
2010年頃に登場した Nike Snowboardingブーツ は、瞬く間にスノーボード業界を席巻し、多くのライダーを魅了した。VapenやZoom Force、そしてKaijuといったモデルは、革新的なデザインと優れたフィット感を兼ね備え、スノーボードショップやライダーの間で高い評価を得た。
Nikeは参入当初、量販店ではなくコアな小規模ショップを中心に販売を開始。これにより、コアなスノーボードコミュニティからの信頼を獲得した。また、ヒートモールド可能なインナーやヒールハーネスシステム、Nike Airクッショニングなど、当時としては画期的な機能を多数採用していたことも人気の要因である。
2012〜2013年頃には、アメリカの有名ラッパーでグラミー賞も獲得しているLittle WayneがMTVの舞台でVapenを履いたことでさらに注目が集まり、クラブでの使用を目的に購入する人が出るほど話題となった。売上は急上昇し、業界誌のブーツランキングでも上位にランクインするなど、Nikeブーツの存在感は確固たるものとなった。

しかし2014年、Nikeは突然スノーボード事業から撤退する。理由は「利益率が低すぎたため」であり、人気やブランド力があっても、巨大企業としての採算が合わなかったことが背景にある。撤退に際しても、契約ライダーへの給与やオリンピック対応は責任を持って継続されたという。
現在、Nike Snowboardingブーツは廃盤となったが、アメリカでの中古市場では今なお高い人気を誇る。革新性とデザイン、そしてわずか数年間の栄光が、ライダーたちの記憶に色濃く残っている。
この内容は、YouTubeチャンネル 「Ridge & River」 にて公開された動画 “The Rise & Fall of Nike Snowboarding Boots” をもとにしている。興味のある方は、ぜひ本編もチェックしてほしい。