【ギア・コラム】ブーツが「ヘタる」??

文:ギア博士

さて今回はブーツの限界についてです。みなさんブーツってどのくらい使いますか?
1シーズン?2シーズン?5シーズンも使っている人も中にはいらっしゃるんじゃないでしょうか?
実際のところブーツの限界はどのくらいなのか?買い換えの目安にしてもらえればと思います。

そもそも「ヘタる」って何?

よく「もうブーツがヘタっちゃってさ」って聞きませんか?このヘタるというのは簡単に言うとダメになった、ダメになってきたってことなんですがヘタりというのは具体的にどういうことを指すのか考えてみましょう。
ブーツが買い換えかな?と思うときはたぶん以下のことが感じられたらではないでしょうか?

中で足がずれるようになった
ヒモをいくら締めてもしっかりとホールドされない
なんだか昔と比べて重くなったような・・・
いくら干しても何となくじっとりした感じが抜けない
一日履いているとものすごく疲れる
そもそも足に合わなくなった
・・・etc

どれもこの様な状態では快適ではなくなってきていますね。つまり上記のような状態になるといわゆる「ヘタってきた」と言っていいと思います。この中で特にポイントなのが「ヒモをいくら締めてもホールドされない」と「いくら干しても完全に乾燥しない」という2点です。ホールドされないのはもちろんですが、乾燥しないというのは意外に思った人も多いんじゃないでしょうか。しかし実際は危険信号の表れなのです。

ブーツがしっかりとホールドしなくなるのはインナーに原因がある場合がほとんどです。インナーは直に足を包んでいる部分ですので、この部分がダメになると一気にホールド感は悪化します。
ではなぜダメになっていくのでしょうか?
多くのブーツのインナーは履き込むほどに自分の足にフィットしてきます。普段履いているスニーカーや革靴などは外側の部分が広がったりして足形にあわせて変形していきますが、スノーボードの場合この足の形に変形するのはインナーの仕事です。自分の足形にブーツのインナーが変形した状態が、いわゆる「馴染んだ」状態です。この状態がブーツのもっともパフォーマンスが良い状態で、サーモインナーは自分の足形をコピーすることによってこの状態を作り出すわけです。
サーモ以外のインナーは部分的につぶれることで足の凹凸をコピーします。一般的なライナーインナーやフォームインナーはインナーの中に小さな気泡がたくさんあり、この気泡がつぶれることによって足形をコピーします。これは各ブランドによって詳細は違うのですが、話を簡単にするために「まぁ、そんなもんだ」と理解してください。

で、使用していくと、今度は必要な部分以外のところもつぶれていきます。これが「ヘタり」です。自分の体重を受け止めているのでブーツには想像以上の負担がかかっています。冷静に考えれば日常生活では考えられないような高いところから落下したり、ターンの最中はGがかかって踏みつける力が強くなるわけです。この他に温度差や汗の問題等、こうやって書いていくとかなり過酷な状況でブーツは使用されてるのがわかるかと思います。こうしてインナーは徐々に馴染んだ状態からヘタった状態へと変わっていき、ある日気がつくと「なんか調子悪い。考えれば結構履いているな。そろそろ限界か?」となるわけです。

では、なぜ湿っていることが危険信号なのか?
これの秘密は汗にあります。運動すれば当然汗をかくのですが、足からも汗は出ます。その汗は靴下が吸い取るのですが、最近の靴下はこの吸い取った汗を外に発散させドライな状況を維持するようなものがひじょうに多くなりました。
では、靴下からでた汗はどこに行くのか?答えはブーツのインナーに行くのです。防水性がひじょうに良いブーツでは汗が外に逃げられず中にこもり「蒸れた」状態になります。一日滑り終わってブーツを脱ぐと湯気がでていて・・・ってあの湯気はほとんど汗です。あれだけの水分がブーツにこもっているのですからこれが何度も繰り返されるとブーツがグシャグシャになってしまいます。その理由の多くは先に挙げたインナーのフィット感にあります。サーモ以外は小さな気泡がつぶれてフィットしていく、サーモは小さな気泡を大きくして一度膨張させてから型を取る。つまりブーツのインナーには気泡が多く存在しているのですが、この気泡が汗の水分と油分を取り込んでしまうのです。その結果、徐々に奥の方まで浸透していき、気がつくと「あれ?重くない?」とか「一晩乾燥させたのに何となくカラッとしていない」となるのです。(古いタイプの靴下で汗を吸収するタイプも吸収しきれなくなった汗は外に出て行きます。それに快適ではないので最近はあまり見かけなくなりました)

もうお気づきですよね?ブーツから水分が抜けていないと言うことはブーツの芯の方まで水分が入ってしまい、抜けていないと言うこと。今後はこの水分がダメージとなりブーツのインナーのパフォーマンスが落ちていくのです。こうなってはあとは坂を転がるようにパフォーマンスは低下していきます。こうなったいじょう残る手段は「買い換え」になってしまいます。


長持ちさせる秘訣

では長持ちさせる秘訣ですが、これは使用後のメンテナンスです。使用後は完全に水分を飛ばすためにブーツの紐を緩め通気します。ある程度中の空気が循環したら次はブーツの乾燥剤を使ってさらに水分を抜いていきます。乾燥剤を持っていない場合は丸めた新聞紙でもOK。とにかくインナーの水分を取ってあげることが重要です。ただし、強制的に乾燥させるためにヒーターに近づけたり、ドライヤーを使ったりすると熱が強すぎて変形の原因になったり、サーモインナーの場合は型くずれの原因になるので自然乾燥のほうが良いでしょう。宿の乾燥室を使う場合でも乾燥させようとヒーターに近づけるのはやめた方が無難です。
長期間使わないときは「ブーツの保管」を参考にしてください。

ちょっとしたメンテナンスでブーツの寿命は長くなりますが、それでも3年も使うとやはりインナーが潰れてきます。愛用の道具を大切に使うことも重要ですが、快適なスノーボードのためには思い切って道具を新しくすることも必要です。まずは自分のブーツをもう一度チェックしてみてください。