
この記事はこんな人におすすめ!
・スノーボードが大好きで、夏の間に何か準備したいと思っている人
・オフトレの方法を探しているけど、ジム通いはちょっと苦手…という人
・お金をかけずにスノーボードのパフォーマンスを上げたい人
・健康維持も意識しながら、楽しんで身体を動かしたい人

暑い夏がやって来ました。
みなさんは、スノーボーダーとしてどんなオフトレをしていますか?
サーフィンやスケートボードでヨコノリ感覚を鍛えたり、ランニングやジムで身体を動かしたり──。
オフトレのスタイルは人それぞれですよね。
でも、どんなエクササイズでも「身体を動かし続けること」はスノーボーダーにとってとても大切なこと。
そして、長い人生を健康に過ごすためにも欠かせません。
そんな中で、私が個人的に大好きでおすすめしたいのが 「ハイキング」です。
その理由を3つご紹介します。

目次
理由①:スノーボードに必要な筋力とリンクしている
山を登るときには、主にふくらはぎの筋肉を使います。
この筋肉はトゥサイドターン(つま先側のターン)で重要で、ジャンプ力の強化にもつながります。
下るときには、太ももの筋肉を使って安定したステップを保ちます。
このとき鍛えられる筋肉はヒールサイドターン(かかと側)に欠かせません。
凸凹の斜面でスピードをコントロールする際にも重要です。
さらに、ハイキングでは不安定な地面を歩くことが多く、バランス感覚や体幹のトレーニングにもなります。
何気ない段差や傾斜でも、無意識のうちに全身を使ってバランスを取ることで、自然と強い身体づくりができるのです。

理由②:ギアに3万円かけるより、身体を鍛える方がコスパが高い
オフシーズンでも、来季のスノーボードギアが気になって仕方ない──
そんな方も多いのではないでしょうか?
仕事の合間にPCで板をチェックしたり、家で寝転がってスマホでブーツやビンディングを眺めたり。
気になる最新ギア、ついポチッとしてしまいそうになりますよね。
でも、ちょっと待ってください。
最もパフォーマンスを上げる“究極のギア”って、何か知っていますか?
それは、あなた自身の身体です。
例えば中高年のスノーボーダーである私たちが、若いライダーのキレのある滑りを見て「若いからできるんだよなあ…」と思うこと、ありますよね。
でももし、私たちの身体能力が今より若々しくなったらどうでしょう?
より低い姿勢でカーブしたり、ダイナミックにジャンプするなどできて、さらにより長く滑ることができるはずです。
新しいギアに3万円かけるくらいなら、そのお金で身体を鍛える方がずっとコスパが高いとは思いませんか?
体力がつけば、疲れにくくなり、滑走本数が増え、技のキレもアップします。
何より、転倒時のケガのリスクも下がります。
しかもハイキングなら、スポットまでの交通費以外はほとんどお金がかかりません。
私はいつも自転車でブラッコムベースまで行って、ゴンドラで山に登りハイキングします。
ピークトゥピークに乗ってウィスラー側を歩くこともあります。スケジュールと相談しながら、気軽にハイキングを楽しんでいます。
キツすぎると続かないので「ほのかに頑張る」くらいがちょうどいい。
だから私は、無理なく、でも頻繁にハイキングするようにしています。
人が成長する最大の武器は「習慣化」です。
ぜひ、みなさんも身体を動かすことを日常に取り入れてみてください。
きっと、ギアに3万円かけるよりも、大きなリターンが得られるはずです。
理由③:冬のイメージがモチベーションになる
ハイキング中、特に急な登りでは「キツいなあ…」と思うこともあります。
そんなとき、私は冬のことを思い浮かべるようにしています。
「もっとカッコいいターンがしたい」
「もっと雪面に身体を近づけるような姿勢で滑れるようになりたい」
「あんな場所で、あんな風にジャンプしたい」
そんな理想のイメージが浮かぶと、不思議と気持ちが前向きになって、「もうちょっと頑張ろう」と思えるんです。
ハイキングに慣れていない人は、最初はちょっと面倒に感じるかもしれません。
でも、自分のペースで山を登って、少し汗をかいてくると、身体も心もスッキリして、自然とモチベーションが上がってきます。
おわりに:身体を動かすことが、スノーボードをもっと楽しくする
スノーボードは一瞬一瞬の動きの中で、筋力・体幹・バランス・反応力など、さまざまな身体能力が求められるスポーツです。
だからこそ、オフシーズンに身体を動かすことは、技術の向上にも、楽しさの最大化にもつながるのです。
そして、その手段として「ハイキング」は、とてもシンプルで、誰でも始めやすくて、継続しやすい。
ぜひ、今週末あたり、お近くのハイキングコースに足を運んでみてください。
無理なく、気軽に、まずはできることから始めてみましょう。

飯田房貴(いいだ・ふさき) プロフィール
@fusakidmk
東京都出身、現在カナダ・ウィスラー在住。
スノーボード歴は40シーズンを超え、約20年にわたり雑誌、ビデオ、ウェブなどを通じてハウツー記事の発信に取り組んできた。
1990年代を代表するスノーボード専門誌『SNOWing』では、「ハウツー天使」というコラムを執筆。季刊誌という発行ペースの中で100回以上の連載を達成し、金字塔を打ち立てた。『SnowBoarder』誌でも初期からハウツーコーナーを担当し、中でも読者へのアドバイスコーナー「ドクタービーバー」は大人気となった。
自身が監修・出演したハウツービデオやハウツー本も大ヒットし、1990年代のスノーボードブームを支える存在となった。
現在はカナダ・ウィスラーを拠点に、インストラクターとして世界中の人にスノーボードの魅力を伝え続けている。
著書に『スノーボード入門 スノーボード歴35年 1万2000人以上の初心者をレッスンしてきたカリスマ・イントラの最新SB技術書』、『スノーボードがうまくなる!20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING』がある。