16シーズンの期間、ウィスラーのスノーボードスクールで働き、それ以前は国内で数多くのDMKキャンプを行って来たので、おそらくこれまで1万2000人以上の生徒さんのレッスンをして行って来たと思います。
その経験の中で思うのは、約8割ほどの生徒さんが、ランチ後に著しくパフォーマンスが低下するということです。
私自身、本気でスノーボードをした日には、ランチ後のスノーボーディングはトホホになってしまうことを感じています。
スノーボードをすること、あるいはスノーボードで何らかのチャレンジする方は、ぜひ朝イチから午前中のライディングを大切していただきたいと思います。
おそらく、その時間帯がスノーボーダーにとっての黄金時間です!
午後のライディングもより挑戦あるものとしたいなら、できるだけ軽めの食事がいいと思います。
またコーヒーなどカフェインの助けも有効手段になるでしょう。
私は大抵、おにぎりやフルーツなどの軽食を持って行きますが、スキー場でランチをオーダーする時には冒頭写真で紹介しているようなサラダなど軽めのものをオーダーします。
そもそもスノーボードで何か挑戦したいなら、あなたのフィジカルコンディションやメンタルのコンディションも大切に考えてみてください。
私は、日々のレッスンの中で常にこのことを生徒さんに問い続けています。特にランチ後のパフォーマンスは落ちるので、必ず生徒さんに聞きます。
「もしあなたのフィジカル、メンタルが最高点で10ポイントなら、現在のあなたのポイントはいくらほどでしょうか?」
というような問いです。
お国柄にもよりますが、生徒さんの多くはポジティブな発言をする傾向があるために、そのことも考慮します。特にラテン系の方は、ポジティブ思考の方が多く、さっきまで「大丈夫、元気」と言っていたのに、急にランチ後のパフォーマンスが下がり、「フサキ、もう疲れたので降りたい。どうしたらいい?」なんて山の上で言われて…。ゴンドラに乗せたいにしても、まだそこから遠くの位置にいて困ったりすることもありました。
だから、多くの日で、午前中のレッスンを引っ張り、ランチが午後1時の遅めにしています。そして、午後は2本で終わるという形式が多いです。ウィスラーは山が大きくて、1本が長いですから。また、インストラクターとして、その生徒さんが、「技術的に」あるいは「マテリアル的にも」チャレンジできる状況なのか判断して、午後のレッスンの流れを決めます。
ともかく、スノーボードは午前中勝負!頑張れる方はランチを取らずに、午後1時まで引っ張って結構。だけど、頑張った暁のおいしいランチの後は、絶対に無理しないようにしてください。あと、残りの1、2本は流して終わることをおすすめします。(注:ウィスラーでは1本が長いので1、2本と伝えましたが、小さいゲレンデは1、2本以上滑ってもいいと思います)
多くのスキー場ではクローズ前付近の3時頃に衝突事故が多発しています。怪我がなければ、明日もスノーボードができるので、決して無理せず。逆に頑張れる時間帯、集中力が高まる午前中に本気で取り込むことをおすすめします。
飯田房貴(いいだ・ふさき) プロフィール
@fusakidmk
東京都出身、現在カナダ・ウィスラー在住。
スノーボード歴39シーズン。そのほとんどの期間、雑誌、ビデオ、ウェブ等スノーボード・メディアでのハウツーのリリースに捧げている。
90年代を代表するスノーボード専門誌SNOWingでは、「ハウツー天使」というハウツー・コラム執筆。季刊誌という状況で100回以上連載という金字塔を立てる。またSnowBoarder誌初期の頃から様々なハウツー・コーナーを担当し、その中でも一般読者にアドバイスを贈る「ドクタービーバー」は大人気に!その他、自身でディレクションし出演もしたハウツービデオ&ハウツー本は大ヒット。90年代のスノーボード・ブームを支えた。
現在も日本最大規模のスノーボード・クラブ、DMK Snowboard Clubの責任者として活動し、レッスンも行っている。
普段は、カナダのウィスラーのインストラクターとして、世界中の多くの人にスノーボードの楽しさを伝え続けている。2016-17シーズン、ウィスラーのインストラクターMVPを獲得!!
著書に『スノーボード入門 スノーボード歴35年 1万2000人以上の初心者をレッスンしてきたカリスマ・イントラの最新SB技術書』、『スノーボードがうまくなる!20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING』がある。