【コラム】インバウンドに頼ったニセコの外国人が苦境!コロナ時代に考えるべきこと

友人のフェイスブックで知ったのですが、インバウンドに頼ったニセコが観光客が激減、またそこで働く外国人も仕事をなくして苦境に
陥っています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/18e9a6045926ca149bd5013c450bb40c9012b7b1?fbclid=IwAR3y4RnxwMT4rdwvya2wWjlpeLQWp4dUmyugO72kEnJPrTwjq0n3zmQK-Pg

ウィスラーに住む僕も他人事でないと思いながら、この日本とカナダの違いも考えさせられました。

まずは現在のウィスラーの現状をお知らせします。

今季来られるスキー客は、例年よりも半分以上減る可能性が指摘されています。
なぜなら、ウィスラーもニセコ同様にインバウンド需要に頼った国際的なスキー場だからです。

友人のFBの書き込みの中には、「リフト券が高くなり近年、ニセコには行かなくなった」という意見もありました。
なるほど、と思いながら、いったいくらなのだろう?と検索してみると…。
https://www.grand-hirafu.jp/winter/gelande/lift_united.html

一日券は、8100円でした。

確かに高いかもしれませんが、世界的に見て国際的なスキー場の値段としては、とても安い。
というのも、ウィスラーもそうだけど、現在、アメリカなど主要な人気スキー場のリフト券は、軒並み2万円レベルという高さになっているからです。

しかも、日本は世界でも最も雪が降り、良質なコンディションで滑ることができる場所。
世界のスキーヤー、スノーボーダーから見れば、まるで夢の聖地。

一方で、ここまでインバウンド需要に頼り過ぎたニセコにも問題があったのかな?と思います。

例えば、ウィスラーの場合、ローカルの人(※厳密言えば、カナダに住む人と、お隣のアメリカのワシントン州地域)を対象にした割引サービス、エッジカードというものがあります。

https://www.whistlerblackcomb.com/plan-your-trip/lift-access/edge-cards.aspx

一番安い商品だと、5日間滑れて473ドル。カナダドルなのでおよそ4万2千円ほど。
ホリデーシーズンは滑ることができない条件。ホリデーの時も滑れるエッジカードは、514ドル。
それ以上滑りたい6日目以降は、リフト券15%引き。
また夏の観光チケット、1日券がもらえたり、ウィスラーと提携してエピックパス使用の他のスキー場も5日券に含まれたりします。

また、ホテルの方でもローカルに向けて割引サービスをしていたりします。
この夏から秋もコロナ直後に旅行者が少なったことを挽回するために、積極的に割引して誘致していました。

政府の支援金が断然に低い日本の問題

インバウンドに支えられているウィスラー、また今季はスキー客が半減する可能性も指摘されているウィスラー。
そんなウィスラーのウィズ・コロナは、どんな状況か?

実を言うと、意外に潤っています。
特に週末になると、ビレッジは多くの人で溢れているのです。

バンクーバーで働く妻によると、彼女が働いている家具屋のお客さんの売り上げも前年比よりも一気にアップしているとのこと。
また、人々は海外に行けなくて、やることなくて国内トリップをしていると言うのです。
行き場所をなくした人が、ウィスラーにわんさか来てしまうようなことになったのです。

そして、もう1つ重要なこと。
それは、日本とカナダの給付金の額の違いです。

日本では、10万円の給付金をすでに配り、もしかしたら、さらに支援の追加5万円の話も出ています。
だけどこれ以上、「国の借金は増やせない!もってのほか!」という論調もあります。

これは国の事情で仕方ないことか、と思いますが、カナダの場合にはその給付額は10倍以上です。

僕が住むBC州では、まずはコロナの緊急支援として、1,000ドル支給。
さらに給料が減ってしまった対象者に向けて、毎月2,000ドルが配られました。その額、最高で14,000ドル。日本円では、およそ126万円になります。

そもそも年収300万円以下の低所得者や若者にとっては、思わぬボーナスが入ったという感覚です。仕事を探すふりして見つからないと申告!?そして、政府から支給を受けています。
だから、近所に住むケビン・サンサローン(SANDBOX創始者)は、もう若者は働かないと嘆いていました。

またカナダでは、さらなるコロナ支援策として、家賃が半分になったり、コロナ直後の水道光熱費ば免除されるような処置も取られました。
だから、カナダ人の多くの人にとっては、日本人以上の経済悪化による悲壮感は薄いのです。

結果、お金を持った若者たちが、うろうろしだしました。
この夏も、ウィスラーとバンクーバーの間を何度か運転したけど、そのハイウェイでの若者の運転には困りました。トラフィックが忙しくなった上に、若いペーパー・ドライバーのような者が増えたので。

もちろん、カナダでもコロナは大問題です。
経済も悪化しているでしょう。
でも、前途紹介したように、様々な支援の強化により、悲壮感が日本よりも弱いのです。

だから、今季のウィスラーも、この夏、秋と観光客が多かった。
また、この冬も海外で観光できなかった人たちが、ウィスラーに来るのではないだろうか?と考えています。

悲観的な国民性と楽観的な国民性

脳科学者の中野信子さんは、日本人は元々、悲観的に物事を考える脳を持っていると伝えています。
https://logmi.jp/business/articles/152071

僕もカナダに住んでいて、同じようなことを感じます。
レジャーに掛けるお金が減ってしまう要因は、経済悪化の上に日本人の国民性ということもあるか、と思います。

かつて、僕はスノーボード界のライバルは、ディズニーランドとかケータイとか考えていました。
まあ、確かにそういう面もあるだろうけど、それ以上に厄介なのは、人々が家に篭る傾向が強くなることと、ネガティブな行動に走ることです。

カナダには自分の通帳がほぼゼロに近づいても、楽観的に考える人が少なくありません。
成人一人あたりの借金の多さは、カナダの問題になっているほど。
人々はあまり難しいことを考えずに、平気で借金して、遊んでいるような国民性があるのです。

だから、スーパーで並んでいると、よく目の前の人のデビッドカードやクレジットカードが使えない、というシーンを見かけます。
おそらく、その人の口座には、もう使えるお金が残されていないのでしょう。それに気づかず、カードを2、3枚トライしているのです。
結局、いろいろ使ってみて、全部ダメでレジ横に商品が残されたままのケースもあります。

ある意味、日本人の持つ悲観的な考えは、「守る」という意味でも大切なことです。
だけど、あまりにも悲観的過ぎると、返ってストレスばかり溜まって、あまり良い結果を生まないように思います。

結論

ここまで、ウィスラーのローカル割引の話、カナダ政府の支援の話、日本人の国民性の話をして来ました。
結局のところ、ニセコが何ができたのか?というと、最初のポイントしかなかったと思います。
つまり、インバウンドに頼り過ぎて、ローカルへのサービス商品がなかった、ということです。
(※もしかしたら、自分が知らないだけで、本当はあるのかも!?)

ただ、実際にニセコの観光がうまくいってないことは事実で、今後への改善案はあると思います。

2番目の経済支援の話は、ウィンター事業者がコントロールできることはないでしょう。
カナダでは、僕が1990年に来た時から、14%ほどの消費税があったし、タックスが高い国。だからこそ、国に余裕もある。医療費も無料。高校も無料。
また、ずっとインフレも続ているように思います。日本のように1コイン500円でおいしい牛丼も食べることはできずに、マックでも最近は10ドル使うことが多くなりました。今日もスーパーで、レタスが1つ3ドルって「高いなあ」と思いながら買い物していました。
カナダ人の感覚では、日頃、日本人以上に高い買い物をしていて、その結果、経済はまあまあなところで、また国にもお金があるということだと思います。

そして最後の国民性の話も、事業者がどうすることもできない。

ただ、逆に考えれば、この心配性のお陰で、みんながマスクする社会でもあります。
結果、ヨーロッパやオーストラリアでコロナの第二波が来たという中、日本は大変ながらもうまく経済を回しています。
おそらく、今、ヨーロッパのスキー場関係者は、フランスなどのロックダウンの処置の影響で、スキー場もクローズする懸念が広がっているのではないでしょうか。
そんな中、日本ではイエティが、そして軽井沢プリンスがオープンする状況が生まれています。

正しい情報をしっかりとキャッチし、今、冷静に各ウィンター関係者が何をすべきか。行動する時ではないでしょうか?
僕も少しでも、力になれるように、スノーボーダーの方のモチベーションを上げるようなコンテンツをアップし、一人でも多くのスノーボーダーが増えるように頑張ります。またスキー場にも足を運んでいただけるように、活動していきます。

コラムニスト・飯田房貴
1968年生まれ。東京都出身、カナダ・ウィスラー在住。
シーズン中は、ウィスラーでスノーボードのインストラクターをし、年間を通して『DMKsnowboard.com』の運営、Westbeach、Sandbox等の海外ブランドの代理店業務を行っている。日本で最大規模となるスノーボードクラブ、『DMK CLUB』の発起人。所属は、株式会社フィールドゲート(本社・東京千代田区)。
90年代の専門誌全盛期時代には、年間100ページ・ペースでライター、写真撮影に携わりコンテンツを製作。幅広いスノーボード業務と知識を活かして、これまでにも多くのスノーボード関連コラムを執筆。最新執筆書『スノーボードがうまくなる!20の考え方 FOR THE LOVE OF SNOWBOARDING
今でもシーズンを通して、100日以上山に上がり、スノーボード歴は35年。