韓国スノーボード事情

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文:ハン・ヒョンヒ

私はソウルに住んでいる29歳の男手名前はハン(名字)チョンヒ(名前)と申します。今年でスノーボード歴わずか3年ですが、こっちのいろんなスノーボード・クラブに所属して活動しているし、またボードショップに行って見物することが趣味(?)で、スノーボードに精通しているので、自分の知る範囲で、あまり日本では知られていない韓国のスノーボード事情を語ります。これから敬語は省略させていただきます。

韓国で初めてスノーボードを滑った人ってだれだろう? いつどこでどこから持って来たのだろう?そんなこと誰もわからないかな?
一般に知られたのは90年、91年頃かな? テレビでスノーボードが出るようになって知られて。80年代後半、ソウルの近いところのスキー場で外国人や何人かの韓国人が滑っているのを見たという人もいる。でも、はっきり言ってもいいことは90年代半ばまではあまりボーダーっていなかったな。僕もスキー場でたまにはボーダーを見かけ「あれがスノーボードかあ。なんか高そう。」と思った覚えがある。
若者に知られた決定的な事件が一つあるにはあった。90年代韓国最高のアイドル、ソテジと言う歌手(3人グループのリーダー)が92年のMUSICビデオでスノーボード滑る姿を見せたのだ。今考えてみるとあまりうまくなかったが。
その時期の社会、学校などからの規則、規制などから反抗する彼の姿とスノーボードはよく似合ったのかも。とにかく凄くカッコよくアピールしたと思う。服もHIP-HOP服のようだったし。
しかし、そんなイメージだけで冬スポーツが大衆化になっていかなかった。韓国ではショップもほとんどなかったし、高い値段などの理由であまり普及はできなかった。今のようにインターネットがあったわけでもないし、なんの情報もなかった。アメリカ、カナダから留学していった人達がたまには滑ったりしていたぐらい。
それが周りに「あれカッコいいじゃん。おもしろそうだな。」などの理由で若者中心に広がったのが95年、96年の頃。いくつかのスキー場がスノーボードの開放許可を出すと、同時に他のスキー場でも滑れるようになっていった。
しかし、97年のIMFで冬スポーツは水にさされる。高級スポーツの代名詞のゴルフ、スキーはすごく非難されるようになった。放送でも「こんな大事な時期にスキー場でのんびり遊んでる連中がいます。」などの記事が出た。外車に乗っていると奴といわれるくらいだった。
ここで言っておきたいのは、韓国で90年に入って冬スポーツ人口が増えたとはいえ大衆化されたわけではないということ。いくら安くなって生活が豊かになったとはいえ、まだスキー場に行くには少なくないお金がかかる。人って自分とか周りの人がやってないことには拒否感ってあるし。
それが今の若者には冬できるスポーツって、スノーボードっていう認識が広がったのです。服装、飛ぶなどの動き、スタイル、それに自由さ。恋人にも「オレ、スノーボードできるんだ。」とカッコつけられるし。元々スキーをやったことある人は少なく、今から冬スポーツを楽しもうと思う人が多くなったのも一つの理由かな。正直、今の時期に学生の中でだれがスキーをやりたがるのかな?

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韓国のスノーボード文化はいろいろ変わってきた。去年(99-00)まではバートンのカスタムが12~15万円くらいだった。今年はなんと6万5千円。その決定的な役割はインターネット。
韓国のインターネット人口は2千5百万人。総人口4千7百万人と比較しても韓国のインターネット人口がとても高いことがわる。普通の家庭でできるし、外に出ても1時間100円でインターネットできる店は山のほどある。チビまで「アメリカではこんな値段なのに。韓国はどうして?」なんか文句つける。
僕の周りにはインターネットでアメリカからショピングする人が多い。1つだけ買うと、時間、郵送料など考えるとそんなに得でもない気がするが。

韓国のショップの特徴。
1)親切ではない
韓国ほとんどのショップがソウルにある(80%以上)。そのソウルでもほとんどのショップが江南(ガンナム)というお金持ちの多い地域に集まっている(90%以上)。これは問題だ。オーナー達がお金に苦しんだことないかどうかはわからないが、商売ってことがわかってない。「いやなら買うな」って感じのところが多すぎる。売ったら終わりという感じでアフターのフォローがない無責任さ。
2)用品の乏しい
モデル、サイズ、色があまりに限られている。これでは選べない。

3)知識不足。
とんでもないバインディングのセッティングをする。メンテナンスが不可能。扱う商品への知識が足りない。勉強してほしい。

4)高い
ブーツは韓国で作られているのが多くて何となく安い方(バートン例外)。ウエアは特に高い。種類も少なさ過ぎるし。

韓国でもっと大きな問題
1)スキー場が足りない
全国で14ヶ所くらい(まともなところは4個所くらい?)。週末になると地獄。リフト待ち30分は基本。ソウル近いところは1時間待つことも多い。

2)まともなショップがない
上に述べたが信頼できる、サービスがいいところがほとんどない。

3)ボーダーのマナーが悪い
スクールで習う人はほとんどいない。人に迷惑をけけるのを楽しむ人が多すぎる。基本的にマナーってことがわかっていない。

厳しく言うと、韓国でスノーボードが発展するためには
1)とんでもないくらいうまいやつが現れる
2)とんでもないくらい用品が売れる
3)とんでもないくらい優れた用品が作られる
4)とんでもないくらいみんなマナーがいい

僕が思うには4つとも「とんでもない!」くらい難しそう。

韓国人が思う日本のスノーボーダー層
(僕がそう思うのではなく一般的な意識とうこと)
1)お金があるだけ。
高いもの使っているだけ(バートンが圧倒的)。カッコつけるだけ。実力はまあまあ。大したことない。
2)モノにこだわる。
頭から足先までブランド品好み。スクールでちゃんと習う。外国でのキャップなどとにかくすばらしい環境で滑っている。
3)ちゃんとした知識、用品、システム(スクール、教え方、大会)が揃えている。4世界に通じる選手も大いし全般的にレベルが高い。ゲレンデでのライディングがカッコいい。(西洋人はエアーがすごいかも知れないが)などの意見が多い。

1月にこっちのドラゴンバレーでFIS(小さい)の大会が開かれた。何人かの日本人選手が出場。しかし「なんだよ。大したことないじゃん。」って評判。しかしその人が実際日本でどのくらいのレベルの人かは韓国人ははっきりわからない。放送で(韓国のアナウンス)日本何位とか言ったら「日本の一流選手だそうよ。」と信じてしまう。
これはいけないだろう?
その意味で2月15日にNHKで放送された北海道でのFIS大会は凄く良かったと思う。韓国はNHKのBSしか移っていないので。
中井君とか日本の高校生のすばらしいハープパイプ演技で驚いた人が多かった。トヨタのビッグエアー、日本オープンなど見られたらどんなにいいか。

日本の事情に詳しい人もたまにはいるかもしれないがほとんどの人はまだ疑問に思っている。
そのためには
1)有名なブランドで日本人のシグネチュア・モデルが出る(バートン、フォーラムが効果的)。
2)有名なビデオ(TB)にバリバリ出る。
3)有名な雑誌の韓国版が出る
(もちろん日本プロのインタビューなども紹介されたり)。とにかくビジュアル的に強くアピールしてほしい。

僕はいろんな人からたくさん聞かれる。日本のスノーボード文化について。
面倒な時はこんな答えが効果的。
「日本ってスキー場が700個所以上なんだ。こっち(韓国)とは比べねんだよ。」
「マジで??」信じてくれない人も多い。
「日本にはハーコンセン、ピーターライン、ダニエル、フランク(なるべく有名な人の名を並べて)など来ていろんな大会に参加するし、その人たちと肩を並べる人はたくさんいるよ」これはちょっと言いすぎかな^^
「日本ってそんなに凄いんだ。いつか行ってみたい!」

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