ビッグエアは90年代の中頃から注目されるようになり、スノーボード競技の中でもとても人気が高いです。雪山だけでなく都市でも開催されるため、かつては東京ドームで開催したこともありました。
最も有名で伝統的なビッグエア大会は、1994年にオーストリアのインスブルックで始まったAIR+STYLE(エア+スタイル)です。
オリンピックでは、先の平昌オリンピックから採用されました。
目次
競技説明
選手は、49メートルという高いところから、まるでジェットコースターのような40度という超急斜面を下り、発射台から大きなジャンプを披露するジャッジング競技。ジャンプの飛行距離は36メートル以上に達することもあり、見る者も壮観です!
ジャッジは6人いて、最高点と最少点のスコアは除外され、残り4人の中スコアを合算されます。このことによって、極めて高いスコアを出したものと極めて低いスコアを出したものが省かれ、より公平なジャッジングができると言えるでしょう。
例えば、ある選手のジャンプ(演技)得点は、6人のジャッジに、以下のような評価を受けたとします。
86点、83点、82点、84点、83点、78点
すると、最高の86点と最低の78点が省かれ、残りの4つのスコアが計算され、そこから平均得点が出せれます。その選手のスコアは83点となります。
その他、ヘッドジャッジというリーダーがいて、事前にどんなトリックがどれくらいの点数になるのか相談する指導をしたり、あるいはもしも6人のジャッジがおかしな採点をした時に修正するようなアドバイスもしています。
予選では、2本滑ることができ、最高得点が採用されます。
各選手は、決勝に残るトップ12位までに入れるようにエアを放ちます。
また決勝では、12位の選手から滑るので、そのへんの駆け引きも必要になります。後から滑る選手は、前の選手よりも良いエアを披露すれば、より上の順位に行けます。だから、決勝では比較的に後に滑る選手の方が有利になるのです。過去には、予選でギリギリ通過した選手が優勝したこともありましたが、通常は予選で6位ぐらいまでに入った選手たちの争いになります。
決勝では、3本滑ることができるのですが、選手は同じ方向の回転技ができません。
スノーボードの回転技は、正面側から回るフロントサイトと呼ばれるスピン・トリックと背中側に回るバックサイドと呼ばれるスピン・トリックがありますが、同じスピン技を放っても得点にならないということです。例えば、ある選手は最初にバックサイド1620を決めて得点を加えたら、今度は同じバックサイド技を放っても得点にならないので、フロントサイドで1440を狙ったりします。そのフロントサイドの技が残念ながら転倒した場合には、そもそもそのフロントサイドの技の得点スコアがかなり低いので、もう一度狙ったりするような展開になったりします。
ようは、ある選手が得意な技があっても、まったく同じ技では得点を伸ばせないというルールです。
以上のような点を理解して観戦すると、よりビッグエアという競技が楽しめると思います。
ちなみに減点対象としては、完全に転倒した場合にはかなり低いスコアになります。一方でちょっと手が付いただけなら、ややスコアを低くするぐらいになります。その手の付き方もソロっとなのか、かなり手を付いたことで転倒を防いだのか、そのへんの評価もジャッジに委ねられます。ともかく選手は、ストンプと言って、かなり安定した着地をすることが、より高得点になります。
もちろん、より難しい技を行えば、着地も難しくるなるので、そのへんが難しいところ。
2021 世界選手権のスコアを見ていると、バックサイドで1620、フロントサイドで1440あたりまで回せば上位のスコアとなっています。しかし、オリンピックでは、さらにその上のスピン数ということになるでしょう。おそらくは、1800回転での争いになると思います。
ちなみにカカト側で蹴って、ジャンプにつなげることが多いフロントサイドのトリックは、つま先側で蹴ってジャンプをするバックサイドよりも回転数が低くなる傾向になっています。ワールドカップなど見ていて、バックサイドでのスピン数が、フロントサイドよりも回転数が増える傾向があるのは、このアプローチでの「つま先側」「カカト側」に影響されているのです。
さらに選手は、ジャンプをしている時にボードをグラブしますが、そのグラブする箇所でも難易度が変わって来るので、ジャッジングはそのへんも細かくチェックしています。
会場:ビッグエア首鋼(首钢滑雪大跳台)
ビッグエアイベントは、首鋼工業団地にあるビッグエア首鋼(首钢滑雪大跳台)で開催されます。
会場は世界初となる常設ビッグエア施設で、大会終了後は一般の人々がレクリエーション目的で使用する予定になっています。
このプラットフォームは、北京のダウンタウンに位置する唯一のスノースポーツの競技会場です。
きっと北京からも多くの市民が、空を舞うスノーボーダーたちに声援を送ることでしょう。
ビッグエア開催日程: 2月14日~2月15日
Monday, February 14
ビッグエア公開練習
Tuesday, February 15
ビッグエア男女予選・決勝
さらなる公開練習・時間スケジュールの詳細などは、以下のページをご参考にしてください。
https://medias2.fis-ski.com/pdf/2022/SB/6080/2022SB6080PROG.pdf
注目選手
北京オリンピックのハーフパイプに参加する注目選手をご紹介します。
マーク・マクモリス Mark McMorris
Date Of Birth: September 3, 1986
国籍: カナダ
@markmcmorris
21-22 World Cup Standings: 7th
Stance: Regular
競争の激しいスノーボードの歴史の中で最も成功したライダーの一人。
マーク・マクモリスは2つの五輪メダルを獲得、またXゲームズでは20回ものメダリスト!それだけに留まらず4つのUSオープン、さらにスポーツ界の名誉あるESPY受賞者も獲得しました。
しかし、多くの素晴らしい結果をもたらしました一方で、多くの困難を抱えました。
2014年ソチ五輪では、オリンピックデビュー戦スロープスタイルで銅メダルを獲得しましたが、その2週間前にはアスペンで開催されたXゲームスで肋骨を骨折しています。(以下、動画参照)
2016年2月、マークはロサンゼルスで開催されたのAir + Style(エアー・アンド・スタイル)ビッグエア大会で着地の際に右大腿骨を骨折しました。 そして、その8か月後にカムバック!2016-17シーズンは、平昌オリンピック出場するための大事なワールドカップ戦がありましたが、そこでもサクセスストーリーを決めました。
そんな素晴らしいシーズンだったのですが、3月下旬にバックカントリースノーボードの事故で、顎、左腕、骨盤、肋骨の骨折、脾臓の破裂、左肺の虚脱など、複数の負傷を負いました。 しかし、その怪我をも克服し、2017年11月下旬に北京で開催されたワールドカップ北京大会のビッグエアで優勝!!
その後、平昌で2回連続のオリンピックのスロープスタイル銅メダルを獲得しました。
マーク・マクモリスは、スノーボード界の新たなステップアップにも献立して来ています。
2011年にはバックサイドトリプルコルク1440を着陸させた最初のスノーボーダーとなりました。2017USオープンのスロープスタイルではスイッチバックサイド・トリプルコーク1620を初メイクし、金メダルを獲得しました。
2021年2月、北京オリンピック参加するポイントを得るためにスイスのワールドカップに参加しました。 しかし、スイスに行ったとき、コロナに掛かっていることがわかり、参加できませんでした。 しかし、翌月アスペンで開催されたビッグエア世界選手権では、見事に金メダルを獲得ししています。
マーク・マクモリスほど人生の正負の法則を教えてくれるライダーはいないかもしれません。
人生山あり谷ありで、良い時もあれば悪い時もあります。
マークは、スノーボードを通じて僕たちに大事なことを伝えてくれるような存在です。
マックス・パロット Max Parrot
Date Of Birth: June 6, 1994
国籍:カナダ
@maxparrot
FIS Ranking: 10th
Stance: Goofy
マックス・パロットは、Xゲームスで7回も優勝し、平昌オリンピックのスロープスタイルでは、銀メダルに輝いています。
マックスはケベック州のブロモントスキー場の近くで生まれ育ちました。 彼は3歳でスキーを始め、10歳でスノーボードに出会います。マックスのお父さんは、カナダを代表するアルペンスキーレーサーで、ウィンタースポーツのサラブレッドでもあります。
マックスがここまで実績を残せた背景には、彼の故郷にあるケベックにあるMAXIMIZEという施設によるところも大きいでしょう。
MAXIMIZEには夏でも大きなジャンプができるエアマットがあり、トリックを練習できるトランポリンもあります。マックスに加えて、セバスチャン・トゥータント(平昌オリンピックの男子ビッグエア金メダリスト)とローリー・ブルーイン(平昌オリンピックの女子スロープスタイル銀メダリスト)も、 MAXIMIZE出身で活躍しています。
マックス・パロットは、スノーボードの歴史を4回塗り替えました。
2013年、彼はXゲームス大会スロープスタイルで、初となるバックサイド・トリプルコークをメイクしました。 2014年にはXゲームスでのスロープスタイルでは、トリプルコークを連続で決めています。 また2015年4月、マックスは世界初となるキャブ・クワッド・アンダーフリップ1620をメイク。そして、2016年1月、Xゲームズでキャブ1800トリプルコークを決めて、2度目となるビッグエアの金メダルを獲得しました。
スノーボード競技において、そんな輝かしい成績を収めて来たマックスですが、2018年12月なショッキングな出来事がありました。ホジキンリンパ腫と呼ばれる癌と診断されたのです。今後の競技生活が危ぶまれたしたが、その後に懸命の治療とリハビリを続けて、翌年の夏、マックスはXゲームズの舞台に戻って来ました。8月31日、ノルウェーで開催されたビッグエア大会で、奇跡のカムバック勝利を収めたのです。
マックスの生い立ちと奇跡のカムバックを伝える以下の動画もぜひご覧ください。
マーカス・クリーブランド Marcus Kleveland
Date Of Birth: April 25, 1999
国籍:ノルウェー
@marcuskleveland
FIS Ranking: 15th
Stance: Goofy
マーカス・クリーブランドは、若い頃から並外れた才能を発揮してきたプロのスノーボーダーの一人です。 彼のライディング・スタイルは、母国ノルウェーの英雄テリエ・ハーコンセンと比較されることがありました。誰もが彼が世界トップのライダーになる才能があると認めていました。
周囲の期待に応えるように2018年、アスペンで開催されたXゲームスのスロープスタイルで金メダル、その年の夏に開催された母国ノルウェーで開催されたXゲームスでは、2つのメダルを獲得しました。スロープスタイルで金メダル、ビッグエアで銀メダルを獲得しています。
しかし、マーカスにとってスノーボード・ライフは順風満帆ではありませんでした。2018年の12月に行われたDEW TOURのスロープスタイルの公開練習で、大きな怪我をヒザに負ってしまったのです。医者からは、歩くことはできて、いつか友達とスノーボードができるくらいに回復するだろうが、競技者として戻って来るのは不可能だと思われていました。しかし、名医による献身的な手術と治療で見事にかムバックします。
大怪我により、一年以上も棒に振ってしまいましたが、2020年の3月に行われたXゲームスでのバックルハックでカムバックで2位!そこから、マーカスの快進撃が再び始まります。
ワールドカップでの優勝、2021年のXゲームスのビッグエアでは金メダルを獲得!
マーカスは、ナックルトリックの使い手としても有名です。
ナックルトリックは、ジャンプ台の平らな部分とランディング斜面を利用して行うトリックのことです。彼のInstagramにはナックルトリックの映像がたくさんあり、とても人気があります。とてもユニークなトリックが多く、見ていると時間が経つのを忘れさせてくれるほど楽しいです。
スー・イーミン Yiming Su
Date Of Birth: February 18, 2004
国籍: 中国
@mingsuyi
21-22 World Cup Standings: 1st
Stance: Goofy
今季、W杯2戦目となるアメリカのコロラド州スティームボードで行われたビッグエア大会で、突如、現れた中国からの彗星!
予選1位の好調をそのまま2日後の決勝でもキープし、圧巻の1800回転!中国人選手として初のビッグエア優勝者となりました。
彼は幼少の頃から天才スノーボーダーと言われていたようですが、世界的に見ればまだ無名の選手で、この北京オリンピックのシーズンで突然、現れた選手と言っていいでしょう。
バックサイド・トリプルコーク1800も驚くべきことだけど、さらにヒールで踏み込むため回転数を出すのが難しいフロントサイドで1800 って、あり得ません!中国から誕生した回転モンスターです。彼の持ち技を考えれば、自国開催のオリンピックで、金メダルを可能性を持った選手。
日本人コーチの佐藤YASさんは、すでに彼の活躍を予想しており、2021年11月末にアップした動画で、「やがて世界トップをとるであろう男の子のガチトレ」をアップしています。
また、彼は元々俳優なのでハンサム。しかも、ナイスガイで中国では大きな期待の星だとか!
彼を題材にした映画の話も出ていると聞きます。
スー・イーミンがオリンピックで活躍することで、巨大マーケットである中国も大きな影響を与えるだけに、今、この17歳の好青年の周りはだいぶ賑やかになって来ているようです。
ジェイミー・アンダーソン Jamie Anderson
Date Of Birth: September 13, 1990
国籍: アメリカ
@jamieanderson
21-22 World Cup Standings: —
Stance: Regular
ジェイミーアンダーソンは、スノーボードの歴史の中で最も成功した女性ライダーでしょう。
近年、他の女性ライダーの台頭により、その地位は脅かされつつありますが、ジェイミーは長年女王でした。
ジェイミー・アンダーソンは、ロシアのソチで開催された2014年冬季オリンピック、初の開催種目となった女子スロープスタイルイベントで金メダルを獲得しました。またその4年後、韓国の平昌で開催された2018年冬季オリンピックでもこの偉業を繰り返します。2大会連続でオリンピック金メダルを獲得した最初の女性スノーボーダーになりました。
ジェイミーは2007年、2008年とさらに2012年、2013年のXゲームのスロープスタイルで金メダルを連続して獲得しています。 なんと彼女は合計14個ものメダルを持っています。(内訳:7個の金、5個の銀、2個の銅)
ジェイミーはサウスレイクタホで5人の姉妹と2人の兄弟がいる大家族で育ちました。彼女がスノーボードに夢中になった理由の1つは、兄弟がスポーツを楽しんでいるのを見ることでした。 9歳で初めてスノーボードをし、すぐにこのスポーツに夢中になりました。
現在、ジェイミーはカナダのブリティッシュコロンビア州ウィスラーに、カナダ人プロスノーボーダーであるボーイフレンドのタイラー・ニコルソンと一緒に住んでいます。
私は、普段ウィスラー、ブラッコムでスノーボードをしているので、ジェイミーが時々、ブラッコムの巨大キッカーで華麗なジャンプをしている姿を見かけることがあります。
アンナ・ガッサー Anna Gasser
Date Of Birth: August 16, 1991
国籍: オーストリア
@annagassersnow
21-22 World Cup Standings: 1st
Stance: Regular
アンナ・ガッサーは、2018年平昌オリンピックのビッグエアの金メダリストです。
彼女が初めてオリンピックに参加したのは、2014年ソチ大会でその時にはスロープスタイルに出場。予選では最高の結果を出し、決勝に進みました。しかし、決勝では2本ランとも転倒し悔しい思いをしました。
多くのオリンピックのスノーボード選手は、小さい頃からスノーボードを始め、競技に参加しています。しかし、アンナがスノーボードを始めたのは11歳の時で、大会に参加するようになったのは2010/2011シーズンから。それは彼女が9歳の時でした。スノーボードの大会に参加する前のアンナは、オーストリア国立体操チームの一員でした。彼女が、空中で行うトリックに長けているのは、元々体操で培った身体能力があるからです。
そんな彼女の身体能力の高さは、2013年11月に発揮されます。アンナは、女性ライダーとしては世界で初めて、キャブダブルコークク900をメイクし、名声を高めました。
2017年、アンナはスペインで行われたスノーボード世界選手権ビッグエアで金メダルを獲得。また、2017年にノルウェーで行われたXゲームスのスロープスタイルでも金メダルに輝き、ビッグエアでは銅メダルを獲得しています。同年のアスペンで行われたXゲームズのビッグエアでは銀メダル、翌年のアスペン大会では金メダルに輝きました。多くのスノーボーダーたちが注目するUSオープンのビッグエア大会で優勝し、世界選手権では100点というスコアで優勝しています。
アンナはスロープスタイルでも活躍していますが、特にビッグエアでは輝かしい成績を収めています。
またアンナは、2018年、女性ライダーとして初!キャブトリプル・アンダーフリップもメイクし、世間を驚かせました。以下の動画が、8万回以上も再生されています。
アンナはスノーボーダー以外でもその美しい姿でモデルの仕事をこなす時もあります。
https://www.instagram.com/p/CEdtq_qlkwS/?utm_source=ig_web_copy_link
ゾーイ・サドウスキー・シノット Zoi Sadowski‑Synnott
Date Of Birth: March 6, 2001
Nationality: New Zealand
@zoisynnott
Olympic Winter Games 2022 Allocation list Ranking: 7th
ゾーイ・サドウスキー・シノットは、2018年冬季オリンピックの女子ビッグエアで銅メダルを獲得し、2019年世界選手権の女子スロープスタイルで優勝。
彼女は、まだ二十歳。次世代のスロープ女王候補とも言える逸材です。
あどけない顔をしていますが、その成長ぶりには目を細めるばかり。
昨シーズンは、地球最高峰のライダー選手権とも言われたフリースタイル・バックカントリー大会、ナチュラルセレクションでも優勝しています。
こうした雪山を技術が長けた彼女は、特に21-22シーズン目覚ましい成長を遂げました。
オリンピック直前に行われたスノーボード最大の祭典、X GAMESではスロープスタイル、ビッグエア共に優勝してしまいました。
五輪2大会連続で金メダルを獲得して来たジェイミー・アンダーソンを破るのは、このゾーイ・サドウスキー・シノットである可能性が高まっています。
鬼塚雅 Miyabi Onistuka
Date Of Birth: October 12, 1998
Nationality: Japan
@miyabionitsuka
Ranking: 8th
Stance: Regular
鬼塚雅は、史上最年少のスノーボード世界チャンピオンであり、Xゲームズの金メダリストです。
雅は、雪山のない九州の熊本で育ちました。 かつて九州には屋内スノーボード練習場があり、そこでスノーボードが上手になりました。
彼女はオフシーズン中もジャンプ施設で練習を続けています。 日本にはそのようなオフシーズンの練習場が約15か所あり、これは日本チームが強い要因の1つです。
鬼塚雅はすでに6歳までに初の全国大会に出場しており、デビュー戦で初優勝を飾りました。彼女の才能を知ったバートンは、契約。鬼塚雅は、7歳の時に初めてのスポンサーが付きました。
私は彼女に初めて会ったのは、まだ8歳の時です。彼女は、夏のブラッコム・グレーシアで練習していました。
当時の雅は、まだ小さな女の子でしたが、すでに大きなレールやジャンプに挑戦していました。
後でお母さんに聞いたのですが、「雅がカナダに来たことは大きなきっかけとなった」と言っていました。雅は、その夏、世界的に有名なプロ・スノーボーダーたちとセッションしたことにより、このステージに上がれるという強い認識を持ったのだと思います。
その後、鬼塚雅は、わずか14歳でオニールエボリューションのビッグエア大会ででトップの座をつかみます。2015年にオーストリアのクライシュベルクで行われた世界選手権では、金メダルを獲得!’史上最年少のスノーボード世界チャンピオンになりました。
彼女は、その頃から卓越したパフォーマンスで、次々と主要タイトルを獲得しました。
すでに彼女はすでに世界中のプロの大会で活躍していましたが、2014年のソチオリンピックには出場できませんでした。当時、彼女は若過ぎて日本代表チームに選ばれていなかったのです。彼女はプロ大会で輝かしい成績を収めながらも、
すでに彼女はすでに世界中のプロの大会で活躍していましたが、2014年のソチオリンピックには出場できませんでした。当時、彼女は若過ぎて日本代表チームに選ばれていなかったのです。彼女はプロ大会で輝かしい成績を収めながらも、オリンピックに出場するためのFISポイントを獲得できませんでした。
悔しさをバネに平昌オリンピックを目指していた鬼塚雅は、遂に念願の五輪ステージに立ちます。しかし、当日の平昌は強風に見舞われ予選が延期。最終的には、出場26人全員が2回の演技で順位を決めるという特別ルールの中、スロープスタイルは強行されました。コンディション不良の中、思うような技を繰り出せずに19位という悔しい結果に終わります。また得意のビッグエアでも8位という成績に終わりました。
その後の雅は、2022年の北京オリンピックに向かって走り続けて、好成績を残しています。2019年に世界チャンピオンになりました。また2020年には、Xゲームズ初出場となったビッグエア大会で金メダルを獲得しました。
岩渕麗楽 Reira Iwabuchi
Date Of Birth: December 14, 2001
Nationality: Japan
@leila_iwabuchi
FIS Ranking: 2nd
Stance: Regular
4歳からスノーボードを始め、10歳でU-15世代のスノーボード・ルーキーツアーに相当するINDY PARK JAM(アルツ磐梯)で優勝を飾ります。そして、中学校1年にしてプロフェッショナル・スノーボーダーに転向し、世界各地の大会に出場するようになり期待のルーキーとして順調に成長しました。
幼少の頃から麗楽を見て来たKIRARA KAMPの橋本通代さん(※元オリンピック選手で長年ジュニアの育成に努めている)は、小さい頃からしっかりしていた子だった、と語っています。
レイラが初めてキララキャンプに来てくれたのは小学1年生の時。すでにジャンプ、ボックスが上手で、“みやびに続き、またまたすごいキッズが現れた!”と衝撃を受けたのを覚えています。
私はレイラのたくましい着地が大好きでした。小さい頃から軸が本当にしっかりしていました。
次に覚えているのは小5のレイラ。目的達成に向けてのカウンセリング。「どんなおばぁちゃんになりたいか、どんなお母さんになりたいか、どんな20歳になっていたいか、じゃあ、今何をしなきゃいけない?」という具合に計画を立てていったのですが、レイラは全て自分の言葉で応え、そして立てた計画以上の速さで全て有言実行しました。迷う事や悩む事があってもレイラは大丈夫。体だけでなく心の軸もしっかりしている。それがレイラの印象です。
世界のステージでレイラが笑顔で思いっきり楽しく表現できること、心から応援しています!
REIRAの名がもっとも世界に広がったきっかけは、2018年に彼女が16歳の時に参加したXゲームズのビッグエア大会です。
この時、Xゲームズ放送のコメンテーターは、「97パウンド(44キロ)の彼女がこんなトリックを決めるなんて凄い!」と伝えました。おそらく、全米の視聴者は、「こんな華奢で可愛い感じの女の子が、とんでもないトリックを決める!」 と驚いたことでしょう。
この時のXゲームズ 、麗楽はスロープスタイルで5位に入るのですが、その姿も印象的でした。なぜなら、彼女は身体がまだ小さかったので、どれだけ頑張って直滑降しても、いくつかのキッカーのアイテムではスピードが足らずにランディングまで届かなかったのです。そんな中でも、彼女の一生懸命に良い結果を残す姿は、世界中のスノーボーダーに感動を与えました。
近年、彼女はしっかりと身体作りも行い、ワールドカップのビッグエアでは総合で5回も優勝しています。また課題だったスロープスタイルも克服し、もっとも最近では2021年のスイスで行われたW杯で優勝することもできました。
また、2021年にW杯キックオフ・イベントで行われたスイスのW杯ビッグエア大会では、見事に予選1位通過に成功。決勝では残念ながら着地を決めることができず、表彰台に立つことはできませんでしたが、すべてのジャンプで己の最高演技を見せ続ける攻める姿勢に、一見おっとりした印象の彼女の内なる闘志を見た思いでした。
ちなみに彼女は、写真が撮るのが趣味のようで、世界で遠征中にアート感抜群のフォトを残しています。ぜひ、彼女のSNSをチェックすることをオススメします。
村瀬心椛 Kokomo Murase
Date Of Birth: November 7, 2004
Nationality: Japan
@cocomonsan
21-22 World Cup Standings: : 2nd
Stance: Regular
13歳の時、ノルウェーのオスロで開催されたビッグエア大会のXゲームズに、悲願のメジャーデュー!その大舞台で、女性選手としては初のバックサイド・ダブルコーク1260をメイクに成功し、金メダルを獲得!冬のXゲームズでの最年少での金メダル獲得記録も更新し、世界中のスノーボーダーを驚かせました。
この後もジュニアワールドツアーでは、圧倒的な強さで優勝し、またジュニア卒業後のワールドカップやXゲームズでも大活躍します。
しかし、順風満帆に歩んでいたスノーボーダー人生に大きな不運に見舞われました。2018年12月に合宿先のコロラドでの転倒により、右膝蓋骨骨折という大きな怪我を負ってしまったのです。その結果、彼女は1年半もの間、戦いの舞台から遠ざかりました。
しかし、この大怪我をバネに心椛は、リハビリに励み、アスリートとしれ身体を強くする方法を勉強します。そして、心身共に強くなってワールドカップの舞台に戻って再び輝き始めました。Xゲームズでは、トータルで5度もメダルを獲得します。
ただ、そんな活躍していた心椛でしたが、なぜか表彰台の真ん中に立つことができませんでした。13歳でデビューしたXゲームズから1位になることから遠ざかったいたのです。
しかし、2021年にスイスで行われた北京オリンピック・シーズン初戦のワールドカップで、彼女は他の選手を圧倒するパパフォーマンスで見事に優勝しました。決勝では、1本目にバックサイド・ダブルコーク1080をメイクし、2本目には、フロントサイド・ダブルアンダーフリップ900で2位以下の選手を寄せ付けずに、そのままトップを走り続けて頂点に立ちました。
ところで、私は初めて彼女を見たのは、まだ心椛が12歳の時です。お母さんといっしょにカナダにやって来て、ブラッコムのパークで滑っていました。
お母さんはキッカーの横でビデオカメラで撮影し、時々、 心椛のジャンプ映像を確認しながらフォームをチェックしていました。温かい春の日差しの中、僕も近くで写真撮影をしましたが、ちょうどその時、彼女は初めてフロントサイド1080をメイク!運良く、そのエアシーンをカメラに収めることができました。
おそらく、幼少の頃から彼女はこうした両親のサポートを受けながら、成長したのだと思います。負けず嫌いでスノーボードが大好き!という心椛。こうした彼女の気持ちを、ご両親は温かく見守り応援し続けて来たのでしょう。
ちなみに2つ下の妹、由徠もジュニアのチャンピオンです。将来は姉妹でワールドカップの舞台で活躍する姿が見れることでしょう。
OLYMPIC WINTER GAMES 2022 ALLOCATION LIST SNOWBOARD
2022年オリンピック冬季競技大会配分表 スノーボード(スロープスタイル/ビッグエア)
北京オリンピックの参加者数:男子30名、女子30名。その内、1人は自国開催枠で、中国の選手に割り当てされます。
したがって、男女それぞれ29名の五輪出場枠を北京大会まで争います。
また、1つの国の最大参加者数は、男女それぞれで4名までです。例えば、1つの国に5人のポイントが高い選手がいても、その国は4名までしか出場させることができません。
ポイントの加算される時期は、ビッグエアが2019年7月1日から2022年1月16日までの期間に行われたFISワールドカップ大会の他、2021年に開催された世界選手権も含まれます。 その内、最高スコア4つが採用されます。
スロープスタイルも同様に、2019年7月1日から2022年1月16日までの期間に行われたFISのW杯&世界選手権の最高スコア6つが採用されます。
ランキングは上記の平均スコアによって決定されます。
Men
- Marcus Kleveland (NOR) 482pt
- Chris Corning (USA) 476pt
- Redmond Gerard (JPN) 444pt
- Max Parrot (CAN) 420pt
- Ruki Tobita (JPN) 415pt
- Mark McMorris (CAN) 412pt
- Sebastien Toutant(CAN) 383pt
- Ryoma Kimata (JPN) 362pt
- Sven Thorgren (SWE) 348pt
- Rene Rinnekangs(FIN) 329pt
さらなる詳細順位は、以下のFISページのリンクを参考に。
https://www.fis-ski.com/DB/v2/quota/allocation/owg/sb/2022?gender=M&event=SS-BA&page=1
Women
- Kokomo Murase(JPN) 738pt
- Reira Iwabuchi(JPN) 723pt
- Anna Gasser(AUT) 665pt
- Laurie Blouin(CAN) 628pt
- Katie Ormerod(GBR) 589pt
- Jamie Anderson(USA) 548pt
- Zoi Synnott Sadowski(NZL) 517pt
- Tess Coady(AUS) 503pt
- Annika Morgan(GER) 452pt
- Brooke Voigt(CAN) 431pt
さらなる詳細順位は、以下のFISページのリンクを参考に。
https://www.fis-ski.com/DB/v2/quota/allocation/owg/sb/2022?gender=W&event=SS-BA&page=1
日本人選手メダル予想
ビッグエアとスロープスタイルは同じ選手が出場するが、日本勢にとってはビッグエアの方が分が高いでしょう。
しかし、近年の日本人男子選手は劣勢の大会が多く、正直メダルを獲るのは難しいと思われます。
また、世界的に見ても誰が勝ってもおかしくない状況なので、そういった意味では、混戦の中から日本人男子の誰かが出ることも期待!
そんな中、今季、突如台頭して来た地元中国のスー・イーミンは、持ち前の持つ技からして金メダルを獲得してもおかしくないでしょう。地元の利で、むしろ金メダル候補と言ってもいいかもしれません。
一方、女子の方は期待大です!
日本が誇るトップ3の鬼塚雅、岩渕麗楽、村瀬心椛はメダルの期待が高まります。
ライバルとなりそうなのは、アンナ・ガッサー、そしてジェイミー・アンダーソン。さらにゾーイ・サドウスキー・シノット、カナダのローラー・ブルーイン、オーストラリアのテス・コーディにも十分可能性があるでしょう。
日本人選手のメダル予想としては、男子は残念ながら難しい。女子は、メダルの色はわからないが、1個から2個は獲れるでしょう。特にビッグエアという種目は、日本女子のお家芸でもあるから、ここは期待を込めてメダル2つと予想しておきます。