【保存版】スノーボードのダリングとは?必要性・やり方・注意点をわかりやすく解説!

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新しく買った板のエッジに、いきなりファイルを当てるなんて…!
スノーボード初心者の方は、そう思うかもしれません。しかし、不必要なエッジは削っておいた方が安全です。
ここでは、スノーボードのダリング方法をわかりやすく解説します。


目次

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🔸 ダリングとは?

「ダリング(detuning)」とは、スノーボードのエッジ(板の側面の金属部分)をわずかに丸める作業のことです。

新品のスノーボードは工場出荷時にエッジが非常に鋭く仕上げられており、そのまま乗ると、特にノーズやテールが雪面に引っかかりやすく、転倒の原因になることもあります。

また、万が一衝突した場合でも、エッジをわずかに鈍角にしておくことで安全性が高まります。さらに、車に板を積む際も、ダリングによってエッジを鈍角にしておくと安心です。

そこで、エッジの先端と後端(接雪点より外側)をやすりなどで軽く丸めてあげる——これが「ダリング」です。
このひと手間で、滑りがスムーズになり、操作性が向上すると言われています。

例えば初心者の場合、逆エッジで転倒するリスクを減らす効果も期待できます。

🔸 ダリングが必要な箇所

ダリングが必要な箇所は、ボードの先端や後端など、雪面に接触しない部分です。特にボードの先端とテール先端は、ダイヤモンドファイル(または細めのやすり)で軽く削っても問題ありません(上のイラストの青い部分を参照)。

一方、エッジが雪面に接する接雪点付近は、ファイルは使わず、紙やすりで丁寧に軽く削るのが良いでしょう。

また、接雪点から滑走エッジ(水色の部分)にかけては、ターンの前半でエッジが噛む部分です。初心者やジブを楽しむ方は、紙やすりでやさしくなでる程度にエッジの角をわずかに取りましょう。削る長さの目安は、接雪点から滑走エッジまで約10~15cmです。この作業を「エッジの調整」と呼びます。

カービングターンを積極的に決めたい方は、基本的に滑走側のエッジを削る必要はありません。しかし、エッジが強く噛みすぎると逆に疲れやすくなることがあります。特に初心者の方は、ダリングを行うことでボードが扱いやすくなります。

以下、ダリングが必要な理由とシーン別の考え方を参考にしてください。

🔸 ダリングが必要な理由とシーン別の考え方

状況ダリングの必要性理由
新品ボードを初使用◎ やったほうが良いエッジが鋭すぎて引っかかる
グラトリ・ジブ◎ 必要操作性アップ・安全性向上
初心者○ あると滑りやすいスムーズにターンできる
カービングメイン△ 軽くでOKエッジグリップを保ちたい
チューニング済み板× 不要すでに処理されている可能性あり

🔸 ダリングのやり方(基本手順)

以下に、ダリング作業で用意するものと基本手順をまとめます。
あくまでも目安ですので、それぞれのやりやすい方法で行って問題ありません。
私はファイルと紙やすりのみで作業しており、固定用のセット台などは使用していません。

用意するもの

  • ダイヤモンドファイル(または細めのやすり)
  • ラバーストーン、紙やすり(仕上げ用)
  • クロスなど(汚れ拭き取り用)

基本手順

  1. 板を安定させる(チューニング台またはテーブルに固定)
  2. ノーズとテールの接雪点より外側の部分を確認
  3. ファイルでエッジを軽く斜めに削り、角を丸める(約1〜2cm程度)
  4. ラバーストーンで表面をなめらかに整える
  5. 最後に乾いた布で拭き取り、作業完了

📍 ポイント:やりすぎ注意!

あくまで「軽く」「引っかかりを取る程度」で行うのがベストです。
丸めすぎるとターン中のグリップが弱くなり、滑りやすくなってしまいます。
トップとテールの先部分など、滑りにほとんど影響しない部分は、安全のため容赦なく削っても問題ありません。

🔸 ダリングとエッジ角度(ビベル)の違い

混同しがちですが、「ベースビベル」「サイドビベル」はエッジ全体の角度調整で、「ダリング」はノーズとテールの丸め処理です。

  • ベースビベル:滑走面側の角度(0.5〜2°)
  • サイドビベル:サイドウォール側の角度(88〜89°)
  • ダリング:ノーズ・テールの先端を軽く丸める

※ビベルのことにも触れましたが、多くの初心者の方は気にしないでもOKです。買った状態のままで問題ありません。

🔸 まとめ

ダリングは、スノーボードをより扱いやすく、安全に楽しむための小さな調整です。
新品ボードを手に入れたら、最初の一本目として軽く行うのがおすすめです。

丁寧にチューニングすれば、ボードの性能を最大限に引き出すことができます。

初心者の方は、購入したショップでダリングをしてもらえるか確認してみましょう。
できれば、ショップの店員さんが目の前で実施するところを見られると、とても参考になります。
私もかつて店員をしていたときには、お客さんの前で実践していました。

飯田房貴(いいだ・ふさき) プロフィール
@fusakidmk
東京都出身、現在カナダ・ウィスラー在住。
スノーボード歴は40シーズンを超え、約20年にわたり雑誌、ビデオ、ウェブなどを通じてハウツー記事の発信に取り組んできた。
1990年代を代表するスノーボード専門誌『SNOWing』では、「ハウツー天使」というコラムを執筆。季刊誌という発行ペースの中で100回以上の連載を達成し、金字塔を打ち立てた。『SnowBoarder』誌でも初期からハウツーコーナーを担当し、中でも読者へのアドバイスコーナー「ドクタービーバー」は大人気となった。
自身が監修・出演したハウツービデオやハウツー本も大ヒットし、1990年代のスノーボードブームを支える存在となった。
現在はカナダ・ウィスラーを拠点に、インストラクターとして世界中の人にスノーボードの魅力を伝え続けている。
著書に『スノーボード入門 スノーボード歴35年 1万2000人以上の初心者をレッスンしてきたカリスマ・イントラの最新SB技術書』、『スノーボードがうまくなる!20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING』がある。

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