TRANSWORLD SNOWBOARDING JAPAN編集長/野上大介

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今回のインタビューは、注目です!
TRANSWORLD SNOWBOARDING JAPAN編集長の野上大介さんです。
日本を代表するスノーボード専門誌のリーダーとして、現在のスノーボード業界をどのように考えていられるか。昨今のスノー不況に対して、どのようなアイデアがあるのか。直撃!!スノーボードに賭ける熱い思いをお聞きした。
また、氏のスノーボーダー・ヒストリーも迫って、これから業界に入る方に向けてアドバイスも!

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INTERVIEW by Fusaki IIDA

まずはDMKのインタビューに出ていただきまして、感謝です!
やはりお互いスノーボード・メディアとして、また同じスノーボーダーとして、この業界を盛り上げていきたいという気持ちは同じ。
早速ですが、野上さん、現在のスノーボードの置かれた状況をどのように考えていられますか?

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現状の日本スノーボードシーンについて考えてみると、個人的にはようやく条件が揃ってきたように感じています。というのも、爆発的に流行した90年代前半のニュースクール時代、僕もそのときにスノーボードを始めたわけですが、彼らが家庭を持ち、子供を授かり、ようやくリアルスノーボーダー2代目が誕生し始めています。これは業界の未来を考えた際に、とても大きく重要なことだと感じています。

また、その世代が戻ってくる、もしくは継続するためのキッカケとして、バックカントリーブームが訪れている点にも注目しています。
イコール、日本スノーボード界にとっては、パーク以外の受け皿が広がり始めているとも言い換えられると思います。

本来であれば地形を見極めて遊べるスノーボーダーが増えることを望んでいますが、海外と比較すると地形に恵まれているリゾートも少なく、また、これまでパークに依存してきた反動により、いわゆるボードに“乗れている”スノーボーダーが少ない状況です。直滑ってトリックばかりに執着してきた結果だと分析しています。前述した時代には、シーンの潮流がニュースクールからハーフパイプへと移行したことや、当時はプロを目指せていたスノーボーダーも少なくなかったこともありますが、今よりも基礎としてのライディングスキルは高かったのではないでしょうか。フィールドやプロダクトの進化が著しいため同じモノサシで計ることはできませんが、ベースとしてのスキルで考えると遊べる環境が乏しかった分、自らのボードさばきを磨く以外に術はなかったため、そう考えています。このカルチャーの魅力や世界観に精通するためには、やはりスポーツである以上、最低限の滑走技術が必要不可欠になります。ですので、弊誌ではフリーライディングを最重要項目に掲げ、コンテンツを発信し続けているのです。

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(左、ニュースクール・ブームを牽引した93年のムービー、ロードキル。右、ハーフパイプ大会が盛んな頃、大会で2位に入った時の野上氏。)


昔の方がライディングレベルが高かったということは、これまで自分の考えにありませんでした。だけど、確かにパイプを滑るには、カービング技術など不可欠で、あの時代の方がよりフリーランの大切さとか意識していたかもしれませんね。

その他、何か思われる現在の状況は?

外的な要因として、昨今、大手企業が挙ってスノーシーンに参入してきていることも、冒頭で述べた条件を整えている一助になっていると考えます。リクルート社が取り組んでいる提携ゲレンデのリフト1日券が19歳は無料になる「雪マジ! 19」。
これは画期的ですね!若年層がどんどん外に出てほしい、ということを大手企業がやってくれているという。

これから述べることは語弊があるかもしれませんが、若年層のアウトドア離れや節約傾向がマスコミが伝えるように本当だとすれば、スノーボードは彼らにとっては余暇の対象外でしょう。その悪条件を打破するキッカケとしては、かなり大きな効果を上げているのではないでしょうか。提携ゲレンデも100を超えているので、全国的に波及している事例だと思います。

また、JR東日本が約8年ぶりに展開した「JR SKI SKI」の広告キャンペーンも、12-13シーズンのスノーシーンに対して大きく貢献してくれたと感じています。
さらに、首都圏にも降雪・積雪があったことでウィンタースポーツの匂いがしたことも挙げられるでしょうし、六本木ヒルズでスキー・ヒップジャンプのイベントが行われたことなど、来年2月に開催されるソチ五輪に向けた助走段階として、ウィンタースポーツの盛り上がりが波及しているように感じます。そのオリンピックという大舞台にて、メダルを獲れる可能性の高い日本人ライダーが存在しているという事実が、これまで述べてきた好条件を最終的に突き上げる原動力となってくれることを期待しています。

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(若者にスキー場へ誘うキャンペーンは増えている中、降雪量も増え、ウインター業界にとっては追い風!)
なるほど。僕は結構、業界全体でネガティブな意見を聞いて来たのですが、こうして野上さんのご意見を伺うと、改めてポジティブなことが浮かび上がって来ます。

一方で改善すべき点というか、業界が取り組むべき点などは?

現在のプロスノーボーダーと一般スノーボーダーのレベルや価値観は、年々広がっているように感じます。プロライダーたちが求めるフィールドはバックカントリーやストリートであり、反面、競技人口よりもレジャー人口のほうが圧倒的に多い一般シーン。その隔たりを埋める作業も必要不可欠です。ライディングレベルを近づけるという話ではなく、例えば、やたら球種や配球に詳しいプロ野球好きのオッサンはたくさんいると思います。他のメジャースポーツも然り。ただし、一般メジャースポーツの場合は経験者であればそのフィールドや戦略を理解できるからこそ、プロ選手の凄さをよりリアルに感じられると思います。しかしスノーボードの場合は、プロが活動するフィールドを体感することはおろか、スケール感すら想像できないのが現状です。彼らが活動するバックカントリーへ誘うことは不可能に近い話ですから、その舞台裏や状況説明を映像や誌面を通して発信し続け、その表現力や表現する理由をしっかりと理解してもらうことができない限り、スノーボードの本質や本来の魅力を伝えていくことは難しいと感じています。


確かに、僕も一般の層とコア層の隔たりを強く感じています。

カナダにいると環境が良いこともあり、コア層から一般のユーザーの層がピラミッドのように広がっているように思うのですが、日本の場合、何かそこに極端に隔たりがあるというふうに感じています。
野上さんは、「表現する理由をしっかりと理解してもらう。」とおっしゃいましたが、具体的に言うと、どういうことになりますか?
もう少し、わかりやすく説明してもよろしいでしょうか。

本来、スポーツという視点で考えると、順位、タイム、点数などの数字でアスリートを評価し、ファンや観客がその結果に一喜一憂することで、プレイヤーとオーディエンスとの関係性が成立していると思います。だから観戦するためにお金も払うし、人気を集めれば集めるほどアスリートの収入も増えるはず。

しかし、いい意味でも悪い意味でも、スノーボーダーは順位や点数で評価されることを嫌い、「自由」を強調する側面がとても強いため、アンチ競技志向のプロや業界関係者が少なくないでしょう。まず、そこに大きな壁が立ちはだかっています。

トップライダーたちは、広大かつ未開のバックカントリーに存在する豊富な地形を活かし、白銀のキャンバスに自らのラインを刻んでトリックを織り交ぜながら「自由」を表現することに最大の価値を見出しています。そこに至るまでには、もちろん競技を通して名を馳せてきた実績がありますから、トリックを追求してきた背景もあるわけです。そこで、これまで培ってきた経験やスキルを発揮し、難しいラインどりやトリックを巧みに活かして表現することができるトップライダーたちに対して、そこで、なぜそのラインどりだったのか? なぜそのラインからこのトリックを繰り出したのか? なぜこのロケーションではスピンではなくストレートエアだったのか?・・・・・・ここまで具体的ではないにせよ、そういった背景を少しでも理解できないと、バックカントリーを主戦場として活動するトップライダーの本当の価値を見出すことは難しいのではないでしょうか。

手つかずのディープパウダーで、かつ、自然が形成した天然地形をアイテムに見立て、裏山をストリートで遊ぶスケートボーダーかのように軽快に滑り下りるライダーの表現力。とは言え、前述したように地形で遊べる一般スノーボーダーが少ないことに加え、その地に足を踏み入れることすら不可能に近い状況で、それに反比例するようにトップライダーたちは進化し続けています。これらを理解してもらうことは、並大抵ではないのかもしれません。つまり、トッププロたちのライディングに対して、一般スノーボーダーが感情移入できなくなってしまっている現状が大問題なのです。

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(現在のビデオシーンはあきらかに一般スノーボーダーとかけ離れたシーンばかりで感情移入がし難いと野上氏。写真は、スノーボード・ブランドのリーディング・カンパニー、バートンのチームビデオ予告編でのカット)


そうですね。そのへんは、一応この世界に生きている自分もトライしているところです。ライダーと接して、話してわかることも多々あります。だから、それをわかりやすく表現したいと思っています。

そう難しく考え続けてきて、「どうすればいいのか?」「何が大事なのか?」ということにここ数年ずっと悩まされてきました。しかし、俯瞰で見ながらシンプルに考えてみると、「カッコいい」ってことなんだと改めて気づかされたのです。
カッコいいから滑りたい、イケてるギアを身に纏ってカッコよくなりたい。その価値観にはプロとアマ、日本や世界といった境界線はありません。

ただし、カルチャーだとか遊びだとかスノーボードを形容する言葉はいろいろありますが、スポーツとしての要素が含まれている以上、滑走技術は絶対に必要です。そのためには上達することが重要である反面、プロダクトに関してはテクノロジーを追求するばかりでなく、カッコよさや斬新さも求められます。こういった価値観は一般的にややこしいのかもしれませんが、スノーボードが持つ魅力のひとつなのでしょう。また「自由」が強調されるスノーボードだからこそ、それを得るための努力は必要です。実のところ、ここがもっとも重要だと考えています。

回転数やグラブなど、目に見えてわかりやすいので仕方のないことかもしれませんが、トリックばかりにフォーカスを当て続けてきた反動でもあると思います。そうではなく、いわゆる“板に乗れている”カービングができるようになれば、その自由はどんどん広がっていくでしょう。だからおもしろいわけですし、カッコよさに繋がっていくんだと思います。その先にはトリック、パウダー、地形遊び、サイドカントリー、バックカントリーといったように、無限大の楽しみが待っています。そこに至るためのハードルを乗り越えることさえできれば、楽しいからこそやめられないし、あらゆる魅力にとりつかれて飽きることもなくなるはず。イコール、前述した“本当の価値”も見えてくると信じています。
確かにこうした技術を身に付けることで、読者はよりプロ・ライダーのイメージに近づけるきっかけになりますね。

そのハードルを越えたからこそ職業として選択するにまで至った僕たち業界関係者が思っている以上に、それは大きく立ちはだかっている考えています。ハードルというよりも壁といったほうが適切かもしれません。その大きすぎる存在を、これまでの過程において軽視しすぎてきたのではないでしょうか。だからこそ、それを越えることができるスノーボーダーを増やすことこそが、僕たちシーンに携わる人間の課題なんだと思います。それに加えて、カルチャーとしての側面まで伝えることが使命なのだからかなり難しいことだとは思いますが、困難であればあるほど、やり甲斐にも置き換えられるのではないでしょうか(笑)


ポジティブだ!(笑)

「困難であるほど、やり甲斐がある。」という言葉に野上さんの決意というかスノーボードに掛ける思いを見たようです。
そして、この話を聞いて、専門誌の力ってそのへんにあるのかな?とも思いました。
というのも、僕のようにネットで配信していると、いつも文章量とか行間とか、画のバランスとか、考えないといけないわけです。言い換えれば、ネット読者の方が雑誌読者よりも飽きっぽい方が多いので、写真は適度に多く、情報はなるべく簡潔に伝えないといけません。
このヘビー級なインタビューも読んでもらえるのか、心配です(笑

例えば、動画だって今、2、3分が良いという風潮があり、20分以上の大作なんて見れないというわけです。
でも、雑誌だったら、きれいな写真が1枚あって、そこに魅力的な文章があれば、その世界に浸れるわけですよね。
ライダーが、どんなことを思ってそのラインを刻み、なぜその画にこだわったのか。そんなことをしっかり表現でき、さらには想像を掻き立ててくれるのも雑誌ならではの力だと思うのです。

そこで、今度は野上さんに雑誌のあり方についてお尋ねします。
今、これだけ世界がネットだらけになって、スノーボードDVDもどんどん無料動画で見るような流れもあります。
そんな中、雑誌のアイデンティティというか、役割はどのように考えておられますか?

とてもいい質問であり、難しい質問ですね。現在はデジタルの進化・普及に伴って、紙媒体はビジネス的に難しい局面を迎えていることは事実です。でも、今おっしゃっていただいたように、スノーボード誌の場合は美しいライディング写真という武器があります。さらに、その価値を上げる洗練されたテキストを描写できれば、本来のスノーボードの価値を伝えるという意味で雑誌の存在価値は確立できると思います。けれど、現段階ではそのレベルに至っていません。そういった雑誌を求める声は耳に入ってきますが、それは業界関係者がほとんど。しかし、その価値観は一部のスノーボーダーにしか届かないのではないでしょうか。

それよりも、雑誌であろうがWEBであろうが映像であろうが、スノーボードメディアとして前述したような底上げを徹底的にやることが最優先の課題だと認識しています。ですから、バックカントリーやストリートで残された素晴らしいアート写真も掲載しますが、そのライディングを理解させるための舞台裏も紐解きます。トップライダーのインタビュー記事でスノーボーダーたちの内面も伝えますが、一般スノーボーダーのスキルアップを促進するためのハウツー記事も濃厚に用意しています。あらゆる価値観、多様なフィールド、年齢層、性別など、様々な要素が絡まり合ってひとつのスノーボーディングという世界があるわけですから、コンテンツのバランスが重要だと考えています。広く浅くではなく、広く深くが信条です。

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(野上編集長の職場=トランス編集部。決まった席がなくオープンなスペース。他編集員とコミュニケーションも取りやすそう。下の階には撮影スペースもあり、日本を代表するスノーボード専門誌にふさわしい環境だった。)

バランスという点では、僕も同感です。だけど、トランス誌にはガツンガツンと深く行ってほしいし、その深さに行けるモノが根底にありながら、一方でまた多くのスノーボーダーが喜ばれるような広さあるコンテンツも期待しています!

次に、そもそも野上さんが、この世界に入った経緯を教えてください。
全日本スノーボード選手権にも出場した元ライダーとお聞きしていますが、雑誌編集者になろうと思ったきっかけは何だったのですか?

もともとはライダーとして活動していましたが、とにかくケガが多くて……。昨年1月に左膝関節内を粉砕骨折した影響で、いまだ滑れずにリハビリを強いられる日々が続いていますが、昔から無謀に突っ込むタイプ……かつセンスがなかったんでしょうね(笑)

編集者になったのは本当に“たまたま”です。当時一緒に滑っていた仲間が某アウトドア系の老舗出版社に勤務していて、彼に誘われたのがキッカケです。父親が大手出版社から発刊されている週刊誌の編集者で、幼少期は親とすれ違いの生活を送っていたこともあり、本当は「やりたくない仕事No.1」だったのですが、続けていくうちにライディングで表現することが難しくなってきた状況で、ペンを持つことで違う角度からシーン全体に対して表現できるという仕事の魅力に取り憑かれていきました。「カエルの子はカエル」という言葉のとおり、仕事内容も肌に合っていたのかもしれません。
その出版社で4年間くらい修行を積んだ頃、現在のトランスワールドジャパンからヘッドハンティングされて、現在に至ります。詳しくは、以前に自身のスノーボードライフをまとめたブログでの連載記事「SNOWBOARDING IS MY LIFE」に掲載してありますので、よかったら読んでみてください。(以下、リンク参考)

vol.1 http://www.transworldweb.jp/snow/blog/editors-blog-chief/2010/04/09/index.php
vol.2 http://www.transworldweb.jp/snow/blog/editors-blog-chief/2010/04/15/index.php
vol.3 http://www.transworldweb.jp/snow/blog/editors-blog-chief/2010/04/23/index.php
vol.4 http://www.transworldweb.jp/snow/blog/editors-blog-chief/2010/04/29/index.php
vol.5 http://www.transworldweb.jp/snow/blog/editors-blog-chief/2010/05/07/index.php
vol.6 http://www.transworldweb.jp/snow/blog/editors-blog-chief/2010/05/14/index.php

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(左、ニュージーランドではバックパッカーに泊まりながらスノーボードしていた。右、八甲田のナチュラルクォーターでのセッション・シーン。)

スノーボーダーなら、トランス誌に登場するのは、憧れです。
野上編集長が考える、トランス誌に出るための条件は何でしょう?
人気企画のカタログ号の100人ライダーに出る条件とは?
その他、編集長のジャッジポイントというか、こういうライダーをフューチャーしたいという思いなど、お聞かせいただければ。

プロスノーボーダーという表現自体が曖昧な現況だとは思いますが、任意団体が認めている資格自体には正直価値を感じられていません。僕が考えるプロスノーボーダーとは資格うんぬんではなく、ライディングでメシを食っているライダーこそがプロです。彼らの活動は大きく二分することができると思いますが、一般スポーツ同様に競技者として活動するアスリートタイプか、スノーボードが秘める本質の魅力をライディングという表現を通して伝え広めるアーティストタイプに分かれると思います。そのライディングレベルには格差があると思いますが、それらを追求しているライダーたちをピックアップさせていただいています。

弊誌のカタログ号「SNOWboarder’s BIBLE」の100人ライダースナップの人選に関しても、」同じモノサシで選定させていただいています。

おっしゃるように、スノーボードのプロフェッショナルの定義が多くの一般ユーザーに勘違いされてしまう1つの要因は、プロという資格があり、それで食べて行けてしまうように勘違いしてしまうこと。
このプロ資格というのは、日本独特なものです。
やはり我々メディアは、多くの一般スノーボーダーに影響を与えるプロフェッショナル・スノーボーダーをもっと上手にフューチャーしていく必要がありそうですね。

前述したブログ記事を読んでいただければわかるとおり、いちライダーとして活動していた背景もありますので、現職における最大のモチベーションはライダーの価値を最大限に見出し、彼らに対して名声だけでなく金銭面も含め還元されるシーンを作ることにほかなりません。ですが、このインタビューを通して伝えさせていただいていますが、ライダーが究極を求めれば求めるほど一般ユーザーからは、滑りに対する感情移入が得られなくなるという矛盾が生じています。ですから、今年の9月6日に発売した10月号では「布施忠の生き様」と題した16ページに渡るロングインタビューを自ら執筆しました。少しでも本質を一般スノーボーダーに届けるべく、本物のライダーたちを取り上げていきます。

その一方で、今季はオリンピックシーズンに当たります。前述した本質をよりマスへ広めるためには、スノーボード自体がメジャースポーツとして日の目を浴びる必要もあると考えています。これに対しては賛否両論もあるかもしれませんが、だからこそ、メダルを狙える位置につけているライダーたちも紹介していきます。
これらの相乗効果を掲げ、スノーボードが持つ奥行きを社会に対して表現するべく、ライダー選定はもちろん、雑誌作りを遂行しています。

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(真のプロフェッショナル・ライダーの世界を掘り下げた注目の特集記事!トランスワールド最新号から)

今、これを読んでいて、自分もこの業界に入ってみたい。スノーボードに携わる仕事をしてみたいという方は少なくないと思います。実際、DMKサイトをチェックしていた方で、これまでに業界へ入った方も少なくなんいですよ。
最後に、そんな方へ向けてアドバイスをいただけませんか?

どういう形で業界に関わりたいかにもよりますが、メーカーサイドに就くことが可能性としてはもっとも高いかと思います。スノーボードが好きという気持ちは当たり前であって、それに携わることで満足してしまうようなタイプの人間は、今の業界には必要ありません。正直、生半可な気持ちではできないくらいシビアで難しい状況です。それぞれの利益を優先させることは企業として致し方ないことでしょうが、もっと業界を俯瞰で見ることができるような人材が必要だと思います。他社と手を組むことも時には必要かもしれませんし、ライダーに対するマネージメントも今のままでは厳しいかもしれません。

また、オンライン上に商品が溢れかえり、何よりも価格を重視して商品を購入する現在の潮流に対して、特に対策が練られているようにも感じません。こんな時代だからこそブランドが持つ付加価値が重要だと感じていますが、大半が輸入した商品を流通させるディストリビューターであり、その本質は日本国内に伝わっていません。好きなことを仕事にできるからこそ、何よりも魅了された遊びだからこそ、“本気の人”に入ってきてほしいです。現状、遊びの延長線上で携わっている人が多いように感じています。

だからこそ、裏を返せばチャンスでもあります。この業界はいい意味でも悪い意味でもアナログです。デジタル化がすべてではありませんが、まだまだ隙間はたくさんあります。好きなことを仕事にできる喜びは保証します。だからこそ、繰り返しになりますが、本気で取り組める人材が必要なのです。

今回は、長いインタビューにお付き合いありがとうございました!
これからもぜひスノーボード界に熱い風を吹き込み続けてください。

こちらこそ、ありがとうございました。スノーボードは最高の遊びであり、カルチャーであり、そしてスポーツです。でも、ここまで多様化してしまった以上、それぞれが“点”でやっていては業界の発展は望めません。みんなで“線”となって、さらにスノーボードシーンを盛り上げていきたいですね。

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