Category: コラム

【コラム】アマチュアの出世方法論

文:飯田房貴

今年は、例年よりフリーの撮影が多い年である。
フリーの撮影というのは、特に雑誌社から頼まれた撮影でなく、自分とライダーがスケジュールを調整して撮影し、良い写真があったらそれを雑誌社に売り込んだり、メーカーに売り込んだり、というようなこと。決められた撮影仕事でなく、自分たちの工夫で画作りができて楽しい撮影だ。

この中には、すでにプロとして飯が喰えているライダーもいたし、まだバイトとかしているアマチュアがいた。

正直言えば、単に滑るということにおいては、アマとプロにあまり差はない。むしろある部分では、完全にアマの方がプロよりもうまかったり、むしろ間違いなくプロよりもうまい、というレベルの者もいる。

じゃあ、どこが違うのか、というと、細かいところでは撮影に対する心構え、撮影に対する慣れ、画を残す貪欲な感覚など。
そして決定的に違うところは、プロは撮影だけに集中できて、アマは撮影後のバイトの時間を気にしたり、さらには来月の家賃を気にしている者などいるところ。

プロが画を残せないという純粋にライダーとしてのジレンマに悩まされるのとは違い、アマの悩みはスノーボード以外の環境だったり、かなり複雑だ。

そう、間違いなくアマの方が環境は悪いし、出世もし難いのである。出世したくても出世できない、まさにアマチュアのジレンマだろう。

しかし、そんなアマでもいつかスノーボードだけで飯を喰うようなプロになることは可能である。
その方法とは?

これはオレの適当なスノーボード・ビジネス感覚から発していることだが、参考になればと思う。

まず自分の1年間の仕事とスノーボードの時間割を半分ずつ区切ってみよう。

最初の半分の時間は、バイトの時間だ。ここでシーズン中のお金を貯める努力をすること。シーズン中は、スノーボード環境に注ぐため、バイトしないことを考えよう。できれば早い時期から春までしっかりと滑れる環境を確保したい。具体的に言うと5月から11月がバイトの時期だ。まだ出世もしない内にニュージーランドを行くことを考えないでいい。オレは夏も冬も滑って、だけど常にちょこちょことバイトして、完全にスノーボードに打ち込めない、集中仕切れないライダーを幾人も見てきた。かく言うオレがそうだし(笑)。

話戻すぞ。
あとの半分の時間はスノーボードの時間だ。すでにアマライダーとして確立しているのなら、ライディング・レベルはプロ並であろう。だから、自分の上達の時間、シーズン初めの滑りこみの時間などは全体の2割程度でいいだろう。あとの3割は、自分の活躍の舞台となる撮影などに時間を費やすべきだ。そのためには人脈を築かないといけないのだが、とりあえずウィスラーならオレがいるのでコンタクトしてみよう。fusaki@dmksnowboard.com

日本の山でも常にどこかの山で活動している人がいるだろうから、オフシーズン中に写真のカメラマン、ビデオのカメラマンとコンタクトしていくのは大事。スポンサーしてくれているメーカー、雑誌社、友達などなど聞き込むこと。
またアマチュアのカメラマンもどんどん増えて来ているので、そういう人と共に成長していけばいいだろう。

そして、それ以外にさらに自分が将来、他の日本のライダーを圧倒的に凌ぐ活動する時間を作りたい。例えば、それは海外クルーとの撮影であったり、また他のライダーが行ったことのないようなロケ場所で撮影したり。そうすることで、自分のライダーとしてアイデンティティを確立できるという大切な領域だ。
そんなことに時間を捧げるのは、また大変だろうけど、10%から15%ほどの時間を捧げたい。

まとめよう。
これはそれぞれの立場で選べることである。
例えば、すでにメーカーからいくらかのお金をもらっている人は、どんどんとレベルの高い方に投資できるぞ。

A バイト
(50%ほどの時間。将来はこの時間を0%に持って行くようにする)

B 練習滑り
(20%ほど。この数字は将来も保ちたい。自分がどれほどの練習を毎年するべきか考えること。ここをしっかりとやっておけば向上が少なく、撮影ばかりのプロを将来は実力で圧倒できる。ちなみにカナダでもあまり練習せずに撮影ばかりやっているプロは少なくない。だけどシモンのように常に滑りこんでいるのは真のプロとなる。やっぱり真面目に練習するライダーは強い!)

C 撮影
(20%ほど。他のプロに負けない、写真、映像を残す努力をすること)

D 未来の夢へ
(10%ほど。他のプロとは違った自分のスタイルの活動に投資しよう!)

最近、いろいろなライダーの悩みを聞いている内に、彼らの考えというのはひじょうに極端になりがちである、と思った。例えば、あるライダーはD(未来の夢へ)の活動をしたい。だから、スポンサー費用も多額のものを要求したい。それはあたかもその付き合っているメーカーにいきなり「僕の未来に数百万円ください」とも言わん勢いもあった。
おいおいそんなので、お金もらえたら苦労しないし、それは世間知らずだよ、ということを話したのだが。

ともかく、考え方が極端なことに気づいた。
だから、今回、自分なりにA、B、C、Dという考え方の時間設定を提唱し、そこからなんとかAよりもDへの時間を増やすように努力しよう、という提案である。

もし、本気でやれば、どんなライダーでもDの方向に歩めるだろう。だけど、年齢が上の人はそのDに行く時間まで待てないで、結局はライダー業を考え直す時期が来る可能性が高い。しかし、まだ若いライダーは夢をメイクするチャンスがある。

オレは、今の日本のスノーボード界が純粋にカッコいい奴を出世させていると思わない。だけど、こうしてアマチュアの人がジレンマを抱えながらも出世していくことで、いつか本当にカッコいいライダーばかりが上に行く業界ができると思う。そうすれば、北米のようにもっと業界の基盤がしっかりとした、スノーボード文化を形成できると思うのだ。だから、これからも夢見る若者を応援したい! 

アマチュアの出世方法論

今年は、例年よりフリーの撮影が多い年である。
フリーの撮影というのは、特に雑誌社から頼まれた撮影でなく、自分とライダーがスケジュールを調整して撮影し、良い写真があったらそれを雑誌社に売り込んだり、メーカーに売り込んだり、というようなこと。決められた撮影仕事でなく、自分たちの工夫で画作りができて楽しい撮影だ。

この中には、すでにプロとして飯が喰えているライダーもいたし、まだバイトとかしているアマチュアがいた。

正直言えば、単に滑るということにおいては、アマとプロにあまり差はない。むしろある部分では、完全にアマの方がプロよりもうまかったり、むしろ間違いなくプロよりもうまい、というレベルの者もいる。

じゃあ、どこが違うのか、というと、細かいところでは撮影に対する心構え、撮影に対する慣れ、画を残す貪欲な感覚など。
そして決定的に違うところは、プロは撮影だけに集中できて、アマは撮影後のバイトの時間を気にしたり、さらには来月の家賃を気にしている者などいるところ。

プロが画を残せないという純粋にライダーとしてのジレンマに悩まされるのとは違い、アマの悩みはスノーボード以外の環境だったり、かなり複雑だ。

そう、間違いなくアマの方が環境は悪いし、出世もし難いのである。出世したくても出世できない、まさにアマチュアのジレンマだろう。

しかし、そんなアマでもいつかスノーボードだけで飯を喰うようなプロになることは可能である。
その方法とは?

これはオレの適当なスノーボード・ビジネス感覚から発していることだが、参考になればと思う。

まず自分の1年間の仕事とスノーボードの時間割を半分ずつ区切ってみよう。

最初の半分の時間は、バイトの時間だ。ここでシーズン中のお金を貯める努力をすること。シーズン中は、スノーボード環境に注ぐため、バイトしないことを考えよう。できれば早い時期から春までしっかりと滑れる環境を確保したい。具体的に言うと5月から11月がバイトの時期だ。まだ出世もしない内にニュージーランドを行くことを考えないでいい。オレは夏も冬も滑って、だけど常にちょこちょことバイトして、完全にスノーボードに打ち込めない、集中仕切れないライダーを幾人も見てきた。かく言うオレがそうだし(笑)。

話戻すぞ。
あとの半分の時間はスノーボードの時間だ。すでにアマライダーとして確立しているのなら、ライディング・レベルはプロ並であろう。だから、自分の上達の時間、シーズン初めの滑りこみの時間などは全体の2割程度でいいだろう。あとの3割は、自分の活躍の舞台となる撮影などに時間を費やすべきだ。そのためには人脈を築かないといけないのだが、とりあえずウィスラーならオレがいるのでコンタクトしてみよう。fusaki@dmksnowboard.com

日本の山でも常にどこかの山で活動している人がいるだろうから、オフシーズン中に写真のカメラマン、ビデオのカメラマンとコンタクトしていくのは大事。スポンサーしてくれているメーカー、雑誌社、友達などなど聞き込むこと。
またアマチュアのカメラマンもどんどん増えて来ているので、そういう人と共に成長していけばいいだろう。

そして、それ以外にさらに自分が将来、他の日本のライダーを圧倒的に凌ぐ活動する時間を作りたい。例えば、それは海外クルーとの撮影であったり、また他のライダーが行ったことのないようなロケ場所で撮影したり。そうすることで、自分のライダーとしてアイデンティティを確立できるという大切な領域だ。
そんなことに時間を捧げるのは、また大変だろうけど、10%から15%ほどの時間を捧げたい。

まとめよう。
これはそれぞれの立場で選べることである。
例えば、すでにメーカーからいくらかのお金をもらっている人は、どんどんとレベルの高い方に投資できるぞ。

A バイト
(50%ほどの時間。将来はこの時間を0%に持って行くようにする)

B 練習滑り
(20%ほど。この数字は将来も保ちたい。自分がどれほどの練習を毎年するべきか考えること。ここをしっかりとやっておけば向上が少なく、撮影ばかりのプロを将来は実力で圧倒できる。ちなみにカナダでもあまり練習せずに撮影ばかりやっているプロは少なくない。だけどシモンのように常に滑りこんでいるのは真のプロとなる。やっぱり真面目に練習するライダーは強い!)

C 撮影
(20%ほど。他のプロに負けない、写真、映像を残す努力をすること)

D 未来の夢へ
(10%ほど。他のプロとは違った自分のスタイルの活動に投資しよう!)

最近、いろいろなライダーの悩みを聞いている内に、彼らの考えというのはひじょうに極端になりがちである、と思った。例えば、あるライダーはD(未来の夢へ)の活動をしたい。だから、スポンサー費用も多額のものを要求したい。それはあたかもその付き合っているメーカーにいきなり「僕の未来に数百万円ください」とも言わん勢いもあった。
おいおいそんなので、お金もらえたら苦労しないし、それは世間知らずだよ、ということを話したのだが。

ともかく、考え方が極端なことに気づいた。
だから、今回、自分なりにA、B、C、Dという考え方の時間設定を提唱し、そこからなんとかAよりもDへの時間を増やすように努力しよう、という提案である。

もし、本気でやれば、どんなライダーでもDの方向に歩めるだろう。だけど、年齢が上の人はそのDに行く時間まで待てないで、結局はライダー業を考え直す時期が来る可能性が高い。しかし、まだ若いライダーは夢をメイクするチャンスがある。

オレは、今の日本のスノーボード界が純粋にカッコいい奴を出世させていると思わない。だけど、こうしてアマチュアの人がジレンマを抱えながらも出世していくことで、いつか本当にカッコいいライダーばかりが上に行く業界ができると思う。そうすれば、北米のようにもっと業界の基盤がしっかりとした、スノーボード文化を形成できると思うのだ。だから、これからも夢見る若者を応援したい!

 

アルペン父さんが落ちぶれたワケ

雪山の自然の地形を使ってオーリーでジャンプ!それから180させてみたり、時にはパイプでバッコーンでぶっ飛んでみる。そういう遊びが疲れて来たら、パウダーをおもいっきり食べてみたり。
こうした現在のスノーボードのメインとなる遊び方を考えてみると、スノーボードの父はスケートボードで母はサーフィンであるようだ。
父から受け継いだスケート魂を雪山で表現する毎日。だけど、結局は偉大なるマザーネイチャーに抱かれるようにサーフィン・スピリットでパウダーの世界に戻る。

でも、スノーボードの長い歴史を紐解けば、かつての父はスケートでなくスキーであったように思う。

例えば、あれは確か自分がミナミのライダーをやる前のことだから、1987年前後だろう。神田のムラサキにコフラックのハードブーツを探しに行った時のことだ。
「コフラックのハードブーツ?」
今のスノーボーダーには聞きなれない言葉だろう。当時、コフラックという山用品から来たハードブーツ屋さんは、スノーボードのブーツを作っていた。スキーのブーツよりも、もっとフレキシブルなプラスチック・シェルのブーツである。あの時(ちょっと後だったかな?89年とか)、スーパースターであったダミアン・サンダースもこのコフラックのブーツでパイプをぶっ飛んでいたライダーだった。高さだけだったら、当時最高峰のクレイグ・ケリーに勝る凄いライダーだ。

ともかくそのムラサキで、松島勝美さんがいた。松島さんは竹内(正則)さんよりもさらに前の世代のプロで、第一回全日本大会の優勝者でもある。当時のムラサキの看板ライダーだ。その自分にとっては憧れのような立場の松島さんが、やや緊張していた自分に温かく接客してくれたのだ。そして、こう言ったことを今でも覚えている。
「これからはハードブーツの時代だね。アルペンの時代だよ」