サーフィン・スノーボードを愛する気象予報士!唐澤敏哉氏に聞く今季2021-22の降雪予報は?

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サーファー向け波情報「波伝説」やマリンスポーツ向けの気象情報サイト「海快晴」を運営している株式会社サーフレジェンドで気象予報士をしている唐澤敏哉さんは、サーフィン・スノーボードは、共に1991年に始めているベテラン横ノリスト!現在は、湘南在住のためにBCに行くことはないというものの、毎年冬には故郷である北海道に帰省して、ニセコや札幌周辺のサイドカントリーや空知のローカルスキー場でフリーライドを楽しんでいる。
そんな気象予報士の唐澤さんに、ズバリ!今季の日本の降雪予報をお聞きしました。
また、地球温暖化が進むと降雪量が逆に多くなるという、興味深い説もご紹介します!

※この記事で使用されている写真は、唐澤さんにご提供していただきました。写真のライダーはご本人になります。

-- この度は、インタビューにご協力していただきましてありがとうございます!
早速ですが、全国のスノーボーダーたちは、果たして今季、雪が降るのか?ひじょうに気になっています。
ちょうど一週間前にヤフーニュースで、『この冬 ラニーニャ現象の発生だけでない 11月中頃から寒気が流れ込みやすくなる』という報道がありました。僕たち、スノーボーダーにとっては、胸躍るニュースだったのですが、ズバリ、唐澤さんの今季シーズン予報の見解は?

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唐澤: ざっくりというと、「期待大!」です。
気象庁が9月に発表した冬の天候の見通しである「寒候期予報」によると、今シーズンは冬型の気圧配置がやや強く、日本海側の降雪量は、北・東日本はほぼ平年並、西日本では平年並かやや多い予想となっています。

もう少し詳しく掘り下げると、12~2月の降雪量の予想は、北日本の日本海側では平年並の確率が40%で多い確率は30%。東日本の日本海側では平年並の確率が30%で多い確率は40%。そして西日本の日本海側では平年並の確率が40%で多い確率が40%となっています。日本海側の降雪量は70~80%の確率で平年並か平年よりも多くなるとなります。

このように、冬型の気圧配置がやや強くて、日本海側の降雪量が多くなる原因は、シベリア高気圧の日本付近への張り出しが例年よりも強く、上空の偏西風(ジェット気流)が蛇行して日本付近に南下するために、寒気が流れやすくなるため、と考えられているためです。
また、60%の確率でラニーニャ現象が発生する可能性があります。

-- ラニーニャ現象という言葉はよく聞きますが、どんなことなのか改めてご説明お願いできますか?

唐澤: ラニーニャ現象とは、エルニーニョ現象とは逆に、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけての海面水温が平年より低い状態が続く現象となります。ラニーニャ現象発生時の日本の冬は、一般的に、気温は低く、降水量は多くなる傾向にあります。
これらのことから考えると、今シーズンは、「気温が低くて降雪量が多い」、となりますね。
今シーズンはパウダースノーに恵まれることに期待できそうです!


--おーお!パウダー好きのスノーボーダーにとっては朗報ですね。
早いところでは、いつからパウダースノーボーディングが楽しめそうですか?
そのスポットは?

唐澤: 北海道であれば、もうすぐにパウダーが楽しめそうです!
一般的に、上空5000m付近でマイナス30℃、1500m付近でマイナス6℃を下回る寒気が入ると平地でも雪になるのですが、今月の11月11~12日にはこの上空5000mでマイナス30℃、1500mでマイナス6℃を下回る寒気が北海道にまで南下してきます。標高の高い大雪山黒岳を筆頭にパウダーとなりそうですね。

その後は一旦気温が平年よりも高くなるのですが、11月の下旬から12月上旬には西日本を中心に平年よりも気温が低くなる予想です。12月になれば、本州でも標高の高い所であればパウダーとなるかもしれません。
昨シーズンと同様に、コロナ禍によってインバウンドで外国から来る人は少ないかもしれません。僕自身、ノートラックのバフバブのパウダーを楽しみたいと思っています!

-- やはりパウダーは、北日本から楽しめると考えていいのでしょうか?

唐澤: そうですね。北日本が中心ですが、東・西日本では12月、1月は平年よりも気温が低い予想になっているので、長野や群馬を中心に本州でもパウダーが楽しめそうです。確実にパウダーを狙うなら北海道ですが、本州でも冬型の気圧配置になるタイミングをうまく選べばパウダーを楽しめると思います。

地球温暖化が進むと降雪量が逆に多くなる!?

-- うわあ、それは楽しみなシーズンになりそうです!
ところで、今回のインタビューをさせていただく事前メールでのやりとりで、 地球温暖化が進むと降雪量が逆に多くなるという説があると、聞いてメッチャ気になりました。そのへんのお話を教えていただいてもよろしいでしょうか?

唐澤: 地球温暖化の影響で全国的に気温が上がると、暖冬傾向にはなります。ただし、地域によっては「ドカ雪」となることが予想されています。具体的には、北海道・信越・北陸地方で豪雪が増えると予想されています。

中学校の理科の授業で習っていますが、気温が上がると大気に含むことができる水蒸気量が増えます。冬の日本海側の雪は、大陸からの空気が日本海を渡ってくる際に海から水蒸気の補給を受けて、その水蒸気が凍結することによって発生します。

このため、①温暖化が進む→②気温が上がる→③日本海で発生する雪雲が含むことのできる水蒸気量が増える→④水蒸気を多く含んだ雪雲が日本海側の山地に達する→⑤山地でドカ雪となる、となります。
また、雪となる日が多くなるとも考えられています。

ただし、湿ったドカ雪となり、雪質は悪化するかもしれません。ドライパウダーを楽しめるのは標高の高い山や北海道の内陸や北部などに限られるようになるかもしれません。また、数年前に北陸で発生したようなドカ雪による交通障害などの発生回数が増える恐れもあります。

-- あーあ、たしかに近年、あるところではドカ雪になる一方で、湿った雪による交通障害のニュースが増えているように思います。

唐澤: 一方、地球温暖化が進むと、気温が上がるために、日本海側の平野部では、雪ではなく雨が多くなると予想されます。そのため、全国的な降雪量は減少するとも考えられています。
ドカ雪が増えることが予想される北海道・信越・北陸地方では、シーズンインは遅くなり、シーズンアウトは早くなるかもしれません。また、西日本では、1月になっても気温が0℃を下回らなくなり、降水があっても雪にはならずに雨となり、滑走できる期間がほとんど無くなる所もあるかもしれません。

-- 近年、西日本のスノーシーンがやたらと短く感じるのも、やはり温暖化が原因なんですね。

唐澤: はい。同様の現象が北米・アラスカ・シベリアでも予想されています。アラスカやシベリアなどのようなもとから気温がかなり低い場所では、1年を通した雪の量が増えるという予測があります。雪をもたらす嵐の確率が減少する予想の一方で、寒気が流れ込んでいったん雪が降り出すと、大雪の危険性が高まると考えられています。また、「雪嵐」ではなく「大雨を伴った巨大化した嵐」へと様相を変えるとも考えられています。トータルで考えると、地球温暖化はウィンタースポーツにとっては好まざるものと言えそうです。

-- たしかに私が住むカナダのウィスラーでも、氷河のスペースが減る一方で、むしろ豪雪に見舞われる日が増えたところがあります。
このような温暖化が進む中で、私たちにできることは何でしょうか? 

唐澤: 温暖化をもたらす二酸化炭素は石油や石炭などの化石資源を使用することによって発生します。今の私たちの生活は化石資源に頼って成り立っています。ガソリン・灯油・ガスなどだけではなく、プラスチック・化学繊維・ペットボトルなど多くの物が化石資源をもとに造られています。また、製鉄やガラスの製造なども火力が必要なために大量の化石資源が使用されています。電気も石炭発電の割合が高くなっています。すぐに二酸化炭素を無くすことは現実的には厳しいです。
ただし、大事なことは、少しでも省エネを意識して生活し、地球温暖化やその緩和策について正しい知識を身につけ、回りの人に発信し、次の世代に伝えることだと思います。ジョン・レノンが「イマジン」で歌っているように、夢かもしれないけど、皆が意識して考えることで、社会全体が大きく変わるかもしれません。

唐澤 敏哉 プロフィール
1972年生まれ 北海道札幌市出身 琉球大学理学部海洋学科出身
気象予報士・防災士
大学入学時の1991年にサーフィンを始め、同年に出身地である北海道でスノーボードも始める。元々天気が好きで、波やパウダーを当てるために天気を予想していたことがきっかけで、1998年に気象予報士の資格を取得。
ホームゲレンデは、札幌国際・ニセコモイワ・空知のローカルスキー場。パウダーフリークのスノーサーファー。
現在、神奈川県藤沢市にある(株)サーフレジェンドに勤務しており、「波伝説」(波伝説 サーフィン波情報 )、「海快晴」(マリンウェザー海快晴(うみかいせい) – 海専門の気象情報サイト )で波・海・天気を予報するとともに、雑誌の記事や天気に関する本を執筆し、講習会やイベントのサポートもしている。依頼は[email protected]へ。
著述は、「マリンスポーツのための 海の気象がわかる本 知っておきたい55の知識」(株式会社 メイツユニバーサルコンテンツ)、雑誌「KAZI」(舵社)などがある。

出演・講演
横浜ベイサイドマリーナ気象講習会など
https://www.ybmarina.com/event/lesson/000159.html

instagram
https://www.instagram.com/karasawa_wave_snow_weather/

波伝説
https://www.namidensetsu.com/ 

海快晴
https://www.umikaisei.jp/

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