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昨日の朝のこと、いつもようにイントラ仕事で生徒さんにご挨拶。
ここが肝心!生徒さんによってはレッスンに慣れていなくて、ナーバスになっている方も少なくないので。いつも僕は、温かく優しく声を掛けるようにしています。

すると、そこにちょっと変わったバインの設定しているオジサンがいました。
その方の後ろ足の角度は、前足よりも入っているのです。
推定、前足が21度くらいで、後ろ足が27度とかでしょうか?

「うわあ、これは変わった設定ですね!僕は長年スノーボードしているけど、こんな設定は初めて見ましたよ。」
「えっ、そうなんですか! 僕は、ただ普段行っている電動スケートボードで乗る時に、こんなスタンス角度なので、そうしたんです。」
「なるほど!それは素晴らしいアイデアですね。こういうスタイルもあるのかあ~。」
「いや、ただ僕は知らなかっただけなので、もし可能なら設定を変えたいです。」
「でも、それで慣れているなら、それでもいいと思いますよ。もしかしたら、世のスノーボーダーでこんなセッティングしているのは、あなただけかもしれません。でも、これはオリジナルの新しいアイデアです!僕も今度試してみたいな。」
「いやいや、もしかしたらこのセッティングがうまく滑れない原因かもしれないので、もしできたら直してほしいです。」

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「わかりました!」

ということで、早速、持っていた携帯のバートンのドライバーで、後ろ足を0度にしました。
いきなり変えると違和感を感じるかもしれないので、まずは一般的なマイナスなスタンスのダックではなく、ゼロにしてみたのです。

このように、朝、生徒さんに会ってセッティングをその場で変えることは時々ありますが、このオジサンのように、セッティング中に何度も「センキュー」を言ってくれる方は、初めてです。
ずいぶん律儀なナイス・ジェントルマンだなあ、とその時から思っていました。

で、いつものようにクラス分け。
クラス分けは、最初に生徒さんに質問して、ある程度、レベル4から6まで想像しておきます。

ウィスラーのイントラでは、

レベル1 初心者
レベル2 横滑りから木の葉落とし
レベル3 ターンがなんとかできる方
レベル4 初心者、中級者コースでターンできる方
レベル5 ウィスラーのゲレンデ、ほぼどこでも滑れる方、ある程度荒れたようなバーン、コブ、パウダーもこなせる
レベル6 どこでもOK フリースタイルもある程度OK

以上のように分けます。

実際にいっしょに滑ってみるとそのオジサンは、また微妙なレベルで、レベル4から5から間という感じでした。
でも、その日のレベル4の生徒さんグループに入れるのは、このオジサンには物足りない懸念があったので、その日、自分が受け持ったレベル5に入れることにしました。

レベルの差がある生徒さんを1つのクラスで受け持つのは、常日頃からイントラの器量だと僕は考えています。
だから、僕はほぼ13年間のウィスラーのイントラ経験で、受け持った生徒さんをギブアップして他のクラスには入れたりすることは滅多にありません。
レベルの差はあれど、全生徒さんに楽しんでいただき、上達できるように心がけています。
そのへんのテクニックは、25年以上前から行っている、DMKクラブでの体験が大きいです。
かつては、2日間で40人、(※しかもあの日はインフルエンザだった!)を受け持ったことがあるので、鍛えられました(笑)。

ともかく、このオジサンを僕のクラスに受け持ちました。

最初に指摘させていただいたのは、ヒールからトゥサイドに入るカウンターローテーション(逆捻り)ターンです。
この症状は、レッスンしていて頻繁に見かけるのですが、急斜面やパウダーのような斜面で弊害を持つケースが多いです。
だから、ここは丁寧に説明しました。

「つま先側に入る時には、前足首をもっと早く曲げることが大事です。
これは車のアクセルを踏むような動作と同じです。一気にガスペダルを踏むイメージで!
エッジを切り替えて、もっと早めに前足首を曲げるようにしましょう。
そのために、ヒップをターンする方向に回してみるといいでしょう。
そうすると、足首を曲げやすくなると思います。
ヒップがなかなか回らなかったら、ターン入る前に肩を回してもいい!
そう、上半身を回して、もっと前足に荷重、前足首を回すのが遅くならないようにしましょう。」

そんなアドバイスをした後に、滑りを見ると見事に治っていました!
これは素晴らしい。なかなかこうした一発回答していただける生徒さんもいないので。凄い上達能力の高さ。

そんな生徒さんを含めて、ランチ休憩の時間になりました。
ブラッコムのランデブーというレストハウスで食事をしていると、子供連れのご家族が僕たちの方にやって来ました。
すると、そのオジサンにあるママが、
「プライベートで来ているところ申し訳ありませんが、ウチの息子と写真を撮ってくれないでしょうか?」
と聞いたのです。

で、そのオジサン、とてもやさしく対応していました。

「そう言えば、このオジサン、朝会った時に俳優の仕事をしていると言っていたな・・・」

と思い出しました。
でも、写真をせがまれるって、「ずいぶん人気あるなあ。」と驚きました。

ランデブーの下の階だったので、子供たちが多かったのですが、その後にも子供たちが写真をおねだりして、その後、自分のスマホからご自慢気に誰かにこのことを報告しているようなのです。

ウィスラーで滑っていると、グラミー賞を獲った歌手とか、なんか有名な方と遭遇することがあるけど、カナダ人の気質か、あまり日本のようにミーハーな感じでなく、冷静に静観しているところがあります。
だけど、このオジサンに関しては、どうやら子供たちが黙っていられいほど、人気俳優のようなのです。

ランチ休憩後、当然、僕も記念撮影をお願いしました!(笑
(※その写真は、僕のフェイスブックで紹介しています。)

この後も、このオジサンと楽しいレッスンをしました。
俳優さんだからでしょう。ビジュアルから入る情報処理が早く、身体の動きに体現する能力が高いのです。
だから、僕はこのオジサンがリーチできる範囲内のデモンストレーションに努めました。

レッスン終了のお別れの時、本当に感謝していただきました。
まあ、謙虚というか、ナイスな方なのです。
そう言えば、朝話していた時、「僕はとてもラッキー、長い間、俳優ができて来たのも、素晴らしい人たちも出会って来たから。」というような感謝の言葉を述べていました。

自分も同じような気持ちがあります。
「運が良かった」という気持ちもあるし、良い出会いがあり、ここまで来ている。
スノーボードを通して、楽しい仕事をさせていただいているという気持ちがあるのです。

まさに意気投合した感じでした。最後のリフトに乗る時には、このオジサンの方からセルフィーのツーショットの写真も撮ってもらいました。もしかしたら、この方のインスタとかに出るかも!?

家に帰って娘に、
「お父さん、今日、凄い有名な俳優さんとスノーボードしたんだよ。」とちょっとご自慢。
「写真あるの?見せて!」というから、見せてあげると、
「うーん、見たこと絶対ある。でも思い出せないな・・・」
という娘。

で、今日、その俳優さんのお名前から検索してみて、正体がわかりました!
なんとスーパーヒーローだったのです。道理で子供たちが騒ぐハズだよ、と思いました。
こういうハリウッドスターって、普通、プライベートのレッスンに行くのだけど、気さくにグループレッスンに来たことをカッコいいと思いました。江戸っ子のような気質を感じて、親近感が一層湧きました。
彼とまたいつか、スノーボードをすることもあると思うので、再会を楽しみにしています!!!

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