カナダ・ワーホリで新しい経験を!増田吏玖インタビュー

photo: @Jordy_Shot
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増田吏玖(ますだ・りく)は、わずか2歳でスノーボードを始め、小学5年生になる頃にはすでに大会に出場していた。しかし、周囲のライバルがレベル高いスピントリックで次々と技を磨く中、彼は伸び悩んでいた…。そんな時、中一の時に運命的な出会いが訪れた。彼が出会ったのは、海外のスノーボードシーンでも名を馳せていた高橋烈男師匠だった。

当時、ストリートでも活躍していた高橋烈男に憧れた増田吏玖は、ジブの練習に励み、様々な楽しいスノーボードの技術を学んでいった。高校時代には奥利根スノーパークでディガーとしての経験を積み、同スキー場で雪上車の仕事を始めた。昨年は川場スキー場をホームに変えてスノーボードを続け、ついには人々を魅了する滑りが認められスポンサーを受けるまでに成長した。
そして、師匠のアドバイスもあり、彼はカナダへワーキングホリデーに向かった。

「持ち前のバネとオーリー技術が素晴らしく、その高さは他を圧倒します。そして、何より楽しそうに滑る姿が魅力的です!」

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師匠の推薦コメントにより実現した今回のインタビュー。連日30度を超える猛暑のウィスラー初夏、「経験を積むためにワーホリでカナダに来た!」と力強く語った増田吏玖にキャッチアップした。

インタビューアー:飯田房貴 @fusakidmk
カバーフォト:@Jordy_Shot

--師匠の高橋烈男から、「僕ができなかったスノーボードをしてもらいたかったのでワーキングホリデー進めて行かせました!」と聞いたのですが、烈男くんが言う「僕ができなかったスノーボード」って、何だろう?

吏玖:僕の師匠である烈男さんは、海外でも活躍されていて、様々なシーンを見て来られたと思います。
その烈男さんに「ワーキングホリデーは経験しておいた方が良い」と勧めてもらったのもあり、必ず行こうと決めていました。
僕的に、ワーキングホリデーで1年という長い期間を海外で過ごしながら常に英語環境に自分の身を置くこと、また仕事をしながらスノー以外の他の職種の方々ともコミュニケーションを取り視野を広げること、そして、冬のシーズンに海外でしか体験できないようなことを考え滑りのレベルアップをする、という部分なのではないかと思います。

--なるほど。吏玖は、カナダでのワーキングホリデーで、どんなことをやろうと考えていますか?

吏玖:まずは、多国の方々としっかりコミュニケーションを取れるように英語を勉強すること。また、海外のスキー場で働くこと、そして僕自身が海外で滑るのが初めてなので、様々な人の滑りを見て、今後のスノーボード人生に活かせるよう、たくさんの経験を積むことです。

--今回のインタビューアポを取る時、もうすでに仕事していると聞きましたが、どこで働き始めたのですか?

吏玖:先週から、Brewhouse(ブリューハウス)で働いています。フライヤー(※揚げ物やバーガーを作る仕事)をやってます。
とても忙しいですが、時給はいいしチップもいただけるというので、ありがたいです

ウィスラーにあるBrewhouseは地ビールが有名で、大人気の軽食&バーレストラン。その建物の前で記念撮影)

--宿は?

吏玖:イチローさん(※)のところにお世話になっています。ビレッジ内でとても良い環境なのですが、せっかくカナダに来たので、外国人といっしょに住むことを計画中。英語がもっと上手に話せるようになりたいので。
(※ウィスラーでは兄貴的な存在の日本人スノーボーダーの中山一郎さん。くわしくは、以下のインタビューも参考:迷走ボーダー中山一郎 | 日本一わかりやすいスノーボードサイト!DMKsnowboard

--すでにウィスラーの春シーズンを過ごしたということですが、どんな印象を持ちましたか?

吏玖:ウィスラーに来て驚いたのは、山の規模が日本とは比べ物にならず、パークのレベルも全く違うと感じました。
春だったので、コース下部は地肌が見えていましたが急斜面が多い印象でした。
ここで毎日滑っていたら、間違いなくフリーライディングが上達するだろうと思いながら滑っていました。

--具体的にウィスラーで滑ると、うまくなるってどんなことが要因だろう?

吏玖:コース自体が日本よりも長いので、体力や筋力の向上が期待できます。
一般的に言われるフリーランでの体重比率は前足4割、後足6割で滑るのが普通なのかな、と思いますが、ウィスラーのような急斜面を滑る際、そのポジションでは板のバタつきを抑えられません。こうした状況でのボードコントロール性能を向上させるのに適した環境です。また、地形も豊富なので、総合的にスノーボードの技術が向上します。

--滑りを映像で拝見したのですが、熱いというか攻めている感がバンバン出ている印象。なんか師匠の烈男くんを彷彿させるような。

吏玖:よく周りのみなさんに言っていただけます。常に車での移動中は烈男さんのDVDパートをひたすらリピートして見直していたので、それの影響ですかね。 また中一の頃から教わっていたこともありそれが体に染み付いたのかなと思います!

--烈男くんからゼブ・パウエルアーサー・ロンゴもLikeしていて522万回再生されているインスタ動画があると聞きましたが、その動画を紹介してください。また、その時の状況や気持ちを聞かせてもらえますか。

吏玖:僕は川場スキー場で圧雪の仕事をしていたので、常に「何かできないかな!?」とイメージしながら圧雪車に乗っていました。
あの日も圧雪後に滑っていたのですが、たまたま烈男さんと一緒に滑れるタイミングがあり、飛べそうなスポットを探しながらフリーランをしていました。
シーズン中、烈男さんが育てていた左壁があり、かなり飛ぶことのできるスポットでした。
様子を見ながら2本飛び、3本目にバックサイド360を掛けたら、かなり空中で余裕がありました。
僕の体のコンディションも良かったので、リフト乗車中に次にバックサイド540を掛けようと思っていました。
そしてバックサイド540を仕掛けたら、これもかなり空中で余ってしまい立てないと思ったので、その場で目線と上半身を止めず、そのままB720まで持っていきメイクすることができました。
まさか、ここまで再生されるとは思いませんでしたし、有名なライダーのみなさんから、いいねをしていただけたことが嬉しかったです。
僕自身、この動画をきっかけに、さらに頑張ろうと思う事ができ、モチベーションアップにも繋がりました。

--まだ若いんだよね。何歳ですか?

吏玖:今20歳です。来年1月にウィスラーで21歳になります。

--よく幼少的からスノーボードを始めて、若い頃からコンテストに走ると、ナショナルチームに入ってオリンピックを目指す子が多いです。だけど、吏玖の活動は、そんな路線から外れているように思えるのですが。

吏玖:小さい頃は目指していました。だけど、360、540、720と回転数を増やしていく時に、伸びきれない自分が…。この壁にぶつかった時は、スノーボードの楽しさでさえも無くなってしまうくらい嫌になってしまう時期で…。 そんな時、中一で烈男さんと出会い、良いきっかけを与えていただきました。 そして、またスノーボードの楽しさを再確認できたし、大会が全てでは無いと思えたのです。
今思えばその壁を乗り越えてからは、心の底からスノーボードを楽しむようになりましたし、周りからも「吏玖はほんと楽しそうに滑るよね!」と言っていただけけることも増えました。 そんなこともあって、今ではとにかく楽しんで滑ることを心がけています!
それから、ここ1、2年で地形を活かした滑りもするようになってきて、今ではロケットボーイと言ってもらえるほど地形を飛ぶことがメインになってきました。 ハイスピードでアプローチしてデカく飛ぶことが好きですし、着地はキッカーの様に決められた長さではなく、どこまで飛んでも着地があるのが僕にとっては自由に表現できる場だと思っていますし、それが僕らしい表現の仕方だと思っています。

(中1で初めて師匠、高橋烈男と会った時の写真。運命の切り開くきっかけとなった!)

--なるほど。元々コンペティターで頑張っていた子が、あとで映像、写真シーンで開花するパターンはこれまでにもありました。吏玖はどんなプロライダー像をイメージしていますか?

吏玖:滑りで見せれるライダーになりたいですね。
インスタ映像、あるいは写真でも!

例えばホームである川場スキー場で、僕が地形でデカく飛んだとします。その時にその滑りを見ていてくれた方が、「あの人はヤバい」とか「あの人は誰?」みたいに興味を持ってもらえるのが僕の中では理想ですし、あの人の滑りまた見たいから、またスノーボードしに行きたいとなって、いただけけたらとても嬉しいです。
単純にこの人、カッコいい!と思ってもらえるようなライダーでいれるように頑張ろうと思います。


--素晴らしい!来るべきシーズン、24-25シーズンでの活躍することが楽しみだし、ぜひいっしょに撮影に行きましょう!

吏玖:ありがとうございます!良い映像ももちろん、ぜひ良い写真も残して、スノーボードの魅力を一人でも多くの人に伝えられたら最高です。

--何か、おもしろいことができそうだね。他に密かに企んでいることありますか?

吏玖:この春、縁合ってドン・ウィラーと会うことができました。彼とセッションしようと約束ができたので、ぜひ実現させ、いろいろなことを吸収したいです!

--それは超楽しみ!彼はブラッコムパークの主、ボスとも言われた存在だから。いい出会いしましたね!
最後に、カナダのワーホリは一年間ですが、その後の人生は何か考えていますか。

吏玖:まだ、誰にも言っていないのですが…。日本に帰ったら、お世話になった川場スキー場でイベントをやりたいと考えています。 川場スキー場はゲレンデ自体はコンパクトですが、豊富な地形や、上質な雪質などをたくさんの方に知って頂きたいからです。 ナチュラルな地形を活かしたイベントを開催したいですし、僕が一番大切にしている「スノーボードの楽しさ」を同時に感じていただけけたら良いなと考えています!


増田吏玖プロフィール
Riku Masuda
@riku__masuda
生年月日:2004年1月14日
出身地:東京都足立区
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