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文:飯田房貴 [email protected]

もうすでにフェイスブックやインスタなどの投稿で、チェックされた方がいるかもしれないが、週末コロラドのベイル・スキー場で驚きべき大混雑なリフトの列ができた。

実を言うと、この日、同じベイル傘下のカナダのスキー場、ウィスラーでもとんでもないリフトの列ができていた。頂上の方まで行けるピークチェアーやハーモニーチェアはたくさんのスキー、スノボ客で殺到したのだ。
おそらくリフト待ちは、45分以上だったのではないだろうか。いや、もっと待たされた人もいたと思う。
自分の同僚(イントラ仲間)は、ハーモニーでスクールの優待ラインに並んだが、「30分も待たされても上がれなかったので、諦めた。」と言っていた。

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この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は whistler-peak-1024x683.jpg です

ここまで人が集まったのは雪が降ったというのが大きな理由だが、年々ウィスラーなどの世界的なリゾートに多くの人たちが集まっているように感じる。
日本でも白馬、ニセコ、ルスツなど、国際的規模なスキー場は、世界に知れ渡り、多くの外国人観光客が訪れていることを感じている人もいることだろう。

そんな国際的に人気が高いスキー場の気になる料金は?
ベイルの1日リフト券は209ドルだ。
日本円に換算すると、実に2万3千円近くもの値段!
驚きべき高価格だ。

ちなみにウィスラーは189ドルで、これにタックスなど加わる200ドルを超える
カナダドルはUSよりも低く、現在のレートは1カナダドル86円とかだから、ベイルに比べれば可愛いものである。
でも、どちらにしても2万円ほどのプライスなのだ。

日本では、トップレベルのスキー場でも6000円から8000円。
だが、これから外国人の方がもっと訪れるようになり、おそらくもっと高くなって行くだろう。
なぜなら世界を知る外国人スキーヤー、スノーボーダーにとって日本のリフト券はとても安いからだ。

以下は、外国人にも人気が高い日本の主要人気スキー場の一日券の価格だ。

ニセコ(全山共通券) 8,000円
ルスツ 6,200円
白馬(ハクババレーチケット) 6,100円
野沢温泉スキー場 5,200円

北米の人気スキー場に比べて驚くべきほど安い。
これらのスキー場は、今後は確実に上がって行くだろう。
気づけば、スキーやスノーボードは学生さんが気軽に楽しめるのようなものではなくなって来るかもしれない。

僕は普段、ウィスラーでイントラしているので、多くの人に取材して来た。

みなさん、「日本が好きだ。」と言う。
「どこのスキー場に行ったのですか?」と聞くと、
「Niseko, Rusutsu, Hakuba, Nozawa…」
だいたい、このへんが多い。

日本は雪質がいい!
人々は親切でフレンドリー!
温泉がある!
ショッピングも楽しい!

多くのみなさん日本が好きで、日本人好きなのだ。

僕が日本人と知ると、凄く好感をもたれることが多い。
イントラの仕事もとてもしやすい。
これまで海外の方に、「おもてなし」をしてくださった方に感謝せずにはいられない。

ちょっと前置きが長くなったけど、そもそもなんでこんなにスキー場のリフト券は高くてもこんなに人が集まって来るのだろうか?

僕はここ数年、このことも取材して来たのでここで紹介したい。

まず、スキー場に来る人は、その国の中でも比較的に裕福な方が多い
お金に余裕がある方が、スキー場という特別な世界に遊びに来るのだ。

僕が、今シーズン教えた生徒さん、イギリスの方でビジネス関係で香港在住の方は、こんなことを言っていた。

「スキー&スノーボード、こんなに長く遊べるものはないよ。
朝から午後3時くらいまで雪山で遊べるんだ。
コンサートのライブ、スポーツ観戦、その他のアクティビティー、スポーツでも、これほど長い時間楽しめるものはないだろう。しかも、身体を動かせて、健康にも良い。
年を取った人は、ゴルフを楽しむだろうが、僕はスノーボードが好きだ。
まだそんな年齢ではないからね。
スノーボードをしていれば、こんな素晴らしい経験ができるんだ。
こんな遊びないよ。」

確かにそういう思い理解できる。
雪山の体験というのは、一般の人にとっては特別なことだ。
素晴らしい景色、スキーやスノーボードを通して、僕たちは日頃味わえない無重力のような空間も体験できる。普段、オフィスワークで戦っている方にとって、ここは別世界だろう。

以上の写真は、今季、僕の生徒さんが撮ってくれた僕のライディング姿。
確かに、こんなのは日常体験できないものだ。

ウィスラーもそうだけど、コロラドでも、アフター・スノーボーディングも魅力的。
高級レストライン、ホテルのスパ&マッサージなど、日常の仕事のストレスから解放されて、楽しみ、そしてリラックスできるのだ。

何より、彼らはそれほどお金に困っていないのである。
僕が教える生徒さんたちは、およそレッスン代金300ドルも支払って参加してくれている。
僕がメインで所属するセクション、マックス4プログラムは、最高4人教えることができるレッスンなので、目の前の4人の方の合計レッスン代金は1200ドル!めちゃくちゃに高い。
だけど残念ながら、僕にそんなに報酬は入って来ないよ。

生徒さんには、たいていどんな仕事をしているか聞いている。
その職種は、パイロット、お医者さん、インターネット関連で働いている方(グーグルやアマゾン)、会社経営者など、いかにも稼いでいる印象の方が多い。
もちろんそんな方ばかりでもないけど、比較的に裕福な方が多いのは事実だ。

プライベートのイントラとなると、一人イントラを斡旋するのにタックス込みで1,000ドル以上になる!
プライベートは一人のイントラを何人かでシェアすれば、マックス4と同じような値段になるけど、おひとり様参加も少なくない。
今季クリスマスの時期、僕はプライベートのリクエストでレッスンしたけど、その方も、おひとり様だった。ちなみにその方、シアトルから来たアメリカ人で、なぜ僕に指名があったかというと、学生時代に日本に行って楽しくて、だから日本語を話したくて日本人イントラを指名したということだった。

そして彼らの購買力と金銭感覚にも驚かされる。

確か昨年だったが、レッスンしていて、ブラッコムにある高級なレストランに招待されたことがあった。
なんでも、ご家族の方が集まるので、フサキも参加してほしいとのこと。
で、午前中ちょこっと滑って、ランチでレストランに集まった。
だけど、そこが高級風なレストランだから、ともかく食べ物が出て来るのに時間が掛かる。皿に乗った食事はきれいだったけど、量も少ないし正直あまりおいしいとは思えなかった。
その後、1本だけ滑って時間オーバーになり、レッスン終了。

お金持ちのお金の使い方って、よくわかんないなあ、と思った。
おそらく、金持ち父さんで有名なあの本のような、1年間何も仕事を‪しなくてもお金には困らない方たちなのだろう。
そんな方が、時間潰しのため(?)、ウィスラーに来てプライベートのイントラを斡旋して、スキーやスノーボードを楽しんでいるのだ。

昨年、雨のような雪が降った日は、全身びっちょで寒くてしょうがなかったのだけど、そんな日に僕の生徒さんは、グローブとフェイスマスクを買った。
で、自分も寒がっていたら、僕の分も買ってくれたのである。
「いや、悪いからいいですよ。」と言っても、「気にすることはない!」と半場強引にレジに連れて行かれて買ってもらった。その方は、僕を大切な友人のように思ってくれて、だから僕もそれに応えるようにその方のために目一杯楽しんでいただけるようにレッスンした。フレンドでもあるフサキに不憫は思いさせたくない、と考えてくれたのだろう。でも、数百ドルのモノを買ってくれるって!

今これを読んでいるスノーボードをしている人は、普通に雪山でパウダーとかジャンプとか楽しんでいるけど、世界のお金持ちにとっては、それはちょっと特別な世界なのだ。
かつては、ゴルフ場にお金が流れていたのかもしれないけど、今の40代、50代あたりの元気がある方は、ゴルフよりもスキー場にお金を落とす傾向があるようだ。

スキー場の一泊1,000ドルもするホテル代もなんのそろ!
クリスマス時期には半年も前に予約しなくてはいけない高級レストランもなんのそろ!
彼らはお金を落としていく。

ベイルやウィスラーには、アメリカ、ヨーロッパ、オセアニア、アジア、さらには南米のメキシコ、ブラジルなどからも人がやって来て、スキー場にお金を落としていく。そして周辺のホテルやレストランを潤す。ついでに不動産価格も跳ね上がる特別な世界が生まれる。

ベッカムのようなプロスポーツ選手、パリス・ヒルトンのようなセレブもウィスラーにやって来て、スノーワールドを楽しんで行くのだ。
今後もその傾向はおそらく止まらないだろう。

僕にとってはずっと前からいたので、ウィスラーにいることを特別に感じていなかった面もある。1990-91にウィスラーに来て、そこで出会った人と結婚し、子供が生まれた。子供を育てていく生活の手段のためにイントラという職業を選び、今に至る。そのウィスラーが気づけば、世界では特別のウィンターリゾートになっていた。

そんなバブリーな世界や混雑するスキー場に嫌気を感じたローカルたちは、カナダBC州でもより奥地のスキー場に移動して行った。

おそらく、これからはウィスラーやニセコのような特別な場所と、めちゃくちゃにローカルな場所がさらに色分けされているのではないだろうか。
つまりビジネス的な勝ち組スキー場はますます潤し、そのステージに上がれなかった脱落組は売り上げも落ち込む傾向があるような気がする。そういった意味では、いち早く外国人に魅力的な資産があることを気づいた日本のスキー場は、しっかりと勝負の一手を打っていくことが必要だろう。つまり外国人向けに上手に宣伝し、その準備もしていくということだ。
残念ながらそれが見つからないところは、これからますます難しい戦いになると思う。


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