【ギア・コラム】

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文:ギア博士

前回レイヤリングのコラムがとても好評だったということで、さらにレイヤリングの内容を掘り下げる、うんちく編をお伝えします。今回のうんちく編1では主にファーストレイヤーを、そして次回うんちく編2ではサーマル&アウターをお届けします。

ファーストレイヤーのもっとも基本的な役割は体から出た汗を吸収発散し、肌の表面をドライに保つことです。これにより水分が蒸発するときの気化熱の作用による体温の低下を防ぎます。綿製品では汗を吸収するばかりで発散しないので結果的に体の熱がこの水分に奪われてしまい体温が低下します。現状ではもっとも効率よく水分を吸収発散させる素材が化学素材とされており、高機能インナー、ファーストレイヤーに使用されています。

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しかし、ここにきてさらに目的の細分化が行われました。つまり、ドライに保つだけでなく、さらに保温性を高めた物の需要があるのです。極寒の状況ではレイヤリングで体温を保とうとすると、どうしても重ね着が増えてしまって動き難くなります。アクティブなスポーツではこれはマイナス要素です。そこで運動を妨げないように、つまりレイヤリングによる着ぶくれを防ぐために+1の機能としてファーストレイヤーに保温もできるということが注目されました。さらにこの保温機能は運動量が少ない時や寒がりな人にも快適に過ごせるアイテムとして発売されました。

先ほどベストな素材は化学素材であると書きましたが、保温と言うことを考えると天然素材であるウールも見直されています。ウールの特徴として濡れても暖かいという特徴があります。昔、北欧アイルランド等の漁師の間で防寒着としてフィッシャーマンズ・セーターと呼ばれる脱脂していない太い毛糸で編まれたセーターが愛用されていたというのはファッションに詳しい人なら知っていると思いますが、それだけ昔からウールという素材の防寒性能は広く知られていたということです。最近はその素材の持つ独特の特性「水分の発散が化学繊維に比べゆっくりである」等が注目されて、運動量が少ない時や保温を優先する先などに使われているようです。

参考パタゴニア。ウォール素材のファーストレイヤーもある!
http://www.patagonia.com/web/jp/product/mini_site/pbl_shop_landing.jsp?OPTION=PBL_LANDING

現在ファーストレイヤーの種類を大まかに分けてみると、以下のように分かれます。

クールタイプ・・・体温の上昇を抑えるための機能を優先させた物
水分の発散がとても速い、生地自体が薄い場合が多い

ドライタイプ・・・体をドライに保ち体温を一定に保つことを目的とした物
水分の発散が速く、クールタイプよりも生地が厚い場合が多い

保温タイプ ・・・ドライ+保温を目的とした物
水分を吸収発散する際に発熱する物等プラス1の機能がある物が多い

さらに状況にあわせてとなると、以下のような表に現すことができます。

暖かい

普通

寒い

すごく寒い

動かない

ドライ

ドライ

保温

保温

普通の運動

クール

ドライ

ドライ

保温

激しい運動

クール

クール

ドライ

ドライ

暖かいとか普通とかはその人で違いますが、目安と言うことでお願いします。
ファーストレイヤーの考え方は一年通して考えますので、あらゆるスポーツに対して有効です。ここでいう暖かい以外にも暑いという場合も当然ありますからその状況に対応した製品があると考えてください。

さらに最近、防臭抗菌ということもかなりポイントが高いようでいろんなブランドで防臭抗菌の機能を付けています。というのも汗を発散させると言うことは汗の水分を飛ばして残りの成分は残るということも考えられ、場合によってはそのファーストレイヤーに残った成分がにおいの元となることもあるからです。清潔好きな現代人の要求に応えて抗菌防臭はいろいろなところで採用されているみたいです。

ファーストレイヤーはTシャツだけでなく、下着や靴下にも気を遣うとさらに効果的です。下着の部分こそドライで抗菌防臭が必要だと思います。下着がダメだとその上にいくら高価で高性能な物を着ても効果が発揮できません。さらに靴下もブーツという密閉された状態で足が汗をかくので普通の靴下ではジットリと湿っていて不快ですし、においも気になるところです。オススメはあまり厚くない5本指タイプのもので、これなら足の指の間もドライになるし、指先まで自由に動くので踏ん張りが効きます。またあまり厚手ではなくというのは厚すぎると靴下の厚みの分だけブーツの中で足が動いてしまったり、足裏に伝わる感覚(雪面の状況等)が鈍くなってしまうのでウール素材等の厚手の物はあまりオススメではありません。最近ではブーツもかなりの高機能になってきているので、そんなに厚い靴下をはいてはブーツの性能を引き出せないし、厚い靴下をはかなくても良いように保温性なども考えて作られていますから、できればスノーボードブランドの物がオススメです。

それでは今回のうんちく編はここまで。質問などは掲示板でお待ちしております。

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