コンファートゾーンを抜け過ぎるのも上達の妨げ

コンフォートゾーンは、文字通り「居心地のいい場所」という意味のことで、ビジネスやスポーツにおいても、コンフォートゾーンに居続けると成長しないと言われています。

しかし、だからと言って、目標設定が高過ぎて、コンファートゾーンを抜け過ぎるのも上達の妨げになります。
最悪の事態としては、あまりにも上げ過ぎた結果、大転倒や怪我につながることもあります。

スノーボードを長く続けていると、どうしてもコンファートゾーンに居続ける傾向が強まります。僕自身そういうところがあるので、気を付けないと、いけません。
だけど、あきらかに言えるのは、コンファートゾーンの中でスノーボーディングしても、「おもしろくない」ということです。
新しいことにチャレンジするから、スノーボードは楽しいのです。やったことがないことへの挑戦が、自分を成長させ、いつになってもスノーボードと共に良い人生を歩めるコツです。

だからと言って、あまり目標を高過ぎるのも考えものです。

例えば、レッスンしていると、ずいぶんと頑張り屋さんが現れたりします。
「ダブルブラックダイヤモンド、斜度45度以上あるような超上級者斜面を滑りたいとか」、「コブを颯爽と滑れるようになりたい」、という要望。
もちろん、生徒さんがやりたいことを導くのがイントラの仕事。頑張ります!

だけど、実際に滑ってみると、あきらかにそのステージに行くのに遠い人がいるのです。
「アチャー😵」と思いながら、とりあえずショートターンをトライしてもらいます。すると、全然できません。

「コブを滑るというのは、こういうクイックなボード操作を求められます。だから、まずはショートターンができないといけません。だけど、○○さんは、残念ながらショートターンができません。だから、まずはミドルターンができるように、練習していきましょう」なんて、導いていきます。

だいたい納得していただいていますが、中にはとんでもなく厄介な方も来ることがあります。

「いつも彼氏と滑っていて、どうしても待たせてしまう。彼氏を失望させないためにも、もっと速く滑れるようになるたい。上達したい!」と訴える女性が現れたことがありました。

もちろん、ウエルカムです!彼女をうまくすることが、僕たちイントラの使命ですから。
だけど、そんな彼女に対して、適格なレッスンをしていると思っても、本人の意識が高過ぎると、なかなか上達できていないというジレンマに襲われます。一歩一歩確実に上達していても、理想が高過ぎて、待ちきれないような状態です。すると、彼女はオカンムリ!高いお金を出してレッスンに参加したのに、ちっとも上達しない!なんてクレームが。

おいおい、待ってくださいよ。そもそもレッスン前は迂回コースでスッテンコロリンしていたのに、だいぶ板をフラットに直滑降する能力だって高まって来たではないですか。また、板の操作だって、クイックな動きもできて来ましたよ。だけど、理想が高過ぎる彼女は、もうイライラしてしょうがないのです。

別な例では、アメリカから来たお客さん。「ウィスラーのパウダー最高ー!」とばかりにぶっ飛んでいきます。
そのお気持ち、素晴らしいです。だけど、暴れ過ぎて危ない危ない。止まるたびに他の生徒さんに突っ込んで来るほどの暴走戦士。技術よりも意識が高過ぎて、あきらかにコンファートゾーンから抜け過ぎた状況。こういう生徒さんは、怪我につながりやすいので、本当に気を付けていただかないと。

精神外科医の方の本を読んだことがあるのですが、うつ病患者さんというのは、まさにこのコンファートゾーンから抜け過ぎてパニックゾーンまで行ってしまい、またうつ病に逆戻りしてしまうそうです。せっかくだんだんと治って来たのに、無理して悪化してしまうと言います。そんな人は、少なくない、ということです。

だからこそ、自分自身の目標設定を見つめ直してほしいと思います。
このチャレンジ楽しそう!ちょっと努力したらできそうだな!新しいスノーボーディングに出会えそう!そんなラーニング(最適な習う)ゾーンを目指してくれたら、いいのかな、と思います。

飯田フサキ プロフィール
東京都出身、現在カナダ・ウィスラー在住。
スノーボード歴35シーズン。そのほとんどの期間、雑誌、ビデオ等スノーボード・メディアでのハウツーのリリースに捧げている。
90年代を代表するスノーボード専門誌SNOWingでは、「ハウツー天使」というハウツー・コラム執筆。季刊誌という状況で100回以上連載という金字塔を立てる。またSnowBoarder誌初期の頃から様々なハウツー・コーナーを担当し、その中でも一般読者にアドバイスを贈る「ドクタービーバー」は大人気に!その他、自身でディレクションし出演もしたハウツービデオ&ハウツー本は大ヒット。90年代のスノーボード・ブームを支えた。
現在も日本最大規模のスノーボード・クラブ、DMK Snowboard Clubの責任者として活動し、レッスンも行っている。
普段は、カナダのウィスラーのインストラクターとして活動し、世界中の多くの人にスノーボードの楽しさを伝え続けている。2016-17シーズン、ウィスラーのインストラクターMVPを獲得!!
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