スケート界の神トニー・ホークが重大報告!あの前の手でトゥサイド側をつかむお馴染みのミュート・グラブだが、もうそう呼んではいけない!と言うのだ。この新たなトリック命名問題は、トニー・ホークがインスタでアップするなり、もの凄い勢いで拡散!彼の意図、説明を聞いてみよう。
恥知らずにも40年近くにわたって、私たちはこのトリックをミュート・グラブと呼んできました。
ここに裏話があります。
1981年頃、コルトンスケートパークには、クリス・ウェドルという聴覚障害者のスケート選手がいました。彼は、競技サーキットで著名なアマチュア・ライダーでした。
当時、インディ・エアーは名前が付けられたばかりだったので、誰かが前手でつかむこの技名をトラッカー・エアーと呼ぶべきだ、と提案しました。
しかし、他の人たちは、クリスが最初にやったと反論したので、彼にちなんで名付けられるべきということになったのです。彼らはクリスのことを「静かで黙々とした男」と呼びました。(※英語でmuteは、静かで黙々、あるは発言しないという意味)
だからそれはミュート・エアーとして知られるようになっていったのです。
近年、このミュート・トリックの命名のきっかけけとなったクリスに、連絡する機会がありました。彼は今でもスケートを楽しんでいます。
私はトリック名のことを尋ねました。クリスは、「耳が聞こえないだけで、ミュート(発言ができない)なわけではない」と言いました。
だから、「もし僕にネーミングの選択を与えてくれるなら、この技をdeaf(聴覚障害者)、またはウェッドル・グラブ(※自分の名前)と名付ける」と言ったのです。
これから、Tony Hawk The Gameデモリリースするときに、トリック名の変更に気付く方もいることでしょう!
この技は、WeddleGrab(ウェドル・グラブ)です。
古い名前を言う習慣を打ち破るのは難しいでしょうが、クリスの主張は認めるに値すると思います。アクションスポーツにおける聴覚障害者コミュニティの偉大な擁護者であります。この新ネーム命名のきっかけを作ってくれたデリック・ディラオ(※デフ五輪スケート王者)に感謝します。
私はクリスに新しい命名のことを伝えました。彼の返事は「私はとても興奮しています!」でした。
そして昨日、お祝いにこの写真を撮りました。(※上の写真)
以上が、スケート界のトニー・ホークの主張だ。
スノーボードのトリック名は、横乗りの先駆者であるスケートから来たものが多い。トリック名のほとんどが、スケートから来たものと言っていいほどだ。
僕たちがスノーボードを始めて、いつの日か何気なく知ったフリースタイルの技。おそらく多くの人はインディから始めただろうが、その名前がどこから来たのか?ということを考えたことはなかったであろう。
なんだか不思議な名前のトリックを授かり、それができた日のことは忘れられない嬉しさだったに違いない。
しかし、その技が誕生した背景には、こうして先駆者が後世に残すために試行錯誤した歴史があるもの。
僕たちは、彼らにリスペクトし、また今回のようなストーリーを知っておくべきだろう。
今でもスケートを愛し、またこの世界の神とも呼ばれる人に、改めて新ネームを伝えられたクリス・ウェドルさんは、本当に大きな歓びだったに違いない。彼は、これからも自身の名前が付いたこのトリックを大切にしていくのだろう。