【コラム】スノーボードはエクストリームスポーツではない!?

Rider: @yaku89ryo
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あくまでも個人的な見解かもしれないけど、スノーボードというのはエクストリームスポーツではないと思います。誰もが生涯楽しめる遊びでもあり、そこにはできる限り怪我ということを防ぐべきだし、長寿社会を豊かにするためにも楽しみ続けるものであると思います。

私は昨年末に55歳になったのですが、来シーズンはいよいよスノーボード歴、40周年記念!
幸いなことに、これまでスノーボードで大きな怪我をしたことはありません。

これまで思い出させる事故としては、89-90シーズンに野沢温泉に篭もっていて、春の時期、何も考えずに新雪を攻めていたら、突然、地面(雪面)が消え、小川に真っ逆さまに落ちたこと。幸いまったく怪我はありませんでした。

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その同じシーズンに肩を脱臼する癖が発症しましたが、その怪我も私のスノーボードには妨げにならず、毎日滑り続けました。脱臼は痛いしダメージは受けるけど、亜脱臼で気軽に抜けて入れることができたので、それでスノーボードを休むことはなかったのです。

その後に肩の脱臼癖を治す手術をしましたが、残念ながら効果は絶大ではなく、その同じ歳に篭もったニュージーランドのスキー場でも脱臼したことがありました。

今では脱臼癖はほぼ治ったようで、ここ10年、いやもう15年以上になるかな。大丈夫です。
克服方法は単純でゴムチューブによるインナーマッスルを鍛えることでした。今でもほぼ毎日やってます。

あと、怪我で思い出させるのは、撮影中(※私がカメラマン)である拍子にに何か建造物(※大きな水道管ようなもの)を素手で触った時、足元を滑らせ、その建物が鋭利になっていたことを知らずに、おもいっきりカットしてしまいました。血がドバドバと流れてしまって、なんとか自分で車を運転し、診療所に駆け込みました。
だけど、その日中に血を止めて翌日にはまた山に上がりました。

撮影で思い出したけど、90年の初めの頃、日本から遥々やって来たカメラマンに良い写真を提供したいという強い思いから、適当に選んだクリフを飛んだことがありました。あの頃は、ともかくあまり考えていない若者だったので、ランディングがフラット過ぎて着地したとたんに自分のアゴがヒザにぶち当たって、口の中が血まみれになってしまったのです。

その他、腰がちょっとぎっくり腰になっちゃったとか、風邪引いちゃった、あとは2回ほど他のスキーヤーとスノーボードの衝突事故あったけど…。まあまあ、大丈夫。スノーボードの怪我で滑れなくなったということはなかったです。

このようなことは今振り返ると幸運だったと思います。
私の仲間、友人の中にはスノーボードの怪我で、しばらく雪上に帰って来れなかった人たちを見て来たし、実際、雪上で毎日滑るようなイントラのような仕事の怪我の率というのは、実を言うとどんな危険な職業にも負けないくらい怪我の率が高いのです。そういった意味では、ひじょうにリスクある仕事であることを認識する必要があります。

そんな危険が伴うスノーボードですが、何パーセントかのやる気満々の方は、スノーボードをエクストリームスポーツととらえる方もいます。

人それぞれの生き方なので、あーだこーだ言う気はないけど。
スノーボードって、片意地張らずにもっと誰もが気軽に楽しめるものだと思うのです。
私は仕事柄うまいスノーボーダーとも知り合いであり友達であるのですが、彼らの多くは日々、スノーボードを楽しんでいます。
言い方を変えれば、ほのかに挑戦している感じです。

一見怖いことをやるにも、しっかりと計算し怪我がないように万全を尽くして挑みます。
だから、ひじょうにリラックスしているように見えるのです。

オリンピックや世界選手権で命を張ったようなトリックを決める選手、あるいは一歩間違ったら大惨事となってしまうバックカントリーやストリートシーンで映像を残すプロスノーボーダーたちを拝見すると、たしかにスノーボードはエクストリームスポーツです。

しかし、私を含めて世界の99パーセント以上のスノーボーダーは、楽しいリクレーションのためにスノーボードをやっていて、そこにはいつでも若々しさ、健康を保つため、日頃味わえない雪山を味わいためという意味が大きいと思います。

何が言いたいかと言うと、チャレンジすることは大事だけど、怪我のリスクを負うほどの挑戦は絶対にしなでください、ということです。

それよりも、最近、スノボ仲間が減ってしまい滑りに行っていないなら、一人でもいいからぜひスノーボードトリップに行ってほしいです。
スノーボードの後には温泉に入り、身体を癒し、おいしいビールを飲んで、人生を楽しもうではないか!と。

究極のチャレンジよりも、ちょっとした勇気で人生は楽しくなるし、そんな思いを受け止めてくれるスノーボードは一生あなたの良い友人となることでしょう。一生涯楽しめます!
私は、このことを自身のスノーボーディングを通して、これからも多くの人に伝えたいと思います。

私の尊敬するイントラの友人も「スノーボードはエクストリームスポーツで考えるのはおろかだ」と言ってました。彼のスノーボードは誰もが飛んだことのないクリフを飛んだり、ラインを攻めたりなど、自分にはエクストリームスポーツしか見えないけど(笑)。

もしかしたら、私が時々行う滑りも初中級者の方には、エクストリームスポーツと思われる方もいるかもしれません。しかし、当然、私が行っているスノーボードは誰もがコツコツと楽しみながら練習していけば、到達できるものです。

今季ももう100日近くスノーボードをして来て、おそらくシーズンで120日以上滑ることになるでしょう。
これからも体調管理に気を付けて、楽しいスノーボードをしていきたいと思います。
みなさんも、ぜひエクストリームスポーツと感じない楽しいスノーボードをし続けてください。
雪上でお会いすることを楽しみにしています!

飯田房貴
1968年生まれ。東京都出身、カナダ・ウィスラー在住。
シーズン中は、ウィスラーでスノーボードのインストラクターをしており、年間を通して『DMKsnowboard.com』の運営、Sandbox、Endeavor Snowboards等の海外ブランドの代理店業務を行っている。日本で最大規模となるスノーボードクラブ、『DMK CLUB』の発起人。所属は、株式会社フィールドゲート(本社・東京千代田区)。
90年代の専門誌全盛期時代には、年間100ページ・ペースでライター、写真撮影に携わりコンテンツを製作。幅広いスノーボード業務と知識を活かして、これまでにも多くのスノーボード関連コラムを執筆。主な執筆書に『スノーボード入門 スノーボード歴35年 1万2000人以上の初心者をレッスンしてきたカリスマ・イントラの最新SB技術書 』『スノーボードがうまくなる!20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING』がある。
今でもシーズンを通して、100日以上山に上がり、スノーボード歴は39年。
スノーボード情報を伝える専門家として、2022年2月19日放送のTBSテレビの『新・情報7daysニュースキャスター』特集に、また2022年3月13日に公開された講談社FRIDAY日本が「スノーボードの強豪」になった意外な理由にも登場。
インスタ:https://www.instagram.com/fusakidmk/
ツイッター:https://twitter.com/dmksnowboard

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