
モスクワ郊外クラスノゴルスクで11月11日、ロシア唯一の屋内スキー場「Snejkom(スネジドム)」の解体作業中に、高さ60メートルを超える柱が崩落する事故が起きた。大量のコンクリート片が周囲へ飛散し、3人が負傷。近隣の駐車場では約140台の車が壊れ、周辺マンションの窓ガラスも割れるなど、大きな被害が出た。
瞬く間に世界へ拡散した今回の崩落事故。
スキーヤーやスノーボーダーの間では「戦争の影響で運営ができなくなったのでは?」という憶測も広がったが、実はその理由はまったく別のところにある。
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Snejkomは2008年にオープンし、365mの屋内ゲレンデを備えたロシア最大のインドアスノー施設として人気を集めた。しかし2021年頃、技術調査の結果、建物は“緊急状態”と判断されるほど劣化していることが発覚。荷重を支える構造部の損傷、地盤沈下、設備の摩耗などが深刻で、安全な運営は不可能と結論づけられた。
戦争とは無関係に、建物そのものが限界に達していたというのが真相だ。
営業再開の検討も行われたが、改修コストは莫大で、構造安全性の確保も困難。最終的に、施設は解体されることになり、すでに2年前から撤去作業が始まっていた。今回の事故は、その最終段階で発生したものだ。
現場では過去にもクレーン転倒などトラブルが続いており、当局は請負業者の安全管理に問題があった可能性を調べている。
Snejkomは、ロシアにおける唯一の“通年スノースポット”として多くのユーザーに親しまれてきた。解体により、ロシア国内から屋内スキー場は姿を消すこととなり、スノーシーンにとってもひとつの時代の終わりと言える。
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