スノーボードの神テリエが私にスノースケートを勧めた理由

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文:@dmkfusaki

夕食後にスノーボードの疲れもあり、頭がボケボケでカウチで眠り掛かった時、突然、メッセンジャーのビデオ通話の音が鳴りました。

まあ、この時間に予告もなしに掛けて来るのは、ウチのお袋か、ムラッチョ(フィールドゲート社の社長)しかいないので、時期的にもムラッチョかな?と思い出たところ、なんと画面に出て来たテリエでした!スノーボード界の神と言われるテリエ・ハーコンセンです!!!

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「Hello!」

え!ビックリしながら、思わず出て来た言葉は、「How are you?」
普通、初めて会った人は、「はじめまして」という感じだけど、何度かメールでのやりとりはあったにせよ、直接初めて会った人に、「元気ですか?」みたいな言葉を掛けてしましました(笑)。
まあ、レッスン現場でも、参加してくれた生徒さんに最初に掛ける言葉で、「How are you?」はよく言うので、間違っていないのだけど。

続けての会話は…。

「昨日は私たちのブースに来てくれて、ありがとう!お陰様でみんな大喜びです」

「ノーブロブレム」

「日本はどうですか?楽しいですか?」

「みんな良くしてくれて、本当にありがたい。フサキは何やっていたの?」

「夕食の後に、眠くなっちゃって。カウチで眠りそうな時にメッセージャーの呼び出し音が鳴って起きました(笑)」(※犯人はムラッチョ社長)

「今、どこにいるの?」

「ウィスラーです。私の家です」

「ニセコのウィスラー!?」

「え、ニセコにウィスラーってとこないでしょ?カナダのウィスラーですよ」

「ああ、だから夕食の後なのか」

って感じで変てこな会話から始まりました。

「テリエは、いつ日本に来たのですか?時差ぼけはないですか?」

「大丈夫。ハワイに寄って来たので」

「エブリシングOK?(何か困ったことはありませんか?」

「いえ、みんなよくしてくれるし、大丈夫です。
ヨシ(ムラッチョ社長)が、エンデバーのボードとサンドボックスのヘルメット、エアーホールのバラクラバを持って来てくれたので、これを持って、これから北海道に向かいます」

「あなたが、私たちが販売するギアを使用してくれて、光栄だしとても嬉しく思います。
北海道は、雪が多そうですね」

「うん、とても楽しみ!」

「私が住むウィスラーは、今季、雪が少なくてあまり良いコンディションの日がありません」

「それなら、ぜひスノースケートをやってください!」

とテリエは、私にスノースケートを勧めてくれました。
テリエのインスタやユーチューブをフォローしている方なら、よくスノースケートをしている映像を見かることを知っていると思います。

以前からテリエが、スノースケート・シーンの映像を頻繁にアップしたことをチェックしていたけど、この会話でその理由がわかりました!
テリエは、雪が良い日にはスノーボードをしていたけど、そうでもない日はスノースケートを楽しんでいたのです。

その境地はなんとなく自分も理解できます。
というのも、私自身、普段スノーボードする時は、誰もが驚くほどゆるゆるの締め具合でブーツを履いて、バインとスノボブーツがなくても成立する滑りを目指していたからです。
テリエは、ヨコノリの感覚を補えるスノースケートを強く推奨するのでしょう。ビンディングに頼らないスノースケートは、本当にピンポイントで乗らなければ、いけない遊び。それでいてスタンスを微妙にアジャストすることもでき、自由な乗り物です。

私が初めて「ビンディングに頼らない」きっかけというか、目覚めたのは90年代初期にリリースされたスノースタイル誌のある記事の影響です。それは、テリエの前にスノーボード界の神と拝められたクレイグ・ケリーの一枚のある写真。それをたしかマック遠藤さんだったと思うのですが、「バインがなくても成立する滑り」みたいな表現で書かれていたのです。その時、私は「これだ!」と強く思いました。この感覚こそ大事なんだと。

その2、3年後だったか、私が不定期に仕事していたスノーイング誌の別冊でDEEPというパウダー系の雑誌が出ることになり、当時のダーヤマ編集長から「手伝ってくれない?フサキくんの大好きなクレイグ・ケリーの写真を使って、何かコメントを書いてほしい」と言われました。
そして、私はヒールサイド後半であえて上半身を閉じて、その後、トランスファー(抜重)で一気に解放させ、なおかつ空中に飛び出た後にもクレイグは最適ポイントに乗り続ける。バインがなくても成立する滑り!というような解説を入れました。
で、その結果、この記事をきっかけに私自身がクレイグの滑りの翻訳者みたいな感じになっちゃいましたが…。今だから、白状しますがマックさんの影響です!マックさんの言葉なしに、私の言葉はありませんでした。すみません(笑)。

(スノーイングファンマガジン臨時増刊 第3巻7号の特集ページ Craig Kelly クレイグ・ケリーの魅力)

その元祖スノボ界の神を強く兄のように慕っていたのが、テリエなのです。
テリエは、スノースケートでヨコノリ感覚を補うのでしょう。日本に来る前にストップオーバーしたハワイでもサーフィンを楽しみ、ヨコノリ感覚を補い、おそろく今日、今!北海道のルスツでそのヨコノリ総合力をスノーボードで発揮しているのだと思います。

テリエにアドバイスを受けた私は、今日もウィスラーでスノボ・レッスンだったので、スノースケートに乗ることはできなかったですが、いつも以上に一層、ブーツを緩めて、その感覚に近づけるようにスノーボードしました。

スノーボード界の神が私に伝えたかったことは、どんな悪雪のような日でもヨコノリを楽しむことはできるんだ。その蓄積したヨコノリ力がスノーボードでも発揮できるんだよ。そうすれば、いつかあなたも私のように、高速で急斜面パウダーをかっ飛ばすことができる技術が身につけらえるんだ。というようなメッセージを聞いたように思いました。

そして、私は神から受けた言葉を天使のようになり、今、あなたに伝えます!

飯田房貴
1968年生まれ。東京都出身、カナダ・ウィスラー在住。
シーズン中は、ウィスラーでスノーボードのインストラクターをしており、年間を通して『DMKsnowboard.com』の運営、Sandbox、Endeavor Snowboards等の海外ブランドの代理店業務を行っている。日本で最大規模となるスノーボードクラブ、『DMK CLUB』の発起人。所属は、株式会社フィールドゲート(本社・東京千代田区)。
90年代の専門誌全盛期時代には、年間100ページ・ペースでライター、写真撮影に携わりコンテンツを製作。幅広いスノーボード業務と知識を活かして、これまでにも多くのスノーボード関連コラムを執筆。主な執筆書に『スノーボード入門 スノーボード歴35年 1万2000人以上の初心者をレッスンしてきたカリスマ・イントラの最新SB技術書 』『スノーボードがうまくなる!20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING』がある。
今でもシーズンを通して、100日以上山に上がり、スノーボード歴は39年。
スノーボード情報を伝える専門家として、2022年2月19日放送のTBSテレビの『新・情報7daysニュースキャスター』特集に、また2022年3月13日に公開された講談社FRIDAY日本が「スノーボードの強豪」になった意外な理由にも登場。
インスタ:https://www.instagram.com/fusakidmk/
ツイッター:https://twitter.com/dmksnowboard

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