【特集】カナダ・イントラ資格CASIとは?

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カナダのスノーボード・インストラクター資格についてのお問い合わせをいただくことがあります。
元々DMKの活動拠点が、カナダのウィスラーにあり、カナダのインストラクター資格を持った人との交流も盛ん。そんな理由もあり、お問い合わせも来るのでしょう。
よくよく考えてみれば、日本での情報が少ないのも原因の1つ。
そこで、今回は本格的にカナダ・イントラ資格CASIについてご紹介しましょう。

Text: Fusaki IIDA

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飯田房貴
最初にレベル1を所得したのは、1993-1994シーズン。日本人でカナダのイントラ資格を最初の方に所得したパイオニアの一人。翌年レベル2を所得。
カナダで最も大きなスキー場、ウィスラー、ブラッコムで5シーズンのイントラを行う経験も持つ。
CASIとは?
The Canadian Association of Snowboard Instructorsの略。つまりカナダのスノーボード・イントラ協会のことです。通称、「シー・エー・エス・アイ」と呼ばれるよりも、「キャシー」と呼ばれます。
カナダでスノーボードのイントラを行うには、必要な資格になります。

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ここで定めるインストラクター資格は、レベル1からレベル4まであり、ナンバーが大きいほど高いランクとされます。
最初の資格所得として、レベル1を目指すにことになります。

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CASIホームページ
https://www.casi-acms.com

CASIフェイスブック・ページ
https://www.facebook.com/CASIACMS

CASI資格

さらにCASI資格を細分化した表をチェックして、どのようにしてハイレベルな資格を取れるか、チェックしてみよう。

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まず最初の資格の窓口となるのは、レベル1だ。
ここでは、スノーボードのイントラとしての高いライディング・テクニックと、初心者を教える技術が必要になる。
レベル1で選ばれる斜面は整地の中級者コース全般。

次はレベル2だが、同時にパーク・イントラ資格も取ることが可能だ。

レベル2は、中級者ほどのスノーボーダーに教える技術が必要。
また、レベル2で選ばれるコースは、中級者コースで、整地、不整地とも滑れること。初中級者コースでのカービングターン、初級者コースでスイッチで滑れることも必要になる。あとコース内容には基本的なフリースタイルのテクニックを教えることも含まれるので、それがきちんとデモできることも必要。オーリー、ノーズ、テールプレス、基本的なジャンプの方法(※コースティング、ポッピング)など。

※コースティング、ポッピングとは?
コースティングはジャンプにまっすぐ何もしないで、ただポジション取りだけでアプローチして、スピードと勢いでジャンプするテクニック。
(つまりジャンプの高さや距離は自分ではコントロールするとうわけではなく、ジャンプ台や、ナチュラルフィーチャーによってジャンプの距離や高さが決まるということ。)
ポッピングはアプローチでポジション取りはコースティングと同じですが、踏み切る時に両足で蹴って踏み切るというテクニック。
(ジャンプの高さや距離をコントロールしやすいジャンプのテクニックとなっている。)
このポッピングで両足踏切から前足と後ろ足を別々に動かして踏み切ればオーリーになるわけだが、このジャンプ方法はレベル2には含まれていない。

パーク・イントラ資格の場合は、ジブアイテムでのボード・スライド、キッカーでの360などのライディング・テクニックの他、パーク・ライディングの基本となる技術を教えることができなければならない。
さらにパーク資格は、さらに上の2まである。
そして、レベル3。
ここまで行くと、相当レベルが高い。
コブ・ライディングも上手でないとこの資格を取れないし、教える技術も相当高く、実際にイントラとして活躍して人も落とされるのはザラ。イントラとし優等生のようなタイプが勉強して勉強して、やっと取れるという印象の高いレベルの資格だ。

レベル4までの間に、イバリュエーター(EVALUATOR)というのはあるが、これは「これからCASIの資格を取る人の講師のこと」である。
つまり、イバリュエーターになれば、イントラを育成していく立場になるわけだ。
実際にイバリュエーターになると、イントラ育成としての仕事を獲得できるので、ちょっとした報酬ももらえることもできるぞ。

ちなみに、イバリュエーター2というのは、レベル2の試験管になるということだ。
ドキドキして所得したレベル2の資格、今度はあなたが試験管としてジャッジメントするという立場になるということである。

さらにレベル4
このレベルになると、日本ではデモンストレーターという印象の立場。最高峰レベルで、あるスキー場では、イントラをまとめる校長のような立場であったり。

そして、さらにレベル3のイバリュエーター、レベル4のイバリュエーターという頂上があるわけだ。

レベル1のことをもっと知りたい!

それは、CASIの最初の扉となる、レベル1。
そこで必要なテクニック、また教える技術というのは、どんなものか?
英語能力はどれほど必要か?
また、どれほどの確率で受かるものなのか?

まずライディングのレベルに関しては、以下を参考に。
初心者に教えるためのデモンストレーションのライディングができること。
また安定したカービングターン、ショートターンなども求められる。

教えるレベルとしては、まったくスノーボードができない方が、ターンができるまで。
内容としては、スケーティング、横滑り、木の葉落としなど。
このへんの部分は、日本とほぼ同じだ。

ただし、基本姿勢に関しては、CASIの方がよりスタンスに忠実に、両肩は進行方向にほぼ開かず、横向きなのでそのへんを気を付けたい。
例えば、後ろに来る手(レギュラースタンスなら右手)は、ほどんと後ろ側の腰部分にあり、日本のデモンストレーターように大きく前に出ることがない。

英語に関しては、うまく話せなくても、イントラに必要なキーワードを覚えておくと有利。
イントラ受講は3日間だが、その前に準備コースなどもあるし、実際にCASIが受かるようにサポートしてくれるCSBAという日本人へのフォローアップもしてくれる学校もあるので、利用するといいだろう。

特に安全に関するリーディングは大事になって来るので、そのへんしっかりと英語で伝えるリーダーシップが必要。
例えば、上から滑って見えないところで、レッスン場所を選んでしまったらたちまち減点。だから、グループを誘導する英語が必要になってくるわけだ。
楽しく明るく、冗談交じり話せると良いかも。

ともかく、うまく英語が話せなくても、自信を持ってハッキリと言葉を伝えるようにしよう!
大切なことは、流暢でない英語でも、相手にしっかりと伝わるということだ。

資格を取ればカナダでイントラになれる?

CASIの資格を取ること事体が目標という方も少ないと思う。
カナダ生活で1つのチャレンジとして、資格所得を考えたり。
でも、多くの人はやはりカナダでイントラとなって、仕事をしてみたいと思うのではないだろうか?

だけど、正直言ってレベル1を取ったから実際にイントラをすることは難しい。
例えば、僕が5シーズンお世話になったウィスラーの場合、前からイントラとして活躍している方、そしてカナダに永住権を持っている方が優先されている。
しかも、スノーボードのスクールでの需要は、スキースクール以下なので、レベル1ぐらいだとそもそも就職できないケースがほとんだ。
レベル2を持っていて、ワーキングホリデーのようなカナダで仕事ができるビザを持っていればチャンスがあるが。

山から就労ビザをもらえるのは、レベル3以上、もしくは英語力など相当高いものを求められる。
さらに近年、就労ビザ所得の枠はどんどん減らされる傾向にあり、長年イントラとして働いている人も「来年はビザもらえるのかなあ?」とビビっているぐらいなのだ。

だから、目指すところは、ともかくレベル2まで所得。
それから、ワーホリビザでイントラの仕事をゲット。
そして、イントラで働いている間にレベル3を取って、来年度の就労ビザ所得にチャレンジ!
というところになるだろう。

だけど、何度も言うが、就労ビザを取るのが近年どんどん難しくなっているので、ミラクル・ストーリーとして、カナダ人と結婚!!こうなれば、カナダでずっと働けて、好きなイントラを続けられるということになる。

その他の方法としては、多くの人が考えるウィスラーでなく、カナダの他の山で働くこと。
ウィスラーはスノーボードのイントラになるのに、競争が激しいので、バンクーバー近郊の山を狙ったり、その他、ローカルの山でイントラになることを考えるのも手だ。

どっちにしてもレベル1は必要になるので、カナダで実際に仕事する前に、ともかくレベル1を取る目的でカナダに行くことも考えるといいかもしれない。それから来季に向けて、就職活動というふうにね。

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(カナダで夢のインストラクターに!)

CASI Level 4 保持者!河田 祐紀子さんに聞く

日本人で唯一、CASI最高峰のレベル4を持っている河田 祐紀子(かわだ・ゆきこ)さん。
カナダでのイントラ経験も長く、日本人という枠を超えて、カナダという舞台においてもCASIをより理解している人物だ。
そんなユキコさんに、CASIの魅力、これから所得することを考えている人へのアドバイスを聞いた。

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--ユキコさんが、最初にCASIを取ろうと思ってきっかけは?そして、いつのことですか?

私がレベル1を取ったのは96年の3月です。

仕事を辞めてウィスラーに休暇で2ヶ月ほど滞在したときに、たまたま現地の友人が私に毎日一人で滑ってるだけでなく、こんなのがあるから受けてみれば、とローカル新聞の広告を見せてくれたのです。その時にはイントラにになるとかそんな事は全く考えてなく、レッスンも特に受けた事なかったので、スノーボードの上達の足しになればいいし、英語の勉強にもなるかなと思って軽い気持ちで受けました。受けてみれば日本の感覚とは違った視点の指導法でおもしろかったし、コースで知り合った人に一緒に滑ってもらって自分の行かないコースとか教えてもらえていい経験になりました。そのときはまさかこの資格を実際に使うことになろうとは全く予想してませんでしたけど。

 
--そんなユキコさんが、イントラになり、レベル4まで所得したわけですが、そのきっかけは?

イントラになった経緯は、これもまた偶然なんですよ。レベル1を取った後、一度日本に戻り、ワーキングホリデービザをもって10月半ばにカナダウィスラーに渡りました。
一年という期間しかないので、英語環境に身を置きたいと思って仕事はできれば英語ネイティブの人が多いところでということ、スノーボードが趣味だったので、シーズンパスがもらえる仕事と考えてました。なので簡単にウィスラーブラッコムに応募したのです。リフトオペレーターとかフリーで滑れる時間が取れる仕事がいいなあなど漠然と。ところが、私がカナダに渡った10月半ばには、すでにその仕事は募集が終わっていて、受付担当のお兄さんが私の履歴書を見てイントラの資格持っているのなら、イントラは?と勧めてくれたんです。イントラならまだ募集中なのでスキースクールの校長に履歴書を回しておくよ、と言われました。2、3日したら連絡するからと。それで本当に連絡が来て、面接して仕事もらったんですよ!英語のインタビューは少し冷や汗ものでしたけど、なんとか乗り切りました。
ワーキングホリデーは一回しかとれないので、仕事はもらえるものなら何でもというオープンな気持ちでいったのが良かったのかもしれませんね。

 
--今、英語を流暢に話すユキコさんも、当時の英語のインタビューは緊張されたんですね。

最初はイントラなんてできるのかなと半信半疑だったのですが、やってみればかなりおもしろく、同僚もみんな良い人たちで、ああやっぱり仕事を選り好みしなくてよかったなあと思いました。一年目はやっぱり新米なのでなかなかレッスンも回ってこないし、あっという間にシーズンが過ぎていきました。もちろん苦労もいっぱいしましたが今となってはあの苦労があって今の私がいるんだと思っています。シーズンが終わりに近づき、もう一シーズンこの仕事できたらなんて思ったいたら、戻ってくるにはレベル2が最低限必要といわれ、それならと頑張ってトレーニングしてシーズン終わりにレベル2をとりました。それで次のシーズンのビザをゲットできたんです。(当時はレベル2相当の資格、と英語の他に言葉が話せるのが条件でした。)

翌シーズン戻ってやっと一人前のイントラに仲間入りでき、やっぱりこの仕事長く続けていくには他のイントラにはないものが必要だなと思い、さらに上のレベル、どうせなら一番上のレベルまでと思いレベル4までたどり着いたわけです。CASIレベル4は当時日本人(アジア人)は誰も持っていなく、女性はまだ一人、しかも東カナダの人で、西側にはまだ誰もいないということもあって、やってみようという気になったのです。
あとやっぱり一番上の資格をもっていれば、もし将来ウィスラーから離れ、他のリゾートで働きたいと思った時に有利かなとも思いました。

 
--レベル4を取ることはアジア人で初であり、また女性でも一人というところで、ユキコさんのチャレンジ魂に火が付いたんですね。
レベル4というと、カナダでは最高峰レベル。イントラで活躍している方でもレベル3を取るにはナーバスになっているのに現状なのに。
レベル4を取るために、どんな練習をされて来たのですか?

レベル4を考えだしたのはイントラの経験をだいぶ積んでからでしたので、その時にはもうすでにいろんなレッスンを数こなしていたので、教える方はさておいて、やっぱり自分のライディングのテクニックを上達させなくては話にならないなと。普段教える生徒さんは初心者や中級者が多かったので自分が滑りたいレベルではなかなか滑る時間が取れなかったのです。そこでレッスンの合間に自主練スケジュールを組んでこなしていきました。このレベルになると、試験で自分が滑らなくてはいけないライディングのレベルと教える生徒のライディングレベルは同じなので、自分滑りをどのように上達させればいいのか、そのためにはどういったトレーニングをすればいいのか、自分で考え組み立てていきました。そのことによって滑る技術も教える技術も両方レベル4の試験に受かるように対策したわけです。

 
--こうして、ロジカルに前向きに考えられるところにユキコさんのパワーを感じます。
ユキコさんは、カナダのCASIに最も精通されたアジア人の一人で、カナダ人に混ざってもCASIのことを最もよく知っている方です。
日本のJSBAとの違い?また他の国では、ニュージーランドの資格にも興味を持った方がいるようですが、この2つの国の資格との違いを教えていただけませんか?

JSBAは実は私は、良く知らないのです。日本で滑っていた時はイントラになるなんて全く考えてもいなく、ただお友達と週末に滑りにいく週末スノーボーダーでしたので。数年前にインタースキー(スキー、スノーボードインストラクターの国際会議みたいなもの、4年に一度開かれる)にCASI の代表で参加したとき、他の国のイントラの人と技術交換をする機会がありました。その時、スノーボードの教授法や滑りの技術はスイス、カナダ、ニュージーランドの3国がかなり突出して進んでいて、そのあとにアメリカ、オーストラリアが続く感じでしたのを覚えています。スキー王国のオーストリア、イタリア、フランスはスノーボードイントラのみの資格制度がないので、基本的にはスキーのインストラクターがボードも教えるっていうのがほとんどのようです。

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(インタースキーに出場した時の記念撮影。カナダ人に混ざってCASI代表として出場したユキコさん。カッコ良過ぎる!)

ニュージーランドの資格は私は個人的にはかなり良い資格だと思います。私の働いているウィスラーのスキースクールもかなりニュージーランドの資格を持っているイントラが働いていて、その人たちはみんな滑りも上手く教えるのも上手です。
インタースキーに行って私が感じた事はどの国もスノーボードの基本的な動作に関しては説明の仕方は異なっていても最終的には同じ事を示していると思いました。
ただその後、滑り方がどのように発展していくのかはそれぞれの国の雪質、(ソフト/ハード、ウエット/ドライ)によっても山のレイアウト(小さなエリアか大きなエリア)に寄って変わってきているようです。例えばカナダは大きな山が多くいろんな斜面を滑る機会が多いので、CASI の滑りはそれに対応した滑りになってますし、逆にヨーロッパの国々はエリアはカナダの様に大きいエリアでも雪質が固めで斜面の変化がカナダほど多様ではないのでそれに対応した滑りになるというわけです。

 
--今、この記事を読んでいる方は、まずはレベル1を目指す方も多いと思います。
そんな方にアドバイスをお願いします。

一番大切なのは、イントラになると基本的には8割9割は初心者のレッスンを教えることになるので、スノーボードが本当に好きなのかどうかが自分に聞いてみてください。初心者を教えるイントラの仕事は自分が大好きなこのスノーボードというスポーツを新しくやってみようと思っている人に伝えると言う事だと私は思っています。自分の好きなスポーツをもっといろんな人に知って欲しいという情熱が教える時の親切さ、熱心さにつながると思うのです。後はただ何となく滑るのはなく、自分がどうやって滑っているのかを常に自己分析する力を身につけるようにすると、滑りの上達も効率的になると思いますよ。

CASIに関するお問い合わせ情報

CASI 地区別連絡先

Atlantic – Regional Coordinator
Dan Genge
[email protected] Cambridge, Ontario,

Quebec – Regional Coordinator
David Gagnon
[email protected] Brossard, Québec,

Ontario – Regional Coordinator
Douglas Mooder
[email protected] Elmira, Ontario,

Manitoba/Saskatchewan – Regional Coordinator
Dan Genge
[email protected] Cambridge, Ontario,

Alberta – Regional Coordinator
Andrew McCraney
[email protected] Calgary, Alberta,

British Columbia – Regional Coordinator
Greg Daniells
[email protected] Whistler, British Columbia,
CASIのことで、わからないことがあったらお気軽にご相談ください。by Fusaki
e-mail: [email protected]

CASI 連絡先
CASI-ACMS
60 Canning Cres.
Cambridge, ON N1T 1X2
Toll Free: 1.877.976.2274
Email: [email protected]

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