スゲー、この本!
ぶったまげたおもしろさ、だったなあ。
NIKE創業者のフィル・ナイトさんが、自身のヒストリーを書いた本なんだけど、これがおもしろ過ぎて一気読み。
分厚い本、何のその!とっても読みやすいんです。
半沢直樹の本を読むと、コンチキショーって感じの悪役がいて、苦心の末に「倍返し!」って展開に読者は爽快感を覚えるのだけど、これと似たようなことがフィルさんの現実にも起こっていたのです。
1つは、最初にシュードック(※靴業界の住人のこと)に踏み入れたきっかけとなったアシックス。そのアメリカの代理店(ディストリビューター)になったのだけど、なんと感謝されるどころか最終的には訴えられてしまう、という展開。
次に、利益が上がって行く中で、資金繰りに苦しむという話。
自分も人気ブランド、Nomisのディトリビューションの仕事をやって来たので、わかります。売れるたびに、翌年、本社からもケツを蹴っ飛ばされるようなオーダーを取らされるので、結局、息を付く暇がない。お金を回すのが大変という苦労(※厳密には相棒のムラッチョ社長の苦労だけど。)
極めつけは、銀行がそっぽを向いて資金繰りという会社の血を止めてしまうところ。
絶対絶命になった時、助けてくれたのもなんと日本の会社でした!
日商岩井というところです。
この会社、知らなったけど、超カッコ良過ぎる。このへん読んだ時は、最近、山口県で2歳の子供を救ったカッコ良過ぎる爺さんがいたけど、それぐらい感動して泣けました。
そして最後の方には、まさかのアメリカ合衆国政府が敵になっちゃうという展開。しかも裏には、ナイキの成功をやっかむ同じシュードッグ勢力が糸を引いていたという。いわゆる出る杭は打たれる的な展開です。
さあ、今度はどう切り抜けるのか!?
本を読んでいると、あまりのハラハラ展開に、まるで小説のようなストーリーに感じるのだけど、これが実話というところに驚かされます。
ストーリーの小見出しは、年月で表されるのだけど、その度に、
「自分が生まれた年にこんなことしていたのかあ。」とか
「僕が12歳の時に、ナイキってこんな状態だったのかあ」とか、
自分の人生に置き換えて考えられるところも、おもしろかったですね。
そして、最後に自分の人生を振り返る場面があるのだけど、死ぬ前にやりたいことで。
「ピラミッド? 見た」
「ヒマラヤ? 登った」
「ガンジス川 これも見た」
と述べて、
結局のところ、「若者を支援したい。」
ということを伝えます。
実際、僕も子供たちが大学が卒業したら、アフリカに行きたい、自分が見たことがない世界の大自然を見たいというような、行きたいリストもあるのだけど・・・。自分の人生で本当にやっておきたいのは、「人」を残すことかな、と最近、考えていたところでした。
というのも、先日、野村監督と古田さんの対談のテレビ番組を見て、これからのやりたいことで「人を残す」という話があり、凄く共感を覚えたので。
自分の息子と娘、そして、これからのスノーボード界を担っていくべき若者に、自分の思い、考えをしっかりと伝えていきたいと思っていました。
ああ、フィルさんもそう考えてくださったんだあ、と。
フィルさんは、ナイキの会社のことが忙しくて、子供との時間があまりない人生でした。
でも、僕は幸運にも子供と接する時間があります。だから、大成功した人にも持っていないような、僕なりの幸運もあったのか、とも思いました。
最後にフィルさんがこう語ります。
「懸命に働けば働くほど、道は開ける。みんなに言いたい。自分を信じろ。そして信念を貫けと。他人が決める信念ではない。自分で決める信念だ。心の中でこうと決めたことに対して信念を貫くのだ。」
ここを読んだ時、「はい!もっと働きます。」と、思わずかしこまって、反省してしました(笑
スノーボード業界に入った若者、これからこの業界を目指す方など。みんな様々な勉強をしていることでしょう。
スノーボードに関する滑り方やスタイル、歴史などの知識。業界のトレンド。そして、マーケティングや、パソコンを使いこなし技術、SNS含めたインターネットに関することなど。
だけど、その前に大切なこと。
人間形成。
これほど素晴らしい「師」はいないと思います。
この業界に関わる方、すべてにもぜひオススメしたい本『SHOE DOG』です。