
文:飯田房貴 @fusakidmk
28日午前、北海道・小樽市のスキー場で、5歳の男の子がエスカレーターに巻き込まれ、意識がない状態で病院に運ばれましたが、その後、死亡が確認されました。
いたたまれない事故です…。私もスノーボードのインストラクターとして日常的にカーペット式のエスカレーターを利用しており、また二児を育てて来た父親としても、こうしたニュースを目にすると胸が締め付けられる思いがします。
北海道のニュース映像を拝見した際、「腕が巻き込まれた」「ベルトコンベアに挟まれた」と聞き、正直驚きました。私自身、カナダ・ウィスラーでスノーボードのイントラとして20年近く活動してきましたが、衣服や腕が巻き込まれるような事故は一度も見たことがありません。今回の事故は、何らかの構造上の問題があったのかもしれません。
私がウィスラーでよく利用するカーペット式のエスカレーターは、中間付近に4か所設置されており、初心者や子どもを連れての利用でも、上下には必ず監視員が配置されています。転倒した際にはすぐに停止ボタンが押され、安全が守られます。
そもそもウィスラーのカーペット式エスカレーターは非常に繊細に作られており、多くの人が乗るとすぐに停止します。2メートル以上間隔をあけずに乗ると止まってしまうこともあります。また、ベルトの上部を踏むと緊急停止する仕組みになっています。そのため、スキーヤーのポールやスノーボーダーの後足がステップして停まることも珍しくありません。
今回の事故を受け、スキー場の設備は基本的に安全設計がされていると思いますが、トレーニングを受けた監視員を配置していなかったことは、スキー場の安全管理の問題であると感じます。こうした配置と適切な訓練があれば、事故の防止につながったのではないでしょうか。
飯田房貴
1968年生まれ。東京都出身、カナダ・ウィスラー在住。
ウィスラーではスノーボード・インストラクターとして活動する傍ら、通年で『DMKsnowboard.com』を運営。SandboxやEndeavor Snowboardsなど海外ブランドの日本代理店業務にも携わる。
また、日本最大規模のスノーボードクラブ『DMK CLUB』の創設者でもあり、株式会社フィールドゲート(東京・千代田区)に所属。
1990年代の専門誌全盛期には、年間100ページペースで記事執筆・写真撮影を行い、数多くのコンテンツを制作。現在もその豊富な経験と知識を活かし、コラム執筆や情報発信を続けている。
主な著書に、
『スノーボード入門 スノーボード歴35年 1万2000人以上の初心者をレッスンしてきたカリスマ・イントラの最新SB技術書 』
『スノーボードがうまくなる!20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING』などがある。
現在もシーズン中は100日以上山に上がり続け、スノーボード歴は40年(2025年時点)。
2022年には、TBSテレビ『新・情報7daysニュースキャスター』や、講談社FRIDAYデジタルの特集「スノーボードの強豪になった意外な理由」にも登場するなど、専門家としての見識が評価されている。
インスタ:https://www.instagram.com/fusakidmk/

