温暖化の影響でウィスラーの営業は2050年まで!? 未来のスキー場は「消える」のか、それとも「進化」するのか

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文:飯田房貴 @fusakidmk

「世界最高峰のスキーリゾート、ウィスラー。その営業は2050年までかもしれない」

そんな衝撃的な未来像を、カナダ公共放送 CBC(British Columbia)が伝えている。
温暖化が進むなか、スキー場は本当にこの先も生き残れるのか。これは決して遠い国の話ではない。

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2010年バンクーバー五輪が示した“警告”

CBCのニュースは、まず2010年バンクーバー冬季オリンピックを振り返る。
当時、会場のサイプレスマウンテンは深刻な雪不足に陥り、競技を成立させるために約250km離れたマニングパークから雪をトラックで運ぶという、前代未聞の対応が取られた。

当時は「異常気象」「たまたま暖冬だった」と受け止められていた。
しかしCBCは、こう指摘する。

あの暖かさは、もはや“異常”ではない。
それが、これからの“新しい普通”なのだ。

北京五輪、そしてイタリア五輪も同じ問題に直面

この問題はカナダだけではない。

  • 北京五輪(2022年)では、競技用の雪は100%人工雪
  • 次回イタリアで開催される冬季オリンピックも、開催地の雪不足が大きな懸念材料となってきた

直前になって大雪に恵まれたものの、CBCは「ヒット・オア・ミス(当たるか外れるか)」と表現し、安定した積雪が保証されていない現実を強調している。

ウィスラーは2050年まで生き残れるのか?

気象専門家によると、2050年に向けてカナダ沿岸部では、

  • 降水量は増える
  • しかし、その多くは雪ではなく雨

という未来が予測されている。

ウィスラーは標高差が大きく、アルパイン(高標高エリア)は比較的安定しているため、「気候的に生き残るスキー場」の一つとされている。
ただし、ベースエリアでは降水の約50%が雨になる可能性
があり、今後はゴール地点やビレッジをより高い場所へ移す必要が出てくるという。

つまり、

「今のウィスラーのまま」では続かない
「形を変えて」生き残る

それが現実的な未来像だ。

それでも日本は記録的豪雪…なぜ?

ここで、日本のスノーボーダー・スキーヤーなら誰もが疑問に思うはずだ。

「温暖化なのに、日本はむしろ雪が増えてないか?」

実際、日本海側では記録的な降雪が毎年のようにニュースになる。
これは矛盾ではない。

温暖化によって、

  • 海水温が上昇 → 空気中に含まれる水蒸気量が増える
  • そこに寒気が入ると、一気に大量の雪として降る

つまり、
「気温が上がる=雪が減る」ではない
「温暖化=極端な現象が増える」ということだ。

日本は、

  • 雪が降るときは“ドカ雪”
  • 降らない年は極端に降らない

そんな振れ幅の大きい冬に突入している。

冬のスポーツは終わるのか?

CBCはこの問題を「スキー場の終わり」ではなく、
「冬のスポーツのあり方が急速に変わる転換点」として伝えている。

  • 標高の低いスキー場は淘汰される
  • 雪の安定したエリアに競技や大会が集約される
  • 人工雪は万能ではなく、気温次第では意味をなさない

それでも、人は雪を求め続ける。
だからこそ未来のスキー場は、「場所」「時期」「形」を変えながら生き残っていくのだろう。

雪のある未来を、どう選ぶか

ウィスラー、イタリア、日本。
場所は違っても、すべて同じ問いに直面している。

「雪が当たり前だった時代は、もう終わったのか?」

CBCが伝えるこのニュースは、
スキー場関係者だけでなく、雪を愛するすべての人に向けた静かな警鐘なのかもしれない。

今日、当たり前のように滑れるパウダーの感動を、改めて嚙みしめたい。
それがいつまで続くのか、誰にもわからないからこそ。

飯田房貴

1968年生まれ。東京都出身、カナダ・ウィスラー在住。
ウィスラーではスノーボード・インストラクターとして活動する傍ら、通年で『DMKsnowboard.com』を運営。SandboxやEndeavor Snowboardsなど海外ブランドの日本代理店業務にも携わる。
また、日本最大規模のスノーボードクラブ『DMK CLUB』の創設者でもあり、株式会社フィールドゲート(東京・千代田区)に所属。
1990年代の専門誌全盛期には、年間100ページペースで記事執筆・写真撮影を行い、数多くのコンテンツを制作。現在もその豊富な経験と知識を活かし、コラム執筆や情報発信を続けている。
主な著書に、
スノーボード入門 スノーボード歴35年 1万2000人以上の初心者をレッスンしてきたカリスマ・イントラの最新SB技術書 』
スノーボードがうまくなる!20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING』などがある。
現在もシーズン中は100日以上山に上がり続け、スノーボード歴は40年(2025年時点)。
2022年には、TBSテレビ『新・情報7daysニュースキャスター』や、講談社FRIDAYデジタルの特集「スノーボードの強豪になった意外な理由」にも登場するなど、専門家としての見識が評価されている。

インスタ:https://www.instagram.com/fusakidmk/

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