【レポート】2019 DMK GWウィスラーツアー DAY2

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2019 DMK GWウィスラーツアー DAY2のレポート。
前回のDAY1の模様は、以下からご覧ください。
https://dmksnowboard.com/club/2019-dmk-gw-whistler-day1

Report: Masumi Oya

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旅の疲れも一晩眠ることでだいぶリカバリーできた。ただ疲れていても感じることができないぐらい興奮していた。恋い焦がれたウィスラーで滑ることができるのだから。

この季節のウィスラーって寒いの?スキー場のホームページで確認してみたら結構寒そう。初日の昨日は雪山には登っていないのでTシャツにウィンドブレーカー一枚で快適に過ごすことが出来た。あくまでも暑がり基準だが、普通の人でもロンTに羽織るものがあればビレッジ内だったら過ごせそうだ。ただ夜になるとぐっと気温が下がるのでプラスジャケットも必要。レイヤリングがおススメです。

滑る格好ですが、この日はハイシーズンの格好で挑んでみることに。暑いときには脱いで仕舞えるようにバックパックも担いでいく。寒いとき用にダウンベストと昨日四苦八苦しながら自動販売機で購入したお水を詰め込む。バックパックはゴンドラの終点ラウンドハウスロッジに置いておける場所がある。ただ盗難の恐れもあるので気合を入れて高級なバックパックはおススメしません。じっさい昨年クラブの会長の村田さんは被害にあったそうです。ご注意を。

二つの山で構成されるウィスラーブラッコムはこの春のシーズンになると、どちらかの山がクローズする。ここ数年間はずっとウィスラー側がクローズとなり、ウィスラーツアーといいつつも、その実ブラッコムで滑るという状態でした。もちろんブラッコム側もすばらいいスキー場であり、特にパークは超一流で世界中のライダーが訪れる。今年のクローズとはブラッコム側なので久しぶりの真のウィスラーツアーとなるのです。

初日のメインガイドは飯田房貴。DMKスノーボードクラブの創始者であり、カナダに在住し、今でも100日以上は山に上がる生粋のスノーボーダー。世界中からウィスラーに訪れる人々に公式のインストラクターとしてスノーボードの楽しさを広めている伝道師。同時にインターネットが普及して間もない頃からホームページを開設し、積極的に活用。毎日スノーボードの情報を発信し続けるジャーナリストでもある。正にスノーボードを人生の中心にどんっと据えている頼もしいBOSSなのです。見かけは普通のおっさんですが。

彼にとってウィスラーはホーム中のホーム。ここ数年ツアーはブラッコムでやることが多かっただけに、久しぶりのウィスラーに本人的に思い入れは人一倍みたいです。そんなフサキさんとガイドの岡真衣ちゃんとゴンドラ前で合流する。

今まで長々と感傷的な文を続けてきたが、やはりこのウィスラーへの想いは強い。
DMKスノーボードクラブに入って10年以上経つが、今の今まで私はウィスラーには来たことがない。ずっとこの山ってどんななんだろうと想像し続けてきたし、本当に夢も何度も見た。

ウィスラーで出会うフサキさんはどんなか感じだろう。初めて出会った平井の駅。Tシャツ短パン、サンダルという出で立ち。古びた自転車のカゴにはサッカーボールが入っていたなぁ。ものすごく気さくなおじさんのフサキさん。ハタマタ年に一度開催される展示会に一時帰国して時差ボケで寝ぼけた顔のフサキさん。そんな顔しか知らないけど。昨日は普段着で会ったのでいつも通りのフサキさんだったけど、今日は雪山だ。きっと・・・

ーーーと、いつものおじさんなフサキさんでした。本当にどんな時でも全く変わらない。老舗の伝統の和菓子かってくらい何も変わらない。短パンだろうがウェアだろうが下町だろうがリゾートとだろうがフサキさんはいつもフサキさんだ。なんだろう、それがこの地に来て少し不安な私にとって、安心感からなのか、嬉しさが湧き上がってくる。一緒に滑るんだ。
スノーボードの楽しさを教えてもらったこの人と。

この時期はゴンドラのスタートは10:00から。ゆったりとしたもんです。全員合わせても7人なので一つのゴンドラに乗り込んで山を登りはじめる。終着駅のラウンドハウスロッジまでは25分かかるという時点で山の大きさを実感する。ローカルの二人で今日の雪質やコースの状況などを話し合っている風景に頼もしさを感じる。この二人ならば不安なく楽しむことができるだろう。とても贅沢なツアーだ。

ゴンドラから降りると少し薄暗い。そのコントラストで出口がもの凄く明るく見える。光の方へ進んでいくとカナダの国旗が風に揺れているのが見える。このゴンドラ駅を出ればウィスラーだ。平静を装いながら一歩踏みだす。閉塞感のある駅から出ると一気に冷たい空気に体が触れる。足元を見ると出口付近は汚い雪。しかしそのまま歩いていくとすぐに白い綺麗な雪になる。ギュっと音がなるような感触に否が応にも顔がニヤける。瞬時に日本の雪と比較してしまう自分がいやらしいけど、仕方がない。汚れも少なく白い雪は4月末の雪とは思えないほど上質だ。そのまま顔をあげると目の前に広がるのは青と白の世界。ああ来てしまったウィスラーに。

高ぶる心を落ち着かせながらもオリンピックの表彰台で記念撮影。そういえばバンクーバーオリンピックってやったんだなぁ。

さあ、とうとう滑りますよ。滑るんです。このウィスラーのために板もバインも新調してきたんです。遠足行くのに新品の靴で行くのは豆ができるので先生に怒られてしまうが、幸い怒る先生もいないのでやりたい放題。でも日本でちゃんとテストしてきたんですよ。

ラウンドハウスからまずはエメラルドチェアのコースへ。
平日だからだろうか、人は少ない。滑り出してすぐに滑りやすさに気づく。気候的に乾燥しているのでバーンは硬いがピステンがかかったコースはサラサラの粉雪の層ができており、驚くほどに滑りやすい。

エッジが雪に刺さっていく魅惑的な感覚が足元から上がってくる。幅の広いコースが目の前に開けてくる。フォールラインに体を預け、加速して強まっていく遠心力に心を震わせる。天気がいい。景色が流れる。もっと大きく、もっと速く、逆らわず、流れるように。スノーボードをする喜びが身体中を駆け巡る。

最高に楽しい。

毛穴から歓喜が噴出すほどの興奮。ああ今ウィスラーを滑っているんだ。
世界中が祝福してくれたかのような幸せな一本。たぶん脳内麻薬が出まくっていたはずだ。ジャンキー寸前だ。あまりに興奮しすぎて暑い。気温的には春のぽかぽかというよりは冬の終わりのような感じ。元々暑がりな上に心が燃え上がっているので、すでに中華まんのように蒸しあがっている。あまりの暑さにリフトに乗ってすぐにグローブを外すが、見事にを片方を下に落とす。めったにものなんて落とすことはないのに、やはり我を忘れているみたいだ。そうして自発的に次のイベント、『グローブを拾いに行く』を提案することになる。

ぺしゃんこになったグローブを回収しながら、ハウツーに長年携わってきたフサキさんのレッスンを受ける。ありきたりなレッスンではなく、これから数日間このウィスラーを楽しく滑ることができるようなもの。

ウィスラーのような大きな山で滑るにはどのようにすれば楽できるのか。カナダの特徴的な滑りを実践を交えながら教わる。日本国内でフサキさんに受けてきた数々のハウツーよりも即効性がある。見た目はただの日本のおじさんみたいだけれども、滑りの内容はバリバリのカナディアンだ。カナディアンがカナダで滑るために編み出した滑り。そりゃ理にかなっている。滑れば滑るほど、パズルを解くようにより山の性格がはっきりしてくるような気になってしまう。それが面白くってしょうがない。

ラウンドハウスロッジから上は樹木がなく、見通しが良い。360度見渡す限り雪の山だ。さらにピークまでいくリフトに乗る。フサキさんが「マスミさんとピークチェアに乗っちゃったよ!」と喜んで叫んでくれた。興奮していたのが私だけではなかったことに嬉しさを感じた。
お礼にリフトを揺らしてあげたら高いところが苦手なフサキさんはビビッていた。
ウィスラーのピークに立つ。字面だけでもかっこいい。

ピークの高さは2182m。なかなかの高さだ。より空気が澄んで気温も低い。この日のビレッジの気温は15℃前後だったが、朝ピークでは-6℃だったらしい。久しぶりの冬の空気が気持ちいい。遠くに見える雪化粧された山々は、大海に立つ白波のようにどこまでも連なっている。その中でも黒い爪を突き立てるようにそびえたつ聖なる岩山「ブラックタスク」がよく見える。先住民族のシンボル「イヌクシュク」は青空に向かって雄大にそびえ立っている。どれもこれも写真でしか見たことのない、見ることを夢見た光景が目の前に現れる。現実感を失う。

澄んだ空気と、とんでもない解放感にとにかく大きく滑りたくなる。広がる空間に負けないように手足をもっと伸ばしたくなる。どこまでも広がって行けそうな気がして笑顔しか表情がなくなる。いつも口を開けているから口が渇く。

標高が高いコースでは硬質でカービングが楽しい。フサキさん曰く最高難度の中級コースと呼ぶ「サドル」などはカービングというよりも高速スライドを強いられたりもするが、雪面はフラットなので斜度があっても難しくはない。

ラウンドハウスロッジでは食事もできる。メニューは平日ともあって限定的だ。ハンバーガーやサンドイッチ(日本の三角形のやつではなくフランスパン的な硬めのパンでできた大き目なやつ)それとカナダを代表する料理「プーティン」もある。プーティンとはフライドポテトとチーズにグレイビーソースがかかった料理。重そうな感じがしたので、この日はハンバーガーを岡真衣ちゃんとシェア。水は飲み放題。ウィスラーの水は美味しい。普通に飲めるので助かる。お湯も無料であるのでティーバックとか持って行ってもいいかも。カップの大きさに海外を実感する。

憧れの山々を見ながら一息つく。幸せなため息があふれてくる。
食事後はまったり滑りながらビレッジまで降りることに。高度を下げていくと雪が徐々に緩んでいく。いわゆるシャバ雪といわれる雪質となる。そのシャバ雪にしても乾燥しているのでサラサラと流れるような雪。それはパウダーにも近しい乗り心地になり、テールを振るごとにスプレーが放物線を描いて飛び去っていく。今度はカービングをするのがもったいないぐらい。

一日でこんなに変化を楽しめるとは思っていなかった。そしてとても長く大きな山を滑ると、カナダ流の滑り方が本当に理にかなっているんだと実感する。
夢中に滑っていれば一日はあっという間だ。初めてのことが多すぎて情報量に処理速度がついて行けない一日は正に光のように過ぎ去って行った。

フサキさんありがとう。最高の滑走初日を終えることができました。
ホテルに戻り、水着に急いで着替えてジャグジーへ。疲れた足が細かい泡の刺激で癒されていく。ああ~極楽。ついでに隣にあるプールも入っちゃう。水中メガネも持って来ればよかった。プールサイドでビールを飲もうと思って持ってきたけど、さすがにジャグジーから出ると濡れた水着姿では寒い。部屋に戻って速攻で飲む。こちらでしか買えない「コーカニー」という水みたいなビールが最高にうまい。昨日箱買いして冷蔵庫で冷やしておきました。部屋にある冷蔵庫は結構大きくて、ビールひと箱ぐらいは余裕です。

その日の夜はコンドミニアムならではのキッチンを活用しようということで自炊に。みんなでホテルから歩いて10分ぐらいの位置にあるスーパーマーケット「IGA」にお買い物。お肉はやはり安い。サーモンは安くはないが、質がいいのでコストパフォーマンスはよい。

野菜は高い。値段などをあれこれと考えるのも日本との違いがわかって楽しい。いろいろと買い込んで調理。担当は料理大好きな私。パスタにステーキにチキンソテーにサラダに~~自由気ままにみんなでワイワイと飲んで食べて楽しい夜は過ぎていくのでした。

部屋にニンニクの強烈な匂いを残しながら・・・・

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