
ショーン・ホワイトが新たに設立したプロスノーボーダーの大会「THE SNOW LEAGUE」。その記念すべき初代王者に輝いたのは、男子ハーフパイプの戸塚優斗、女子ハーフパイプの冨田せなだった。
この大会は、プロスノーボーダーが他のプロスポーツ同様に大きな賞金を獲得できる場を作りたいというショーンの思いから始まった。ファーストシーズンは来年3月までに計4大会が予定され、賞金総額は160万ドル(約2億3700万円)と超豪華だ。
初戦はアメリカ・コロラド州アスペンで開催され、男子20名、女子16名の招待選手が参戦。従来の大会とは異なり、まずは4組に分かれてのグループ予選が行われ、その後、各組の上位者が決勝トーナメントへ進出。決勝トーナメントでは、サッカーW杯のような1対1の直接対決で勝敗が決まる方式が採用され、これが大きな見どころとなった。
男子ハーフパイプ:戸塚優斗が頂点に!
男子決勝トーナメントの準決勝では、平野歩夢と戸塚優斗が対戦。優斗はスイッチ系の技を3つ含む高難度ルーティンを決め、スコア94.5対92.2で1本目を先取。2本目でも安定した滑りを見せ、83.0対78.7で平野を破り、決勝進出を果たした。
決勝では、準決勝でアレッサンドロ・バルビエリ(アメリカ)を下した平野流佳と対戦。1本目は両者ともにハイレベルな演技を披露し、流佳が91.0、優斗が95.0でリード。2本目では優斗が完璧なランを見せたのに対し、流佳は途中で転倒。これにより、優斗が初代王者の座を手にした。
これまで見慣れてきたXゲームス、W杯、オリンピックとは違い、滑る本数が多くなり、選手にとってはより過酷な戦いとなった。実際、優勝した優斗は「長い一日、たくさん滑った」と回顧した。特に準決勝で歩夢と対戦したプレッシャーは相当なものだったはずだ。そんな中、同じジャパンチームの北京オリンピック覇者・歩夢と、シーズン王者・流佳を破ったことは、優斗にとって大きな自信になったに違いない。来シーズンに迫った2026年ミラノ・コルティナオリンピックに向けて、大きな活気付けとなっただろう。
準決勝で優斗に敗れた歩夢は、3位決定戦でアメリカのアレッサンドロ・バルビエリを破り、表彰台に登った。
結果:
1位 戸塚優斗(日本)
2位 平野流佳(日本)
3位 平野歩夢(日本)
女子ハーフパイプ:冨田せなが接戦を制す!
女子決勝では、準決勝でチェ・ガオン(韓国)を破った冨田せなと、小野光希を下したマディ・マストロ(アメリカ)が激突。
冨田せなは1本目で好スタートを切ったものの、2本目のランでは着地に失敗。そのチャンスを生かし、マディが見事なランを決め、スコアを1対1のタイに持ち込んだ。
迎えた3本目、冨田はフロントサイド1080テールグラブを成功させ、安定感のある滑りを披露。マディも得意のダブルクリップラーインディ、バックサイド900ミュートを決めたものの、最後のトリックでわずかに着地ミス。結果、78.5対78.0の僅差で冨田せなが優勝を果たした。
試合後、冨田せなは「スノーリーグの初大会で優勝できたことは大きな意味がある」と感極まった様子で語った。W杯最終戦で初優勝を果たしたせなは、新設されたスノーリーグでも勢いを保ち、初代女王に輝いた。
結果:
1位 冨田せな(日本)
2位 マディ・マストロ(アメリカ)
3位 チェ・ガオン(韓国)
小野光希は3位決定戦で敗れ、4位となった。

新フォーマットで開催されたTHE SNOW LEAGUEの記念すべき初戦では、男子は日本勢が表彰台を独占し、女子は冨田せなが僅差での優勝を果たすなど、見応えのある大会となった。
一方、男子のスコッティ・ジェームス(オーストラリア)、女子のクロエ・キム(アメリカ)といったトップ選手が不在だったのは残念だった。今後、THE SNOW LEAGUEがさらなる発展を遂げるためには、世界最強の選手たちが集結することが不可欠だ。次戦以降の展開にも注目が集まる。