Grenade Gamesスーパーパイプは熱過ぎ!楽し過ぎ!!スノーボードの楽しさやカッコ良さを伝える「新」スタイルのパイプ大会は、まさに通好みの実力派ライダーたちが表舞台で大活躍するお祭りとなった。
超スタイルあるエアー・トゥ・フェイキーを決めたルイ・ビトー。
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1978年、かつてアントニオ猪木がモハメッド・ハリ戦でパンドラの箱を開いてしまった異種格闘技戦。それから歳月が経ち、今では総合格闘技全盛時代になり、本来ならアンダー世界でしか活躍できなかったバリドゥード・スタイルのグレイシー柔術が脚光を浴びるようになった。そして、このグレネードのスーパーパイプも、パイプ技術の他、ジブ・テクニックなど総合力が強く、大会競技においては隠れていた「超」実力派がクローズアップされる大会となった。
まずは、このパイプの全容を説明しよう。
スーパーパイプの上部には、90年代前後のパイプのようにアプローチに滑走路ができていた。あたかもヒップのアプローチがパイプと合体した感じである。(注:当時のパイプは選手が幾たびもジャンプすることで自然に滑走路ができていた。)
中部付近には、両サイドにナローなボックスがあり、ここで当て込んだりなど、ジビングができる。
パイプ下部には、選手の右手にGrenadeのお馴染みの手榴弾のぶら下がりモノ。
左手には、ビッグなログ(丸太)が立った。
出場する選手は、ベテランからルーキー、カナダ・ナショナル・チーム等のパイプ競技者から普段大会に出ないビデオ・スターなど。この出場ライダーたちを見ると、まさに実現できないと思われていたライダー同士が同じ土俵に立った、という感。
そんな中、本日最も輝いて見えたのは、ルーカス・マグーン、ルイ・ビトー、ダスティン・クレイバン、TJシュナイダーなど。
ハーフパイプの競技においては、高さあり、回転数あり、バリエーションあり、そしてうまくまとめる、ということが求められる。
しかし、このグレネードのお祭り大会では、ともかくカッコ良く、危険なことにチャレンジして、観客を沸かして、目立った選手が勝つというルールである。そう、転ぶことさえ、評価を得る大会だったのだ。
疲れたら下でハンバーガーを食べていればいいし、誰に強制されるのではなく、好きな時に好きなだけランができるといった風。
ジャム形式なので、選手たちは自分のペースでドロップしていき、己のスタイルを存分に観客に見せていった。
パイプ職人ギオーム・モリセットは、あかわらずスイッチのうまさを見せ付ける。現代のスイッチ職人ジャスティン・ラモルーは、高さにおいてはギオームよりも上だったが、観客を沸かすスタイルではギオームよりも一枚も二枚も下に見えたほど。ギオームは、グラブの器用さ、ポークの使い方など、職人技を見せてくれ2位に輝いた。
カナダ・ナショナル・チームのコーチも務める38歳ベテランのデニス・バンノックは、インバート・エアーで逆さになりながらログにアタックし、撃沈していった。その攻める姿は、鳥肌が立つほどのチャレンジ心に満ちていた。
また、このログで果敢にアタックしまくっていたのが、ルーカス・マグーンとダスティン・クレイバンだった。
ルーカスはスピンして当て込んだり、ログの上に手を付きボードを返したり、様々な技を駆使した。しかし、納得する技がメイクできずに何度もハイクし攻めまくった。
ダスティン・クレイバンは、リップからぶっ飛び、なんとハンド・プラントまでやる始末。しかし、リップに落下し、スネを強打。あまりの痛さに脚を震えさせていたが、痛さもスノーボードの内とばかりにハイクしてなおも攻めまくった。
北米のスノーボード業界で密かに最も評価を受ける、裏の「超」実力派の二人の熱いバトルは、ホント感動モノ!
ちなみにダスティンはこのログ攻め以外にも、途中、高さあるエアーや高回転トリックも繰り出し、3位に入賞した。
ログ(丸太)を攻めるライダーたち。 |
また、ルイ・ビトーは、フロントサイド1260やスタイルあるエアー・トゥ・フェイキー、ハンドプラントなど、何度も何度も決めて、この日、最もハイクをしてタフネス・ガイを見せ付けた。
しかし、そんな熱いジャム・セッションの中、本日、最もホットなライダーだったのは日本でもファンが多い、TJシュナイダーだった!
TJは、フロントサイド1080やキャブ900からのランディングでボックスに当て込みなど、もの凄いスキルを見せ付けた。その結果、なんとTJが優勝。TJが大会で優勝なんて、誰が想像できたであろう。しかし、この日、TJは最も輝いていたし、この勝者の勲章に値するテクニックを魅せてくれたのだ。何度も転んだ姿も見せたけど、この大会では転倒もパフォーマンスの内!
優勝したTJは、ナローボックスの端をレールにように擦りパイプにインして、そのまま次の壁でエアー!1080など高回転スピンを見せて観客を沸かせた。 |
これまで記者は、10年以上このパイプで取材をし続けて来たが、これほど楽しいスーパーパイプ大会はなかったと思う。
様々なスタイルのライダーが一同に集合し、おもいっきり楽しみ、熱いセッションを見せ、観客を魅了させてくれる。スノーボード大会は争う場でなく、お祭りという忘れかけていたことを思い出させてくれる素晴らしい大会だった。何かこの大会で失っていたミッシング・リンクが浮かび上がったようにも見えた。
この春大会では、毎年、日本人選手が活躍することで有名であったが、今回はジブ・アイテムが加わったということで、参加を辞めたという日本人ライダーもいたようだ。しかし、このような大会に出て、観客を熱くさせるようなものを見せてこそ、プロフェッシナルではないだろうか。今回、日本人ライダーが誰も出ていなくて、残念だったが、来年こそぜひ日本の勇者にも参加してほしい。
熱い大会見せてくれて、ありがとうGrenade Games!こんなにも感動を与えてくれて、ダニー・キャスに感謝!!
表彰シーン、左から優勝したTJシュイダー、主催者のダニー・キャス、3位ダスティン・クレイベン、一番右はギオーム・モリセット。みんなのビッグ・スマイルが印象的だった。 |
上段左、何度もハイクして汗びっしょでウェアーを脱ぎ捨てたルイ・ビトー。 |
Monster Grenade Games 5 – Day 5 from monster dano on Vimeo.
Grenade Games SuperPipe四賞
サミー・ルーブク(Sammy Luebke)は、どデカいエアーのシックなスタイルでベスト・エアー賞。
コーリー・ライト(Kory Wright)は、何度もカッコ良いハンドプラントを決めて、ベスト・ハンドプラント賞。
デニス・バンノックはログに当て頭から真っ逆さまに落ち、ベスト・クラッシュ賞。
ルイ・ビトーはフロントサイド1260でベスト・トリック賞。
※各賞の獲得者には、500ドル現金が渡された。
Grenade Games SuperPipe Top 3
1 TJ Schneider $5000
2 Guillaume Morisset $3000
3 Dustin Crave $1000
http://www.wssf.com/grenadegames/