ニュージーランドの人気スキー場で知られるコロネットピーク、その所有者であるNZSki社が、2019年にスキー場で起きた死亡事故で60万ドル(※日本円でおよそ5千300万円)の支払いを命じられたと地元ニュースメディア、New Zealand Heraldが伝えた。
事故に遭ったのは、元スキー・インストラクターのアニタ・グラフさん(60)。2019年9月21日に、Sugar’s Run(シュガーズ・ラン)の下にある貯水池を守る木と金網のフェンスのパッドなしの支柱にスキーで突っ込んで死亡した。
WorkSafe(ワークセーフ)は、このフェンスに関する同社のリスク管理が不十分であり、スキーヤーを保護するために「セーフティ・キャッチ・ネット・フェンス」をフェンスの長さ方向に設置すべきだったと主張した。たしかに当時の写真を拝見すると(※トップ写真@WorkSafe)、フェンスがもっと長く、また支柱にイエローのパッドが巻いてあれば、防げるような事故に見える。
4月にクイーンズタウン地方裁判所で行われた裁判の結果、同社は、フェンスがもたらす危険の適切な評価を怠り、グラフさんを死亡または重傷の危険にさらしたとして、労働安全衛生法で有罪判決を受け、有罪が確定したという。
特にこうした事故は、春先の雪が減った時期に気を付けなくてはいけなさそうだ。おそらくスキー場責任が問われやすい日本国内においては、このようなミスはないと思うが、現場で働くパトローラーの方は、このような事故を教訓により一層注意してほしいと思う。また滑る方も絶対に安心であると自分の技術を過信せず、よく周りを見渡して安全に滑ってほしいと思う。特にこれから海外へ滑りに行く方は、海外では日本のようにコースを整備していなくて、より開放的なコースデザインになっていたりしているので、気を付けてほしい。
ちなみに記者は、普段はウィスラーでインストクターをしシーズンを通して130日間ほど山に上がっているが、スキーヤー、スノーボーダーが集中したり、スピードを出せるような場所では、360度見渡すような感覚で安全に滑走することを心掛けている。それはちょうどサッカーやバスケの選手が絶えず、360度空間意識しているような感覚だ。スキーヤー、スノーボーダーはスピードが出るほど視野は狭くなる傾向があり、またナーバスになることでも視野が狭くなってしまうので、リラックスして安全に滑るように心がけるようにしよう。
以下、参考記事『スキーヤーとスノーボーダー衝突事故の原因と回避させる方法』。今回のフェンスに当たったこととは違う滑り手同士の回避方法を紹介した記事だが、参考になると思うので、ぜひチェックしてほしい。