札幌ドームでスノーボード国際大会構想 再びビッグエアの舞台に?

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札幌ドームが再び雪と熱気に包まれる日が来るかもしれない。

新たに就任した札幌ドーム運営会社の社長が、スノーボードやモトクロスの国際大会を開催したいという構想を明かした。この発言は、ドームが経営再建に向けて大きな転換点を迎える中で飛び出したものだ。

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経営再建の中で浮上した「攻めの営業」

2023年度、札幌ドームは約4300万円の黒字を計上。これは、日本ハムファイターズの本拠地移転によって稼働率が最大78%から62%へと激減し、約6億5000万円の赤字を記録した翌年の話だ。まさに「V字回復」とも言える数字だが、その裏には、大胆な戦略転換があった。

カギとなったのは、ネーミングライツ契約イベント誘致の積極化。2023年7月から「プレミストドーム」に名称を変更し、大和ハウスとの間で年間2億5000万円・4年契約を締結。また、人気アイドルグループ・Snow Manのドームツアーや、eスポーツの世界大会など、従来の野球以外の分野に大規模イベントを積極的に呼び込んだ。

結果として、イベント開催日数は前年度比で31日増、稼働率も70%台に回復した。とはいえ、本業の営業収支はなお赤字(約5600万円)であり、市の補助金でドーム使用料を減額する措置がなければ、黒字転換は難しかったのも事実だ。

再びビッグエアを──スノーボード大会構想

そんな中、札幌出身の安倍新社長が明かしたのが「スノーボード国際大会開催」の構想だ。

札幌ドームとスノーボードの関係といえば、真っ先に思い出されるのが伝説の大会「TOYOTA BIG AIR」だろう。1997年にスタートし、札幌ドームを舞台とした後期は、その巨大な屋内ジャンプ台と世界のトップライダーが魅せるハイレベルな演技で、毎年多くのファンを熱狂させた。だが、この大会は2014年を最後に終了してしまった。

それから10年。再びあの熱狂が札幌に戻ってくるかもしれない。

タイミングはまさに“今”

構想が注目される背景には、今シーズンがオリンピックイヤーであることも大きい。2026年に開催されるミラノ・コルティナ冬季五輪に向け、選手たちはまさに今、ポイントを積み重ねる重要なシーズンに突入する。

とりわけ日本人選手の層の厚さは世界トップレベルで、ハーフパイプでは平野歩夢、冨田せな、スロープスタイルやビッグエアでは長谷川帝勝、荻原大翔、村瀬心椛、岩渕麗楽など、各種目でメダル候補が名を連ねている。なお、ハーフパイプの大会開催は技術的に難しいとされるが、クォーターパイプであれば、かつて東京ドームで行われた「エキストレイルジャム」で実現した前例がある

そんな“勝負の年”に、国内で開催されるビッグイベントがあれば、競技としての注目度はもちろん、若年層のファン獲得や競技人口の拡大にも大きなインパクトをもたらすはずだ。

ドームという「全天候型会場」の可能性

屋内で行われるビッグエア大会の最大のメリットは、天候の影響を受けない安定したコンディション。世界中どこを見ても、屋内で本格的なジャンプ大会ができる会場は数えるほどしかない。その点、札幌ドームはまさに貴重な存在であり、過去にその実績を持っていることも強みとなる。

もちろん、実現にはスポンサーや運営体制、雪の調達やセクション設計などクリアすべき課題は多い。だが、過去にそれを成し遂げた経験があるからこそ、期待は高まる。

札幌ドームが本格的にスノーボードイベントを誘致しようとするなら、これ以上ないタイミングだ。かつて世界が注目した屋内ビッグエアの聖地が、再びスノーボード界のスポットライトを浴びる日が来ることを願いたい。

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