期待高まるラニーニャ現象!20-21シーズンは再び豪雪!?

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文:飯田房貴 [email protected]

先週木曜日10日、気象庁はエルニーニョ監視速報を発表しました。
先シーズンの暖冬とは打って変わって、今季じゃラニーニャ現象で豪雪となりパウダーを楽しめるのでは?という大きな期待が高まっています。

これまでのコラムでも何度かご紹介した通り、先シーズンは暖冬により、雪不足の悩ましきシーズンとなり、コロナが追い打ちをかけ、スノー業界は散々な目にあった。

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スキー場の閉鎖、大型スキー&スノーボード・ショップの撤退など、業界的にも苦しい話が噴出。
筆者の周りでも、今年に入っていくつか「退職のご挨拶」というタイトルのメールを受け取った。
「あれほど長くスノー業界で活躍されていた方が、まさか!…」
という思いになったものだ。

一般スノーボーダーの方にとっても先シーズンの雪不足は残念な思いでいたであろう。

自分のように50年も生きていると、思わず「かつては!」と考えずにいられない。

かつては、東京でもたくさんの雪が降り、シーズンも長かった。
ゴールデンウィークまでスノーボードを楽しめ、季節外れの春パウダーも楽しめたものだ。
しかし、近年、その楽しい確率が、どんどん減っているようで懸念される。

特に気になるのは、西日本の温かさだ。
スノー業界を全体的に見渡すと、西方面のビジネスが重要になって来る。

というのも北日本は比較的に安定したシーズンを迎えることができるが、温度が少しでも上昇してしまうと、中京、関西方面、あるいは四国や九州といったところが、雪不足となってしまう。結果的にモノ余り現象になってしまう。スノー業界全体で、市場が停滞してしまう傾向になるのだ。

ずっと前の話になるが、以前、自分はスノーボード専門誌で働いていたことがあり、読者からのアンケートハガキをチェックした経験がある。その時、西日本のスノーボーダーの多さを知った。特に中京では、スノーボードだけでなく、サーフィン愛好者も多いようで、横乗りカルチャーが発展しているように感じた。
それだけに、近年の温暖化傾向で、西日本のスノーボーダーたちが、短いシーズンになってしまっていることは、とても残念な思いでいた。自分のフェイスブックのフレンドの中には、広島や四国の方がいるが、先シーズンの状況は、本当に酷いものだった。

だから、先日気象庁が発表した「ラニーニャ速報」は、期待せずにはいられない。

ラニーニャとは関係ないかもしれないが、なんとなくだがその気配を感じることが起きている。
5日前には、アメリカのコロラドで「気温31度急低下、24時間で猛暑から降雪へ」というニュースがあった。

また今季のオセアニアのニュージーランド、オーストラリアでは良いシーズンを迎えたと聞いている。
仕事柄、日々、ニュージーランドのスキー場の様子を追っているが、今日も、コロネットピークではきれいに圧雪したバーンでスノーボードが楽しめるようだ。

コロナの影響かもしれないが、地球がなんとなくきれいになって元に戻ったような傾向も感じられる。

自分が住むウィスラーは、久しぶりに「インディアンサマー」という現象が起こっている。
インディアンサマーとは、朝晩は涼しくジャンバーがないといられないような気温だが、昼間になるとカラッと暑くなりTシャツ、短パンでないといられない。それほど朝晩と日中の温暖差が出るような現象だ。

自分の中では、「久しぶりだなあ」という感覚なのである。
というのも近年は、こうした現象がはっきりと感じれられずに、なんとなく日が短くなり夏から秋になって、なんとなく冬に入ってしまっていたからだ。

ウィスラーの場合だと、真夏から→寒暖差が激しいインディアンサマー→雨が豊富な松茸シーズン→スノーブーツが必要な初冬というのが、かつてのルーティーンだったけど、近年はインディアンサマーを感じれなかったり、里で雨が降らずに山の雪が少なく、冬に近づいてもビレッジで雪がなかなか拝めなかったりしていた。
それが、今年になって一転、かつてのような季節感が戻ったという感覚である。

昨シーズンは、エルニーニョで温暖化となり、山のホワイトはいつになってもあまり下がらなくて、「大丈夫か?」と心配だった。

さすがに夏でも氷河でスノーボードが楽しめるウィスラーなので、山の上の方はある程度雪があったが、それでもいつもボードを立て掛けるラックが、異様に高い位置にあるので、雪不足を感じたシーズンだった。

みなさんの周りでは、どうだろう?
何か、かつてのような気候に戻ったという感覚はありませんか?

今回、このコラムを執筆するのにあたり、エルニーニョ・ラニーニャ現象のことをちょっと勉強したのだが、こうした現象は、まるでシーソーのように移り変わるということだ。そして、その状態は1年以上続くと言う。

近年の流れで言うと、

2018年秋 – 2019年冬 エルニーニョ
2017年秋 – 2018年春 ラニーニャ
2016年夏 – 2017年春 ラニーニャ

となっており、先シーズンは暖冬だが、その前はラニーニャで寒かったようだ。

「えっ、そうだったかな!?」

という思いはあるが、確かにそう言われれば、北日本では例年より早い雪の観測があり、2月にも大雪が降って脅かされた記憶があるような…。
一方でスノー市場が盛り上がっているような気配は、あまりなかった記憶がある。

以上のようなことを考えると、あまり過度にラニーニャ現象に期待を掛けるのも良くないだろうが、先シーズンの暖冬を考えると期待せずにはいられない20-21シーズンだ。
過去のデータを見ても、2年間ラニーニャが続くこともあるわけで、ここはぜひとも2年連続で寒い冬を神様にお願いしたい。

この夏は、スケートボードが大ブームにもなったし、ぜひとも彼らにもスノーボードを体験してほしいものだ。
スノーボーダーのみなさん、彼らを温かく迎え入れてあげましょう!
できればパウダー・ライディングの楽しさを知っていただき、スノーボードの素晴らしさを多くの人に知ってほしいComing Seasonである。

コラムニスト・飯田房貴
1968年生まれ。東京都出身、カナダ・ウィスラー在住。
シーズン中は、ウィスラーでスノーボードのインストラクターをし、年間を通して『DMKsnowboard.com』の運営、Westbeach、Sandbox等の海外ブランドの代理店業務を行っている。日本で最大規模となるスノーボードクラブ、『DMK CLUB』の発起人。所属は、株式会社フィールドゲート(本社・東京千代田区)。
90年代の専門誌全盛期時代には、年間100ページ・ペースでライター、写真撮影に携わりコンテンツを製作。幅広いスノーボード業務と知識を活かして、これまでにも多くのスノーボード関連コラムを執筆。
今でもシーズンを通して、100日以上山に上がり、スノーボード歴は35年。

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