【レポート】Riding with Tadashi in POWPOW Whistler

カナダBC州ウィスラーは、今、記録的な豪雪だ。11月中の降雪は、なんと418cm!そんな中、このウィスラーをホームにする注目のライダー、布施忠といっしょにライディングした。

腰の高さ以上に達したパウパウを全身でいただく忠。

Report & Photo: Fusaki Iida

今季、Burtonからの移籍により、ボードからウェアーなど、すべてのギアで一新のスポンサーになった忠。日本を代表するフィルム・プロダクションズHeart Filmsのリーダーであり、日本ならず世界のスノーボーダーたちに注目されるライダーだ。

そんな忠が普段、どんなスノーボーディングをしているのか?

多くの人たちが、興味を持っているだろう。
僕は、それが知りたくて、昨夜、忠といっしょに飲んだ時、「明日いっしょに滑りたい」と提案した。そして、快くそのオファーを受け止めてくれた忠といっしょに今日、滑ったのである。
折りしも新雪は、なんと50cm!超ラッキーなパウダー・ディの中、世界を代表するライダー、忠とライディングすることができた。

カメラの装備は、300mmのレンズと、あとは念のためのフィッシュアイという至ってシンプルな軽装。普段なら、10キロ近くもあるカメラバッグを背負って滑るのだが、シーズンアップで大事な時期の忠のライディングを邪魔してくなかったし、何より普段の忠のライディングが見たかったので、動きやすい格好で出動したのだ。


最初は撮影せずに、ともかくガンガン滑ることになった。

忠のボードは、まるで生き物のように、ピョンピョン跳ねたり、グングン加速する。パウダーを滑る姿は、まさに水を得た魚のようだ。躍動感が溢れる元気なライディング!
左右の景色を広く見渡しながらカーブとカーブでターンをつなぎ合わせ、その中でジャンプやスプレーという遊びを取り入れている。
圧雪されたバーンでの忠のライディングは、踏み込みの強いカービングで滑る。ヒザをドライビングさせながら滑る姿は、まるでサーフィンで小波をさばくような光景でもあった。
そして、猛獣のごとく山を自分の庭のように滑り倒す姿は、とても頼もしい!
そんな忠のゴリラ体力ぶりが気になったので、普段、どんな身体作りをしているのか、聞いてみた。

「僕は走るのが好きなんです。だから、よく走っていますよ。
あとは、朝は必ずストレッチングを30分から40分ほど、時間を掛けてやってます。特に股関節やヒザのストレッチングを入念にやっていますね。
それと滑り終わった後もストレッチングをやります。」

多くの人たちは、スノーボーダーには筋力も大事と考えてトレーニングしているけど、忠は筋トレとストレッチングどっちに比重を置くのだろう?
その質問をぶつけてみたところ、
「絶対にストレッチング。」という回答だった。そして、「筋力はライディングしながらつけていく。」とコメントした。

 

ところで、このシーズン初めというのは、忠にとってはスノーボードがしっかりとできる貴重な時間である。というのも、12月に入って降雪が充分なら、撮影中心になるからだ。撮影するということは、その写真なり映像なり一瞬に近い時間でのライディングが主体になるので、普段のゲレンデ・ライディングのようにスノーボードをたっぷりできるということにはならない。つまり、忠にとっては、この時期こそスノーボーディングができる時間なのだ。

シーズン初めは、身体のキレが完全に戻って来ないもの。現在の忠は、どれほどのコンディションなのか、聞いてみた。

「だいたい6割ぐらいですかね。本当はこの時期、ガンガン雪が降っているから大きなジャンプもしたいけど、まだ自分の身体は完全ではない。自分の身体の状況と、雪の状況を合わせるってなかなか難しいですね。」
また、「シーズンに入って画を残していないと、プレッシャーになるので早い時期から良い画が残せるといい。」とも語っていた。

3本、忠とパウダー・ランを楽しんで後、軽く撮影しよう、ということになった。
この時期は、パウダーが深い割に、パウダーの写真で必要になる急斜面のコースがオープンしていない。だから、撮影スポットを探すのにちょっと苦労した。だけど、忠はちょっとしたパウダー・スポットでも見事なスプレーを上げてくれた。テンポよくチャチャっと撮影したけど、どんなボコボコのアプローチやランディングでも苦にせずスピードを出して突っ込むので、気持ち良いパウダーの写真を残すことができた。この写真から、今日の忠のライディングを感じてくれたら撮影者としては嬉しい。

ランチは軽めだった。マフィンとコーヒーだけ。
「いつもこんな感じなの?」と聞いてみると、「ランチは軽くとって、その分、朝食をしっかりといただく。」と言っていた。あまり腹を満たすと、動きが悪くなるのだろう。山に来たら、ライディングに全力を傾けたい忠の気持ちを感じた。

午後も僕たちはセッションを楽しんだ。
最後、下まで滑る時、コンディションはボコボコで雪も重かったけど、忠は、そんなところでも山を大きく使って遊んでいた。決してボードをズラすことなく、常にターンをカービングでつなぎ合わせ、飛べるところは飛んでトリックを決める、というスタイルは変わらなかった。
多くのライダーたちが、「忠くんと滑ると勉強になります。」という意味が、ちょっとわかったような気がした。忠の普段の滑りは、スノーボードの真髄に迫るファン(楽しさ)を突き詰めている。手抜きなしに攻める。その分、体力も必要とする。

山から降りると、僕の太ももは燃えるような熱さを感じた。そして背中からは湯気が出るほどの温かさ。充実した気分だ。とても楽しかった!
忠も「スノーボーディング最高!」と言いながら、笑顔で応えてくれた。忠といっしょに滑ったら、もっともっとスノーボードが好きになれるような気がした。

さあ、今夜はビールでも飲みながらHeart Filmsを観よう。最高の贅沢だね。
Thanks, Tadashi ! またいっしょにスノーボードに行こう。

布施忠ブログ
http://snowboardnet.jp/sbnriders/tadashi/