世紀のスノーボード大決戦を終え、中にはジャッジングに関する疑問を投げかける報道もあるようだが、平岡卓後援会会長として現地で生観戦した山田氏にとっては、今回は「公平なジャッジングであった。」と分析している。
今回は、山田氏の許可をいただき、自身が発信したSNSからの投稿をご紹介。
文:山田 幸彦(平岡卓後援会会長・フッド株式会社代表取締役)
主観的な競技の未来・・・
最高にドラマチックな結末で終わった平昌オリンピックの男子ハーフパイプ。
この世紀の対決と言われた、歩夢 vs ショーンを目の前で見られた幸福は、僕のスノーボード人生の中でも決して忘れることはないだろう。
素晴らしい感動をありがとうと言いたい。
そして帰国して一夜明け、様々な報道や様々な評論があるようだが、まぁ皆さん言わんすることはよくわかる。
ただ、これが主観的な競技の結末なのも現実ではないか。
ジャッジも人間、すばらしい経験やより専門的な知識や見識があるジャッジの方でも、それぞれ同じ脳を持つわけではない。
だからこそ、ジャッジ1(J1)〜ジャッジ6(J6)まで6人のジャッジの6審4採制(一番高い得点と、一番低い得点をカットした4人のジャッジの平均点)を採ることによって、その公平性を高めているのだ。
電光掲示板に現れるJ1〜J6までのジャッジの得点に、今回の二人の演技の勝敗が賛否両論ある中でも、いかにその瞬間で公平に行われたを示すものがあります。
ここで注目して欲しいのは、以下二人のジャッジマンの得点だ。
注目すべきは、当人達の国から選ばれたジャッジJ5 Connor HANNING(アメリカ)とJ6 Ryo HASHIMOTO(日本)の二人の得点だった。
2位となった歩夢の得点は、J5 (アメリカ)が95、J6(日本)が96。
そして優勝したショーンの得点は、J5(アメリカ)が96、J6(日本)が97。
ともに1点づつ、ショーンが歩夢を上回った。
しかも、優勝したショーンの得点を付けたアメリカのジャッジの96点は、ジャッジ6人中の最低点でカットされている。
もし、欲目で少しでも自国の選手に有利に動こうととしたらなら、97、98の得点を付けたのではないのかな。
一方でJ1のスロベニアのジャッジはショーンに99点もの高い得点を付けたのも事実。
私は、このアメリカ人と日本人のジャッジは素晴らしいジャッジをしていただけたのではないかと思えてならない。
このスポーツが求める公平性をこのジャッジの方達は示している。
歩夢とショーンの公式な得点差は2.5点だが、限りなく1.0点ではなかったかと思うこともできるのではないか。
そういう意味で、今一度二人の滑りを見ると、確かに歩夢自身も認めるように、ショーンの3本目の滑りがこの日の最高の滑りだったいうことではないだろうか。
(間近で見ていた我々は、ショーンの最後の滑りを見た後でも、歩夢の優勝を信じていたが・・・)
細かいルーティンや技の完成度を一つ一つ点数をつけて見てるわけではなく、全体の流れの中でスタイルにおもむきを見た場合、わずか1点ながらショーンが良かったという、ただそれだけの微妙な印象なのです。
されど1点。
(各ジャッジの持ち点は100点だが、1点以下はつけることはできない、1点が最低の点数の開きなのだ。)
この競技は良くも悪くも主観的な競技であるがゆえ、誰もが納得するジャッジというのは、この域の選手らを相手に点数をつけるというのは非常に難しいものになってきていると思う。
予選、決勝でもベースとなる得点が違う、また現場では常に天候が変わっているにもかかわらず、その配慮は点数として加味されることはない。
このように、人間の付ける得点はその主観で行われる以上、どれだけ公平性・透明性が保てるかということが、この競技の未来を占う大切な部分でもあると思う。
それらを信じて闘うことができなければ、この競技の未来は絶対にない。
個人的には、そろそろ100点が最高点というルールを変え、100点以上が出せるルールに変更する時期に来ているのではないかと思えるのだが・・
それほどこの競技は、一昔からどんどん成長を続けているのだ。
しかし、改めてこの二人は凄いと思う。
オリンピックゲームだからこそ賞金に関係なく名誉を懸けて、ここまで二人が本気で闘ったゲームはやはり史上最高、歴史に残る一戦でした。
歩夢の「銀」は、金より良いと書く。
勝っても、負けても、僕には二人ともがこのゲームの勝者に思えてならない。