ショーン・ホワイトが進めるSnow Leagueは本格的に始動していた!

@whitespace snowboards
広告 five  

先日、ニュースでお伝えした『ショーン・ホワイトがX GAMESを凌駕するウィンターイベントを仕掛ける!?』は、噂話ではなく本格的に動いていたことが判明。全米メディアがSnow Leagueが速報スクープ!

アメリカの経済雑誌で有名なフォーブスもニュース記事をリリースした。
https://www.forbes.com/sites/michellebruton/2024/06/17/shaun-white-is-launching-a-new-professional-winter-sports-league/

中でもアメリカの業界寄り専門誌として名高いSNOWBOARD MAGAZINEショーン・ホワイトに単独スクープインタビューに成功し、かなり深いところまで切り込んでくれている。その全容を紹介しよう。

記事:A League Of Our Own? Shaun White Announces New Snowboard League
(私たちのリーグ?ショーン・ホワイトがスノーボード新リーグを発表)
https://snowboardmag.com/stories/a-league-of-our-own-shaun-white-announces-new-snowboard-league

広告

SNOWBOARD MAGAZINEの単独インタビューは、ショーン・ホワイトとSnow League(スノーリーグ)の最高執行責任者となるイアン・ワルダ氏の二人が参加。ショーンは、このリーグの看板であり、発起人。そしておそらくはオーナーにもなるのだろう。そして、この新たなスノーリーグはワルダ氏が舵を取り運営していくようだ。元々ショーンとは、バートンの在籍中に知り合ったようで、インタビューの中で、「ショーンがバートンから去った後も連絡を取り合っていた」ということを明かしている。

そもそもなぜショーンが、新しいスノーリーグを立ち上げることになったのか。
インタビュー記事を要約すれば、以下の3つの点が挙がられる。

①オリンピック、Xゲームズ、デューツアー、ナチュラルセレクションツアーなど、スノーボードの世界大会は観衆を魅了するけれど、他のスポーツとは違い関連性がない。
そこで「リーグ」という構想が誕生。

②スノーイベントはゆっくりと衰退して来ている。かつてバートンが冠として行っていたオープンシリーズは消滅。TTRツアーもとん挫し、デューツアーも5戦から2戦に減っている。

③プロスノーボード選手の報酬の低さの問題。

ショーンは、かつて記者から受けた質問を明かした。

私が16歳の時、ブレイクして、出場したすべての大会で優勝した。そのシーズンと19歳の時にオリンピックで優勝したんだ。そのうちの1シーズンはほぼ無敗だった。ハーフパイプ、スロープスタイル、ビッグエア、レール、すべての種目をこなした。そしてシーズン終盤に差し掛かったとき、記者のひとりが「なんて素晴らしいシーズンだったんだ。脱帽だよ。でも、ワールドチャンピオンになれなかったのはどんな気分ですか?」
僕はただ「え?どういう意味?僕は何ができなかったんだ?そして、このスポーツの現状を見てみると、主要な大会はすべて、互いに関連性がない。

たしかにショーンの言うように、スノーボードの競技イベントは複雑で一般の方にはわかり難い構造になっている。ある日、新聞が〇〇選手がW杯で優勝!という記事を出せば、その翌週にはスノーボード・メディアが、トラビス・ライスがナチュラルセレクションを制す。地球上最強ボーダーだ。というような記事を出す。
さらには、Xゲームズ、デューツアーなどの招待選手制のプロ・スノーボーダー大会もあるのだから、本当のところ誰がスノーボードの王者なのかわかり難い。記者がどの大会を切り取って、ワールドチャンプになれなかったのか、理解できなかったのだろう。
ある意味、この大会の豊富さ、そして関連性のない自由さがスノーボード・イベントの魅力になっているが、一方で一般的な主要メディア、しいては一般層にはわかり難い構造となっているのは確かだ。
そして、ショーンの言うように、USオープンは消滅し、デューツアーの大会も減って、スノーイベントが縮小している感は否めない。

プロスノーボード選手の報酬の低さに関しては、ショーンはインタビューで直接このような発言をしているわけではないが、以下のような例を出して問題点を指摘している。

「スコッティ・ジェームスが賞金14,000ドルのためにニュージーランドに行くなんて、ありえないよ。飛行機代、旅費、宿泊費だけで賞金以上の金額になってしまう。わざわざニュージーランドまで行って、3回転を放つのか?」

スノーボード競技の賞金が、トラベルバジェットに達しないのは、昔からスノーボード競技の問題点。ショーンは、そのことも指摘したのだ。

また、新スノーリーグ発足にあたり、スコッティ・ジェームス、平野歩夢とも連絡を取り合い意見交換していることも明かした。現在、世界のハーフパイプ界のビッグ2ともしっかりとコンタクトし合っている。

実際にスノーリーグが、どんな大会フォーマットで運営していくのか気になるが、そのへんはプレスリリースで紹介されている。

「何年にもわたり、さまざまなフォーマットで競技を続けてきた結果、選手たちが正統なプロリーグにふさわしいことは明らかです。スノーリーグは、ライダーとフリースキーヤーに最もエキサイティングな競技のプラットフォームを提供します。今こそ、限界に挑戦する次世代のウインターアスリートを高める瞬間です」ショーン・ホワイト

スノーリーグは、サーフィンのWSLやスケートボードのストリート・リーグのような、長期にわたって成功するツアーを確立することを目標に、競技サーキットに新鮮なアプローチをもたらすことを目指している。TTRツアーや国際スノーボード連盟のような過去の取り組みも同じような高い志を持っていたが、どちらも長期的な成功を収めることはできなかった。

フォーマットは以下の通り。
各開催地では、ライダーはまず予選ラウンドを勝ち進み、その後、直接対決のトーナメント方式で競う。全5大会の賞金総額は150万ドル(約2億3700万円)と言われており、主催者によればスノースポーツ界で最も賞金額が高い大会になるという。

リーグ戦には男子20名、女子16名が参加し、各大会は3日間にわたって開催される。

1日目:トレーニング日
2日目 予選日

男子20名、女子16名が4つの予選ヒートにシードされる。
各ヒートの予選トップ通過者がチャンピオンシップデーに進出する。
また、各ヒートのベストスコアの次の2名は、「ラストチャンス予選」と呼ばれる2本勝負の予選ヒートで、最後の4枠を争う。

3日目:優勝決定日

男子8名、女子8名がチャンピオンシップ・デイに進出し、予選日からシードされ、準々決勝、準決勝、決勝が行われる。
各選手が次のラウンドに進むには、3本中2本に勝たなければならない。

結局のところ、私たちは皆、壮大で忘れられないスノーボードツアーを切望している。ショーン・ホワイトはそれを実現する準備ができているようだ。このコンテストシリーズがハーフパイプの枠を超え、どのように進化していくのか、それが競技用ハーフパイプが切望していた衝撃であったとしても、私たちはわくわくしている。現実的には、時間が経ってみなければわからない。ショーンはこのコンテストを彼の次なる大きな一章と位置づけている。

以上までがプレスリリース(一部抜粋)。
SNOWBOARD MAGAZINEでは、以上の情報に加えて、大会フォーマット、今後の予定までさらに突っ込んだところまで質問し、ショーンからの回答を引き出しているのでそのへんの重要なこともお伝えしたい。

インタビューアーの質問「スノーボードとフリースキー、ハーフパイプとスロープスタイルが行われるんですよね?」
に対して、ショーンは以下のように回答している。

「いえ。最初の5大会はすべてスノーボード・ハーフパイプが男女ともに行われます。そのシーズンのどこかの時点でフリースキーのハーフパイプを導入する予定だけど、詳細はまだ調整中。
スノーボードでもスキーでも、最初のシーズンにはスロープスタイルは計画に含まれていない。とはいえ、フリースタイルの他の種目も含めて、プラットフォームを成長させ、拡大していくというビジョンは絶対にある。つまり、スロープスタイルはもちろん、それ以上にビッグエアやレールのイベントも視野に入れ、スノーボードとフリースキーの両方について考えている。今現在、間違いなく言えることは、初シーズンのイベントはすべてスノーボードハーフパイプの男女となり、いずれはパイプのフリースキーも導入するということ。男子20人、女子16人、計36人というフィールドサイズもそのためだ」

肝心のスタート時期は、ショーンは以下のようにコメント。

「最初のリーグ戦は2025年3月にアメリカで始まります。だから、まずは1つのイベントから始めることになる。まだすべてのイベントの日程と場所を調整中だが、かなり近いところまで来ている。今後数カ月で具体的な内容を発表するが、そこから約12、13カ月で最初のリーグ戦が始まる。南半球での開催はおそらく8月、おそらく12月を考えている。アジアでの開催も視野に入れている。オリンピックの予選シーズンやオリンピックの開催期間と重なるような日程は避けたい。つまり、現在オリンピックの予選に使用されているワールドカップはすべて、選手たちのコンフリクトを避けるために、その上にイベントを重ねることはしない。選手たちが厳しい選択を迫られるような状況にはしない。そしてオリンピック後の3月には、前年にアメリカで開催したのと同じ場所に戻り、さらにヨーロッパで1つイベントを追加することになるだろう。つまり、12カ月から13カ月の間に5つのイベントを行うことになる。それが最初のリーグ戦シーズンになる。」

ところで、先にX GAMESが新リーグシステムを発表したばかりだが、そのへんの兼ね合いはどうなるのだろう?

●関連記事
X GAMESが新リーグシステムを発表!
https://dmksnowboard.com/announcing-the-x-games-league/

ショーンは、インタビューアーにXゲームズ共、うまくやっていきたいというようなコメントは残しているが、私はこの記事を読んでいて「返って大会イベントは混乱しないだろうか?」という懸念を持った。

Xゲームズの新リーグはすでに確定。さらにショーンの新しいスノーリーグも発動すれば、大会だらけになってしまう…。FISはW杯を続けるだろうし、デューツアーもそしてナチュラルセレクションだって続くだろう。

今回のスノーリーグは、Xゲームズのアドバイザーもしているスコッティ・ジェームスとも相談しているようだし、とりあえず今は温かく見守っていきたい。スノーボード界が、他のメジャースポーツのように発展し、今後さらに世界中の子供たちに魅力なものになりますように。


広告