スノーボーダーにとって基本技のオーリー。
オーリーは、迂回コースからのドロップから、クリフジャンプまで様々なところで使えます。またオーリーを利用しエアーの高さを出すことで、そこからできるトリックの世界も広がっていく大切なテクニックです。
オーリーは、ある程度どこでも滑れるようになったスノーボーダーの方なら、ぜひともやりたいトリックでしょう。
ところが、いざやってみると、なかなかうまくできなかったりするもの。
そんなあなたは、ぜひこれから紹介する6つの練習をやってみましょう!
一つ一つのステップをしっかりと行えば、カンタンにオーリーができるようになります。
Text: Fusaki IIDA
ご協力&ライダーモデル、アドバイザー: Jimmy
目次
STEP 1
まずはフラットなところで模擬練習
まずは、フラットのところでオーリーという動きを理解しましょう。オーリーの動きを理解するためにも、最も大切な基本的な動きとなります。
これは家の中でもできる練習ですますよ。
正しいオーリーという動きを身体で理解するためにも、何度でも練習しましょう!
①低い姿勢を取り
②前足を空中へ引き上げ、すかさず後足を蹴ってジャンプ
③腸腰筋を利用して、ヒザを引き上げればより高く飛べる
④着地する時にはまるで猫のように、ヒザを柔らかく使う
よくありがちなNG姿勢
オーリーでよくありがちな失敗した姿勢は、腰折れの状態で頭を下げてしまうこと。その原因は、踏み込む姿勢を作ろうとした時に上体が前に倒れてしまっているから。しっかりと頭を真っ直ぐに残した状態で、踏み込めるようにしよう!そうしないと、バランス姿勢を保てた良いオーリーができません。
STEP 2
ゲレンデのフラットなところでオーリー練習
ボードを付けていない状態で、オーリーの動きが理解できたら、今度は実際に板を付けた状態で行ってみましょう。
ゲレンデには、レストハウス付近エリアや、リフト乗り場など、フラット(平ら)のところがあるので、そういったところでまずはやってみること。ボードが動いている状態で行うオーリーよりも、止まっているところでやった方が簡単です。だからまずはこうした簡単な環境で、しっかりとオーリーができるようにするのです。
やり方は、先に紹介したステージ1と同じです。
後足に体重を乗せて、テールに圧が掛かるように。後足を蹴り、テールの反動を利用してジャンプ。両足を引き上げることによって高さを出せる。
テールを利して、少しでもジャンプができる感覚を得れれば、合格。
あとは、より高く飛べるよう。よりポップ感を出せるように、クオリティを上げるだけ。練習あるのみ。
そもそもオーリーは、こうした動きができるテクニックも必要ですが、同時にオーリーするための筋力も必要になります。このフラットで行うオーリーで、オーリーに必要な筋力も付けてほしいのです。
慣れていない人は、10回ほどトライしただけでも息が「ハーハーー」してしまうでしょう。
だけど、それこそ、オーリー効果です!
苦しいけど、練習を続けていくことで、筋力も付くし、テクニックも身に付いていきます。
①船を漕ぐようにちょっと前足に体重を掛けて
②一気に後足に体重を移動してノーズを引き上げ、テールで蹴る
③両足を胸の方に引き付ければ空中高く飛び出し
④あとは猫のようにヒザで衝撃を吸収して着地
STEP 3
緩斜面で動いた状態でオーリー
さあ、ステップ3ではいよいよ動いた状態から、オーリーをトライしてみましょう。
この時、大切なことは低速な状態で行うこと。オーリーは高速なほど仕掛けが難しいので、初心者の段階では、なるべくフラットに近い緩斜面。スピードがあまり出ないところで行うのが好ましい。
難しい境地で自分を追い詰めるのではなく、うまくできないことはより簡単な環境で行うことが大切です!
正しい動きができることが肝心。
例えば、滑り始めの緩やかな場所や、リフト乗り場付近でほぼフラットでスピードが出ないところ、または、迂回コースなどがいいです
先に紹介した止まった状態で行うよりも難しいが、徐々にスピードを出せるところでもできるようにトライしていきましょう。
何度も言うけど、練習が大切。
オーリー初心者の方は、すぐに「うまくできない。」と言いがちだけど、正しい動きをイメージできていれば、あとは練習を繰り返すことが大切なのです。
以下の見本をしっかりとイメージして、チャレンジを楽しみましょう!
(板の動きに合わせるように、前の手でリードするようにオーリーを導こう。下げたところから、前手を前方へ。しかし、この時、手が肩よりも上がると返ってバランスを崩す結果も生むので、ほのかにリードする感じ。肩ぐらいの高さまで上げることで、ジャンプのきっかけをつかみやすくなるだろう。)
STEP 4
障害物をジャンプするきっかけで練習を繰り返す
もう、ここまで来たら、かなりオーリーができるようになっていることでしょう。
ステップ4では、障害物を越す練習をしてみよう。
というのも、オーリーは何かを飛ぶきっかけを与えることで、より飛びやすくなるから。
その障害物は、何だっていいです。
例えば、雪玉。木の枝などなど。
こうして、「マスト飛ばないといけない感」を与えるほのかなプレッシャーが、よりオーリー・ジャンプのきっかけとなることでしょう。
もし、この練習をすることによって、うまく上体のバランスが保てず、暴れている感が出てしまった場合には前のステップに戻って復習するようにしてみてください。
大切なことは、各ステップで段階的に良いオーリーができることです。
STEP 5
迂回コースからのドロップでオーリー技術をアップ!
最後のステップ5では、迂回コースからのオーリーを提案したい。
迂回コースは、通常、フラットで踏み込みやすい。しかし、ランディングは傾斜があり、着地を合わせるという技術が必要になって来る。
また、オーリー初心者なら、小さい蹴りで小さなジャンプができるし、慣れて来たら大きく踏み込んでダリ、よりスピードを付けて、遠くに、そして高く飛ぶことも可能だ。
つまり、それぞれのレベルでオーリー技術をアップできる最適な環境である。
もちろん事前にランディングのチェックは必要。
また、そこに他のスキーヤーやスノーボーダーが頻繁に通るとこでは行わないこと。他の人が入る可能性がある時には、友達にそのエリアが安全かどうか確認してもらい「GOサイン」を出してもらおう。
また、そういう友達(パートナー)がいる時には、お互いケータイなどで撮影し合って、自分のフォームをチェックするといいだろう。
KEY POINT 高さを出す鍵はリップのギリギリまで蹴りを待つこと
オーリーであまりポップ感や浮遊感が得られないという方は、できるだけリップのギリギリまで待つとうことを気を付けてやってみよう。
こうした迂回コースのジャンプで慣れていない多くの方は、早蹴りの症状になっているものだ。
リップが来たと思ったとたんに、待ちきれずに蹴ってしまっている場合が多々見受けられるので、気を付けてほしい。
ボードのノーズが出て、テールを利用してオーリーというタイミングだ。
テール(※上のイラストで赤い部分)でリップを叩く感じ。まるでテールでボタンをプッシュするような感覚と言っていいかもしれない。そうすると、ビックリするほどボードがうまくホップして、高さを出せる気持ち良いオーリーができるだろう。
(ノーズがリップが出るところまで待って、テールをまるでボタンを押すようにしてホップ!)
STEP 6
斜滑降でのエッジングを使ったオーリー
これまでのオーリーは、すべてボードがフラットな状態で行っているものだった。
しかし、オーリーは、必ずしもフラットの状態で行うものではない。時には、つま先のエッジングしているところやカカト側でエッジングしているところでも行うことがある。
例えば、ゲレンデの脇などにできるナチュラルなヒッツを呼ばれるジャンプできるポイント。そういうところでは、カカト側、あるいはつま先側に多少エッジングを加えてジャンプ。そんな時でも、テールを利用したオーリーのテクニックが使えれば、より高く気持ち良く飛ぶことができるのだ。だから、エッジングを使ったオーリーを習得する必要がある。
そこで良い練習を伝えよう。
それは、斜面を横切るように、斜滑降しながらオーリーだ。
(人間はつま先立ちができるが、カカト立ちというのは難しい。だから、ヒールサイドのオーリーは、バランスを取るのが難しい。うまくできない人は、最初はオーリーという動作を捨てて、カカト側のエッジを使って両足同時に踏み込むジャンプを。慣れて来たら、後足で蹴るオーリーのスタイルを入れて行こう。)
【動画】6つのステップでカンタン!基本技オーリー
これまで紹介して来た6つのステップでカンタンにスノーボードのオーリーができるハウツーを、動画にまとめました。
さらに正しいイメージを固めるために、ぜひこちらの動画もご参考にしてください。
アドバイス ①オーリーに適した板を選ぼう!
そもそも技術うんぬんの前に、実を言うとオーリーに適さない板というのもあります。そんな板でいくら練習してもなかなかうまくならないので、気を付けたいポイント。
以前、スノーボードのレッスンでオーリーを教えていた時、なかなかうまくできない女の子がいました。
「なぜだろう?」と思って、板をあおらせてもらうと、その板はとても固かったのです。その子の脚力では板をたわますことができませんでした。その時、僕はオーリーのやり方うんぬんの前に、ギア面でのチェックが必要だと思ったものです。あの固い板では、一生オーリーの感覚なんてつかめないと思いました。
昨今、板の形状はキャンバーの他にロッカー(※船底のような形状でトップとテールが浮いている)、フラットなど様々なものがありますが、基本的にはどんな板でもオーリーは可能です。
ロッカーの方がオーリーがやりやすい、また軽い板の方が空中で板を引き付けやすいなどあるけど、僕自身、カービングに適したキャンバーの板でオーリーを楽しんでいます。
あまりオーリーに適さない板というのは、以下の2つ。
1)固い板
2)長い板
もし、オーリーを楽しむスノーボーダーになりたいと思ったら、以上の2つは避けた方がいいでしょう。
(柔らかい板というのは、よくボードもたわみコントロールもしやすくオーリーがやりやすい。逆に固い板でオーリーするのは大変。ボードの板の固さは自分の身長、体重、脚力にも関係してくれるので、一概に数字を伝えるのは難しいが、よくショップの方に相談してみよう。)
一般的な男性用フリースタイルボードの長さ: 150cm~158cm
一般的な女性用フリースタイルボードの長さ: 140cm~158cm
※昨今は、ボードの性能も上がり、コントロールしやすい短い板でもスピードの安定性が上がっている。日本人男子のスロープスタイル選手では、148cmなど140後半のボードを好む選手がいるくらい。かつてボードの長さは、板を自分の横に立ててみて、アゴから鼻の高さなんて言われていたが、オーリーなどフリースタイル・テクニックを楽しむことがメインなら短めの板、アゴぐらいまでの高さのボードを選ぶといいだろう。
アドバイス②オーリーの動きを明確にイメージできるようにしよう!
オーリーとは、元々はスケートボードのテクニック。板のテールを利用して、飛び跳ねることだ。
オーリーの動作としては、後足でテールを強く蹴り、その後にすかさず前足(=前ヒザ)を胸の方に引き付けることにより、空中へ飛び出す。
さらに後足を引き付けた結果、ボードがうまく飛び上がるというもの。
スケーターの場合、前足を胸に引き寄せた動作の後、すかさず前足の外側を前方へ送り出すような動作も加わるが、スノーボードにおいてもこのような動作を加えることで、よりカッコ良く決まりやすい。
両足が固定されていないスケートでのオーリーは、スノーボードのオーリーよりも圧倒的に難しい。
それだけにスケーターのオーリーはできると、美しくカッコいいので、オーリーという動きを理解するためにも、スケーターのオーリーの動きをチェックしてみよう。
雪がないところでスケートでオーリーの練習するのは、良いオフトレ。
しかし、よくスケートで怪我をしてしまうことも聞くので、くれぐれも怪我には気を付けて無茶をしないこと。プロテクター類もしっかりと付けるといいだろう。
アドバイス③「オーリーできない!」という8割の人は練習量が足りない
次によくオーリーをやろうとしているのに、なかなかできない人について。
ある程度のうんちくはわかっているのに、なかなかうまくできないという方。
自分のコーチングの経験では、8割の人が練習量が足りていません。
もの凄く乱暴なアドバイスを送るとしたら、「ともかくできないという暇があったら、練習すればできるようになって来るよ」と伝えたいのです。
ちょっとやろうとして、できない。だから、あきらめているという人がいます。
できないと、恥ずかしい気持ちもあって辞めてしまうのかもしれないけど、他人は自分が思っているほど自分のこと気にしていないもの。だったら、どんどん練習しましょう!
じゃあ、どこでやるかって?
それこそ、どこでもできます!
まず、リフトで上がってバインディングを装着したところ。そこは結構フラット(平ら)だったり、和やかな傾斜だったりするよね。そういうところはオーリーしやすいよ。だから、必ずぴょこんぴょっんって、2、3回練習しよう。
あとは、リフト乗り場のところ。
滑走してリフト乗り場のところに行く時、スピードを緩めるけど、そんなところもオーリーがやりやすい。やはり、ぴょこんぴょこんって、2、3回やってみるといいよ。
こうして、ちょこちょこ練習していれば、1日に50回くらい練習することができるかもしれないね。
そして、オーリーするために必要な太ももやふくらはぎ、また板を引き付ける時の腸腰筋などの筋力も上がってくる。
かなり過酷だけど、連続で10回オーリーを続け様にやると良い練習になります!
もしチャンスあったら、ぜひトライしてみよう。
今回ハウツー撮影にご協力してくれたライダーJimmy
喰わず嫌いでどんなジャンルでも高いパフォーマンスを発揮するプロ・スノーボーダー。フリーランはもちろんジャンプ、ジブなど様々なシチュエーションで活躍。
特に撮影においては細かいところまで気を配って、カメラマン・マインドをも理解する画作りができるいぶし銀テクの持ち主だ。
高校時代にカナダ留学しスノーボードを学んだことから、カナディアン・スタイル!無駄のないスムースでクールなライディングをする。
長年DMKコンテンツのハウツーでも活躍し、わかりやすい教え方で多くのファンを持つ。
Sponsors: Endeavor Snowboards, Sandbox, Pow Gloves, bs east