは予想が付かない部分も多いが、今回の予想が少しでも業界の手助けとなれば、幸いである。

私たちの業界は、他の業界と比べてもとても小さく、助け合っていかなくてはいけない。
スノーボードをしている我々ひとりひとりの力が試されているように感じる。

最近、自分はスノーボード専門誌にカタログ号でリリースすることになれば、ぜひご紹介したい!ということを伝えた。
また、フェイスブックを見て、仲間が新しい商品を出していることを知ったら、そのことを掲載したいという連絡を入れて、実際に掲載した。

そうした些細なことでもやっていき、少しでも力になれたらと思っている。

このコラムに関するご意見・ご感想

本日アップされたばかりのコラムですが、早速、読んでいただいた業界関係者からメッセージをいただいたので、ご紹介します。

「コロナの影響で、スキー&スノーボードの修学旅行が一気にキャンセルになり、その影響は計り知れません。リゾート名と金額は公表できませんが、あるスノーリゾートは、ん億円です。
また、夏合宿、夏の塾などもキャンセルになり、収益がたたれてます。
今、求められているのは、嘆くことではなく、スノーリゾートの活性化のためにモデル事業をやったり、インバウンドのための環境を整備すりこと。他にもいろできることが、あります!」SNOW RESORT JAPAN編集・岩田克己

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