レポート&写真:飯田房貴
長年日本のガールズシーンを牽引して来た立役者。
彼女は、2017-18シーズンも、あいかわらず全力で走って来た。
平昌オリンピックの解説者、ラジオのパーソナリティ、キャンプのコーチやディレクティングなど。
そんな彼女を応援するメーカー&企業は多く、marmot、KEEN、ムラサキスポーツなどなど。田中幸は、サポートしてくれるメーカーの気持ちに応えるためにも、プロ・スノーボーダーとして活動し、撮影も行って来ている。
忙しいシーズンの最終章トリップに選んだのは、ウィスラーだ。
ウィスラーは田中幸にとって特別な場所。その理由を解き明かすため、撮影最終日となった今日、同行させてもらった。
笑う門には福来るというが、まったく彼女のパワーは恐ろしい。いつも笑顔で周りをハッピーにしてくれるエネルギーは、ウィスラーでも状況を変えてみせた。
サチが来るまでウィスラーは、いつになったら温かいお日様の光りを受けることができるのだろう?という寒い日々が続いていたが、来たとたんに晴れ!しかも、これまで山の上では雪が降り続けて来たために、春のパウダーが楽しめるという状況になっていた。
しかし、この幸運、サチだけでなくもう一人、この男の力もありそうだ。2年ぶりにやって来たホッシー監督。
この冬は、さらに忙しい撮影シーズンとなり、密かにこの春のカナダ・トリップを楽しみにして来たというが、このホッシーも来るたびにお天道様が顔を出すという実績がある。
ウィスラーは、長いシーズン良質な雪を楽しめる広大なスポットだが、一方で晴天率が悪く、カメラメン泣かせの場所である。
だが、サチ&ホッシーが来れば、晴れの貯金が余るほど天気がいい。
今日は、最後の撮影日であったが、すでに撮影したいリストのチェックはすべて消化済み状況。残りさらに良い映像を残すための撮影日となったのだ。
山の上まで行けば、かなりの冬コンディションが期待されたが、さすがにここのところ晴れが続いたのでパウダーはなかった。滑り手にとってもタフな固いコンディションであったが、山に来たからには画を残す!とばかりに、果敢にバックカントリー的な斜面を攻めたサチ。地形を活かしてレイバックも決めてくれた!
この後には、ドローンを使った撮影や、フリーラン主体の撮影を行ったが、この10日間の撮影期間でたくさんの映像を残して来ただけに、今日は早めの上がり!レポーターの自分も含めて(?)気分的には早めのビール!ということで、標高差2000メートルを一気にライディング。
カンパーイ!って、これがしたかったのか言われれば、否定しないけど(笑)、今回の撮影トリップの様子も伺う大事なレポート・ワークです。
なぜ田中幸はウィスラーに?
ウィスラーに来るたびに、狂ったようなスケジュールで動けなくなるまで撮影をするサチ。それは山の上だけでなくタウンなど、様々なステージで発揮される。「もうこれ以上に頑張れない!」というストイックな気持ちで挑む。だからこそ経験値が上がるのだ。そのチャレンジを続ける魂が、彼女のプロ・スノーボーダーの生き様と言っていいだろう。田中幸のステージを上げる環境が、ウィスラーにはあるのだ。
それだけではない。
10年前に大怪我からライダーに戻してくれた場所、また産後にプロ・スノーボード復帰決意の場所にもなった。田中幸のスノーボード人生のターニングポイントにはウィスラーがあった。
今回は、サポートを受けるウィスラー発のヘルメット・ブランド、総帥Sandboxのケビン・サンサローンも彼女の撮影を応援のため駆けつけてくれた。トリップ前には思っていなかったハッピーなハプニングももらえるスポットである。
きっとサチは、今回もウィスラーに与えてもらった恩恵に感謝しつつ、充実した時間を思い出しながら、明日、日本へ帰って行くのだろう。