
スノーボード初心者が必ず通るワンフットライディング。片足スケーティングは、平地を移動する手段であり、リフトの乗り降りにも必要なテクニックです。しかし、ある程度滑れるようになった初中級者は、このワンフット練習を行わなくなり、苦手なままリフトの降り方で苦労することがあります。
私のレッスンでは、こうした初中級者にワンフットの練習方法やコツを教えることで、飛躍的に上達することがあります。ここでは、私が実際にレッスン現場で教えている方法をお伝えします。
1. 片足立ちでの基本練習
まずは、ボードが動かない平地で片足立ちをしてみましょう。映画『カラテキッド』(日本では『ベストキッド』)を思い出して、そのポーズを取ってみてください。この練習は意外に難しく、片足立ちには以下の筋力が必要です。

これにより、スノーボーダーとしてバランス力をアップさせるための大切な筋力が養われます。
- 太もも(大腿四頭筋):片足で体重を支えるために重要で、膝を安定させます。
- 臀筋(大臀筋、小臀筋):骨盤を安定させ、片足立ちの際に体を支えます。
- ふくらはぎ(腓腹筋):足首を支えてバランスを取るために必要です。
- 足底筋群:足の裏の筋肉が地面との接触を安定させ、バランスを保ちます。
- 体幹(腹筋、背筋):全体のバランスを取るために、特に腹筋と背筋が重要です。
2. ボードを走らせる練習
次に、片足でバランスを取ったままボードを走らせてみましょう。これも意外に難しいですが、この練習を通して前足にしっかりと乗れるようになります。練習が終わった後は、後足をボードに乗せるだけで「簡単!」と感じるはずです。これにより、片足スケーティングが格段に楽になります。

3. つま先側ターンのコツ
つま先側へのターンが苦手な方には、以下のコツを試してみてください。
- まずは真っ直ぐ滑り、前足首を曲げてみましょう。前足は「かじ取り」の役目です。

- 腰をターン方向に回すことで、ボードも自然に回転します。

- 最後に、両つま先に体重を乗せて止まります。この動きはまるでマイケルジャクソンのダンスのように、つま先立ちの姿勢です。

これと同じような動作により、急斜面でもスムーズにターンができるようになります。
まとめ
地味な練習ですが、初心者だけでなく中級者にもおすすめです。ぜひ試してみてください!

飯田房貴(いいだ・ふさき) プロフィール
@fusakidmk
東京都出身、現在カナダ・ウィスラー在住。
スノーボード歴40シーズン。その大半を雑誌、ビデオ、ウェブなど、スノーボードメディアでのハウツー記事の発信に費やしている。
1990年代を代表するスノーボード専門誌『SNOWing』では、「ハウツー天使」というハウツーコラムを執筆。季刊誌という環境下で100回以上の連載を達成し、金字塔を打ち立てる。『SnowBoarder』誌でも初期からハウツーコーナーを担当し、その中でも読者へのアドバイスコーナー「ドクタービーバー」は大人気となった。
また、自身でディレクションし出演したハウツービデオやハウツー本も大ヒットし、1990年代のスノーボードブームを支えた。
現在も日本最大規模のスノーボードクラブ「DMK Snowboard Club」の責任者として活動し、レッスンを行っている。普段はカナダ・ウィスラーでインストラクターとして、多くの人にスノーボードの魅力を伝え続けている。2016-17シーズンには、ウィスラーのインストラクターMVPを受賞。
著書に『スノーボード入門 スノーボード歴35年 1万2000人以上の初心者をレッスンしてきたカリスマ・イントラの最新SB技術書』、『スノーボードがうまくなる!20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING』がある。