こんなスノーボーダーは憧れのヘリ・スノーボーディングには行けない!意外に知られていない2つの基礎ライディング技術

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先日、たまたまウィスラーのビレッジで、以前からよく知っている知人の方に会いました。その方は、ヘリ・スキーイングの会社に勤務しており、ベテランでひじょうにヘリ・スキー、スノーボードのことに熟知しています。

今季はお客さんがたくさん来てくれて忙しい、と言ってました。
自分もイントラしていて「よく、ヘリ・スノーボーディングに行くという方がいます」と伝えたところ、結構、困ったボーダーが多いと言います。

「えっ、そうなんですか!パウダーを滑れる技術があれば、行けると思っていたのですが、違うのですか?」と聞くと、「いやあ、パウダーを滑る技術だけはダメ」と、そのベテラン・ヘリガイドの方は言います。

ウィスラーのヘリ会社では、4本ランと6本ランの2つのコースがあるのですが、特に4本ランに来るスノーボーダーで困ってしまう方がいると言うのです。
そこで、意外に知れれていない2つの基礎ライディング技術をご紹介しましょう。

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急斜面でのトラバース能力

ヘリ・スノーボーディングでは、単にパウダーを滑る技術だけはなく、パウダー斜面を求めて、トラバース(斜滑降)技術も求められます。
ヘリから降りて、急斜面のところをトラバースしないといけないことが多々あるようなのですが、その時にスノーボーダーで、どんどん斜面下へ降りてしまう人がいると言うのです。
それだと狙った斜面に行けなくて困ると言います。

たしかにスノーボードのレッスンをしていると、パウダーではある程度、滑ることができるのに、トラバース技術がなくて、どんどんと谷側へ下がってしまうスノーボーダーがいます。
トラバースする時に、すでにラインが付いていれば、あとは助走を付けて滑るだけなのですが…。エッジングが弱かったり、姿勢が悪くて、うまくトラバースできない方がいるのです。
スキーヤーの場合、2つのエッジを利用してトラバースできるので安定しています。しかし、1本のエッジを利用して滑るスノーボーダーには、トラバースするのにハンデがあるのです。
もしも、谷側へ落ちてしまった場合には、面倒だけど一度、片足だけのビンディングを外して、2、3歩でも山側に上がり、そこで再び履いてトラバースすることで、ラインを保つこともできますよ。

急斜面からフラット斜面での直滑降能力

次に困る方は、直滑降の能力がない人です。
ヘリ・スノーボードでは、基本的には最適なスポットを求めて、ヘリで移動してくれるわけですが、スポットからスポットの移動手段として直滑降を求められるそうです。
その場合、ラインが付いていた方が楽なので、まずスキーヤーのガイドが先に滑ってラインを付けます。あとに続くスノーボーダーは、そのラインをトレースするだけなのですが、それができない方がいると言います。

確かに、自分のレッスンでも急斜面からフラット斜面のパウダーを滑る時に、「あのポイントまでターンしていいけど、あとは直滑降しないとフラットのところで止まってしまいますよ」と伝えても、怖がってしまいのか、ポイントを超えるところまでターンしてしまい、スピードを出せなくてフラットで失速し停止してしまう方がいます。
そんなタイプの方もヘリ・スノーボーディングは難しいです。

実際にヘリに参加した方の体験談

今季、私のスノーボード・レッスンに参加してくれた女性が、ちょうど昨日、ヘリ・スノーボーディングを体験したので、そのこともお伝えます。
彼女には、事前にトラバース技術と直滑降能力があることを確認しておきました。
実際にその技術は役立ったということですが、それほど高いレベルでもなかったということです。つまり、通常のゲレンデでまずまずトラバースができて、直滑降できれば、まったく問題なかったということ。
それ以上に心配になったのは、転倒した際に、グループのセッションに支障をきたすことです。

ヘリ・スノーボードは、数人のグループでいっしょに滑ることになるのですが、基本的に同時に滑ることはありません。常に一人ひとり滑るのです。
その理由は、確かなことはありませんが、衝突事故を恐れているのかもしれません。あるいは雪崩の発生を恐れているのかもしれません。
ともかく、一人ひとり滑るので、誰かが転べば、彼、もしくは彼女が起き上がって滑り降りる切るまで、次の人は待つことになるというのです。
実際に彼女は、このような問題はなかったのですが、グループの中には転倒してしまって、苦労された方もいたようです。
転倒した場所が深雪で、フラットに近い斜面だったら、起き上がるのに苦労しそうですね。
だから、以上のことも踏まえて、ヘリ・スノーボードに望まれるといいでしょう。

まとめ

まとめます。
ヘリ・スノーボーディングでは、まずはトラバース能力があること。
次に直滑降能力があること。
もちろん最低限パウダーでターンする技術、またパウダーでスタックしても斜面に立つ身体能力(特に腹筋)が、求められます。

以上がクリアしていると思う方は、ぜひ憧れのヘリ・スノーボーディングにいつか(?)トライしてみてください。

ちなみにウィスラーでのヘリ・スノーボーディングのコストは、以下、カナダドルで

4本ラン:$1345~$1445
6本ラン:$1730~$1830

となっています。
価格が、~(から)になっていますが、時期によって変動します。

コラムニスト・飯田房貴
1968年生まれ。東京都出身、カナダ・ウィスラー在住。
シーズン中は、ウィスラーでスノーボードのインストラクターをしており、年間を通して『DMKsnowboard.com』の運営、Westbeach、Sandbox、Endeavor Snowboards等の海外ブランドの代理店業務を行っている。日本で最大規模となるスノーボードクラブ、『DMK CLUB』の発起人。所属は、株式会社フィールドゲート(本社・東京千代田区)。
90年代の専門誌全盛期時代には、年間100ページ・ペースでライター、写真撮影に携わりコンテンツを製作。幅広いスノーボード業務と知識を活かして、これまでにも多くのスノーボード関連コラムを執筆。主な執筆書に『スノーボード入門 スノーボード歴35年 1万2000人以上の初心者をレッスンしてきたカリスマ・イントラの最新SB技術書 』『スノーボードがうまくなる!20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING』がある。
今でもシーズンを通して、100日以上山に上がり、スノーボード歴は38年。
スノーボード情報を伝える専門家として、2022年2月19日放送のTBSテレビの『新・情報7daysニュースキャスター』特集に、また2022年3月13日に公開された講談社FRIDAY日本が「スノーボードの強豪」になった意外な理由にも登場。
インスタ:https://www.instagram.com/fusakidmk/
ツイッター:https://twitter.com/dmksnowboard

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