【コラム】フロントサイトターン&バックサイトターンの意味を誤って使っているスノーボーダーたち!?

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長年、スノーボードに関するハウツーを雑誌、本、ビデオ、そして当サイトなどを通して、伝えて来た私は、かつてつま先側のターンをフロントサイドターンと言い、またカカト側のターンをバックサイドターンと言い続けて来ました。しかし、私のカナダの友人スノーボーダーの中には、それは「誤っている」という人がいます。また自分以外にも異なる考えの人がいることに、ちょっとした驚きがあります。

近年では、より明確につま先側のターン(トゥサイドターン、あるいはトーサイドターン」、そしてカカト側のターン(ヒールサイドターン)という言い回しが増えて来ました。しかし、まだまだ日本では、フロントサイドターン、バックサイドターンという言い回しもあります。

フロントサイドターンという語源はサーフィンからやって来た!

スノーボードの語源は、スケートボードから来るケースが多いのですが、そのスケートボードの語源ルーツを辿ると、さらに先輩サイドウェイ・スポーツのサーフィンから来ています。

身体の正面の波を受け止めるターンは、「フロントサイド」と呼びます。(※上の動画を参照)
また逆に背中側で受け止めるターンは、「バックサイド」と呼んでいるのです。

以上のことは、「サーフィン フロントサイドターン バックサイドターン」で検索して動画を拝見していただければ一目瞭然。

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彼らは波の頂点を身体の正面で受け止める時に、「フロントサイドターン」と呼び、背中側で受け止める時には「バックサイドターン」と呼んでいるのです。
以上を踏まえた上で、以下のスノーボードのターンのシークエンス写真をご覧ください。

私たちはこのターンのことを「バックサイドターン」と呼んでいて、今でもそのように呼ぶ人はいます。
しかし、実際にはこのつま先側からカカト側に移行するヒールサイド・ターンは、なんと「フロントサイドターン」であると主張する人もいるのです。
たしかにサーフィンのターンと照らし合わせれば、つま先側からアプローチして頂点でターン頂点でカカト側にあり、そのままターンを仕上げる形は、フロントサイドターンと呼ぶに、相応しい感じもします。

このことをハーフパイプに照らし合わせてみれば、より理解しやすくなります。

以上の動画を見てもわかる通り、つま先側から壁に上がり、空中でエッジを切り返し、ヒールサイドでランディングするのは、フロントサイド・エアなのです。

ただこのような考えは、日本人だけでなく、海外の人でも使っている例があり、そもそも本当のところどっちが正しいのか?ということは混乱状態にあります。

でも、海外の英語サイトでは、日本人以上にフロントサイドターン、バックサイドターンという言い方をせずに、TOE SIDE(トゥサイドorトーサイド)、HEEL SIDE(ヒールサイド)という伝え方が主。だから、これから日本でも混乱を来さないように、ターンに関しては、

トゥサイドターン(つま先側ターン)
ヒールサイドターン(カカト側ターン)

という伝え方が一番良いに思います。

まとめると、

そもそも日本のみならず、海外でも誤った解釈の元、フロントサイド、バックサイドターンが使われていた!?
現在、海外ではそのような言い方はほぼせず、TOE SIDE(トゥサイド)、HEEL SIDE(ヒールサイド)という言い回しが主である。
元々の語源がサーフィン、スケートボードから来ているので、それに応じた用語をチョイスするべきだったと思われるのだが…。
もし、どうしてもフロントサイドターン、バックサイドターンと言いたいのなら、おそらくあなたがこれまでに考えていたターンとは逆であった(?)可能性もある。

しかし例え誤った使い方をしても、これまでの用語の観念を180度変えることは不可能だろう。

コラムニスト・飯田房貴
1968年生まれ。東京都出身、カナダ・ウィスラー在住。
シーズン中は、ウィスラーでスノーボードのインストラクターをし、年間を通して『DMKsnowboard.com』の運営、Westbeach、Sandbox、Endeavor Snowboards等の海外ブランドの代理店業務を行っている。日本で最大規模となるスノーボードクラブ、『DMK CLUB』の発起人。所属は、株式会社フィールドゲート(本社・東京千代田区)。
90年代の専門誌全盛期時代には、年間100ページ・ペースでライター、写真撮影に携わりコンテンツを製作。幅広いスノーボード業務と知識を活かして、これまでにも多くのスノーボード関連コラムを執筆。主な執筆書に『スノーボード入門 スノーボード歴35年 1万2000人以上の初心者をレッスンしてきたカリスマ・イントラの最新SB技術書 』『スノーボードがうまくなる!20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING』がある。
今でもシーズンを通して、100日以上山に上がり、スノーボード歴は37年。
スノーボード情報を伝える専門家として、2022年2月19日放送のTBSテレビの『新・情報7daysニュースキャスター』特集に、また2022年3月13日に公開された講談社FRIDAY日本が「スノーボードの強豪」になった意外な理由にも登場。

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