平野歩夢がDEW TOURで復活V!北京五輪以来の優勝を飾る

広告 five  

平野歩夢が、北京オリンピック以来となる2戦目の大会で遂に復活Vを果たした。
全米スノーボード・ファンが注目するプロ戦、DEW TOURコロラド州カッパーマウンテン、男子スーパーパイプ決勝で優勝を飾った。信じられないが、歩夢にとっては、初のDEW TOUR制覇!「めちゃくちゃに嬉しい」とクールな男が喜びを爆発させた。
さらにコンテスト直後に行われたセッションで22フィート8インチも飛びハイエア賞(※一番下のインスタ動画で紹介)、ベストトリック賞も獲得した。
3位は、終始高さのあるエアで観客を魅了し続けた盟友、片山來夢だ!!

男子スーパーパイプ出場8人の選手は、4本のランを滑ることができ、ベストランが採用されるルール。
平野歩夢は、1本目、2本目とメイクできずに手こずった。一発目のフロント1440がボトム方向に流れてしまい、どうもスピードに乗らなくて、次のキャブ1440のメイクができない…。パイプのシェイプがやや狭くアイシーコンディションでイマイチなのか、持ち味を発揮できずに苦しんでいた。
しかし、3本目に見事にランを完成させた。

広告

フロントサイドダブルコーク1440インディ→キャブ1440ウェドル→クリップラー・ジャパングラブ→バックサイド900ウェドル→フロントサイド1260インディ

3本目のラン成立で気持ちにゆとりが出たのか、歩夢はラスト4本目にはさらにチャージした。(※先の動画で紹介している歩夢のランはこの4本目!!)
クリーンにバック・トゥ・バック1440を決めた後に、鮮やかなジャパングラブのクリップラー。そして4ヒット目はバックサイド900をさらにグレードアップさせて、バックサイドダブルコーク1260ウェドル!最後のフロントサイド1260の着地もピタ着に決めて完璧なクリーンなランで、ぶっち切り優勝を成し遂げた!!

ゴールエリアでインタビューアーにコメントを求められて、ラン直後で興奮状態だったのか答えられなかった歩夢の変わりに、片山來夢がコメントしてくれた。
That was crazy!(あれは、ヤバ過ぎ!)」と、チームメイトを祝福。このコメントを受け、会場も大いに盛り上がった。

この時期、ナショナルチームの選手たちは、ジョージアのバクリアニで開催されている2年に一度開催されるスノーボード世界選手権に参加。しかし、歩夢は世界選手権を回避して、アメリカで行われているプロ戦に参加した。DEW TOURは歩夢にとって、史上初のトリプルコーク1440を披露した記念すべき大会だ。その勢いで北京オリンピックへ乗り込み金メダルを獲得した。縁起の良い大会で、勝敗うんぬんではなく自身の思いを賭けるルーティーンを決めたかったのだろう。1本目、2本目に失敗しながらもフロント1440からキャブ1440という高難度のコンボにこだわったのも、そんな歩夢の秘めた覚悟があるように見えた。結果3本目にメイクし、4本目はさらにクリーンに完璧に決めたことで、歩夢の目標テーマがクリアしたに違いない。ランを決めた時の、安堵した笑顔がそのことを物語っていた。

アラブ首長国連邦で行われたパリ五輪のスケートボード選考大会では、残念ながら予選落ち。「今は、スノーボードのためのスケートボードにしている」という歩夢にとって、やはり輝ける舞台は、冬の世界にあるようだ。

©Yoshida

スーパーパイプの表彰式の後、通訳のアシストを受けながら、歩夢はコメントを残した。
「プレッシャーを自分の力にうまく変えられました。DEW TOURは僕が今まで勝ったことのない唯一のメジャー大会なので、とても興奮しています!めちゃくちゃに嬉しいです」
北京オリンピック金メダル、銀メダル2つ(ソチ2014、平昌2018)、さらにX Gamesで2つの金メダル、FISワールドカップ5勝という実績に加えて、遂にDEW TOURの王冠を得た。

©Durso

片山來夢の2本目も圧巻のランだった。この日、誰よりも高くエアトゥフェイーキーで入ると、キャブダブルコーク1080、フロントサイド900メラン、バックサイド900ウェドル、最後にはフロントサイドダブルコーク1260テールだ!終始スムースでダイナミックなトリックを決めた。回転数は、上位2名選手に劣ったようだが、ラン自体のスムースさとジャッジングには評価し難い細かいスタイル面など考えると、本当に素晴らしくクールなランだったと思う。
2本目までに歩夢が調子悪かっただけに、この片山來夢の2本目に出した90点が優勝ポイントになるかもしれない、という雰囲気も漂っていた。

3本目で歩夢に抜かされ、さらに最後の走者となったティラー・ゴールドに逆転され2位から3位に落ちるドラマ展開があった。しかし、この日の來夢は常に高いパフォーマンスを発揮し、ゴールエリアでは観客にハイタッチをするなど、最も会場を沸かしたライダーだった。

「観客席にはたくさんのファンがいて、もっともっと高く行かなきゃ!とずっと思っていました。ハーフパイプの横にも、下にもファンがいて、声を上げて盛り上がっている。とても元気をもらえます」と明るく語った。まさに名前のように來夢(ライブ)感を大切にする気持ちが、観客のハートも撃ち抜いたようだ。

©Yoshida

W杯から遠ざかっているパイプ界のレジェンド、34歳になったダニー・デービスも参加。テレビ解説によると、ダニーは、パパになったそうで、この日の大会の賞金で、紙オムツを買わなければいかなかったそうだ。やる気満々のパパは、どの選手もやりがちなルーティーンをほぼ固めるのではなく、4本ランで様々な技の組み合わせを見せるテクニシャンぶり。もちろん、シグネチャートリックでもあるスイッチメソッドやジャパングラブでのマックツイストも決めた。
さらにユニークだったのは、ダニーの板だ。168センチものクレイグケリーシグネチャーモデル(テストモデル?)で出場したのだ。クレイグのモデルがあった時代は、チャンネルシステムでなかったので、この板はダニーのために特注で作らせたのかもしれない。多くの選手が150センチ台の板でパフォーマンスする中、ダニーはここでもユニークさを発揮していた。この日、もしパイプがパウダーで覆われたら一人長い板を使用していたダニーが、優勝していたかも!?

©Yoshida

ちなみに今回のDEW TOURのスーパーパイプの解説は、あの北京オリンピックの平野歩夢の2本目のジャッジ得点に「あり得ない!」と疑問を投げかけたトッド・リチャード。今回は、納得の得点に安定した解説ぶりだった。

(写真左、スーパーパイプで解説を務めたトッド・リチャード氏。かつて長野五輪に出場し、USオープンでも勝者にもなったレジェンドは、現在は名解説するパイプ博士だ)

NameCountryRUN1RUN2RUN3RUN4BEST
1Jason WolleUSA53.0072.3373.0073.00
2Sidd UllahGBR44.0012.6632.0044.00
3Josh BowmanUSA15.3345.3331.5376.3376.33
4Ryan WachendorferUSA87.6618.3361.6687.66
5Raibu KatayamaJPN29.0090.0037.6690.00
6Danny DavisUSA54.3368.0054.6668.00
7Ayumu HiranoJPN17.6617.6693.0096.6696.66
8Taylor GoldUSA46.3338.3348.0091.3391.33

Men’s Snowboard Superpipe Final Results

1. Ayumu Hirano JPN
2. Taylor Gold USA
3. Raibu Katayama JPN
4. Ryan Wachendorfer, USA
5. Josh Bowman USA
6. Jason Wolle USA
7. Danny Davis USA
8. Sidd Ullah GBR

広告